「あいさつのキス」めぐり物議 EU外相会議 背景に…各国異なる“あいさつ文化”(2023年11月8日)
ドイツ・ベルリンで開かれたEU外相会議で、クロアチアの外相がドイツの外相にあいさつのキスをしようとしたとして、物議を醸している。
■外相会議…“あいさつのキス”が物議
ドイツ ベアボック外相:「私たちは今、EUを拡大しなければならないという合意に達しています」
2日に、ドイツ・ベルリンで行われたEU外相会議。会議では、ウクライナのEU加盟などについて話し合われた。
そんななか、“事件”は集合写真の撮影時に起きた。
整列する各国の外相らの中心にいたのは、クロアチアのグルリッチラドマン外相だ。到着が遅れたため、開催国ドイツのベアボック外相とは、集合写真で初めて顔を合わせることに。
やってきたベアボック外相に、グルリッチラドマン外相が握手の後、あいさつのキスをしようとすると、瞬時に顔を背けたベアボック外相。正面から近づくグルリッチラドマン外相の顔を避けるような仕草だ。
その後、ぎこちなく右頬でキスを受け止めたものの、撮影された集合写真では、隣に立つクロアチアの外相から体を離すように不自然に傾いて、ベアボック外相が写っている。
この集合写真での一幕を、クロアチアメディアは次のように伝えた。
クロアチアメディア:「グルリッチラドマン外相が、ベアボック外相を公的な場所で困惑させ自国に恥をかかせた」
さらに、クロアチア初の女性首相となったコソル元首相もSNSで、次のように投稿した。
コソル元首相:「女性に無理やりキスするのも暴力ですよね?」
批判された、グルリッチラドマン外相は「何が問題か分からない。私たちはいつも温かくあいさつを交わしている。外相同士の温かい人間的なアプローチだ。誰かが不快な思いをしたのなら謝罪する」と話している。
■あいさつのキス…ドイツでは“NG”
今回の騒動の背景には、「文化の違い」も関わっているようだ。
クロアチアのグルリッチラドマン外相は、親密さの証しとして頬にキスをしようとしたとみられるが、実は、ドイツでこれはNGだという。
ドイツ公共放送のテレビプロデューサーを務めるマライ・メントラインさんによると、「ドイツでは、あいさつは主に握手やハグ。例え親しい間柄でもキスはほぼしない」といい、「ドイツ北東部に行くほど顕著で、北部出身のベアボック外相にはあいさつのキスは慣れていないのでは」という見立てだった。
国が違えばあいさつの文化も違うため注意する必要があるが、握手なのかハグなのか?そして、キスだとしても、その回数が1回や2回、さらには3回という国もあるそうだ。
そんな文化の違いが顕著に表れた事例が2015年、当時のアメリカのジョン・ケリー国務長官がフランスを訪れ、当時のオランド大統領と対面した時だ。
■すれ違い…微妙な形の“握手”が完成
フランス・エリゼ宮に到着したケリー国務長官(当時)。両腕を広げるジェスチャーで、アメリカでは当たり前のあいさつ、ハグの準備をする。
一方、フランスのオランド大統領(当時)、フランスではハグの文化がない。
その結果、ハグをしようとしたケリー国務長官の両手をオランド大統領がキャッチ。微妙な形の“握手”が完成した。
さらに、すれ違いは続く…。
フランスでは例え初対面であっても、頬と頬を合わせて軽いキスを交わす習慣があるため、頬を差し出すオランド大統領。ケリー長官は一瞬戸惑うも、キスに応えた。
2人は最後までかみ合うことなく、宮殿へと消えて行った。
■日本の外務省も情報発信「握手で気をつけること」
実は、日本の外務省はこうした国際儀礼に関する情報発信をしている。
外務省のホームページでは、海外の客人を迎え入れるための服装や席順など国際的な基本儀礼やエチケットを紹介している。そのなかには、キスの項目はないが「握手で気をつけること」が記されていた。
内容を見てみると、「地位の高い人とのあいさつでは、相手から握手を求められるまで手を差し出さないのが原則」「求められたら躊躇(ちゅうちょ)することなくスムーズに手を出して握手しましょう」「強く握る必要はありませんが、弱々しい握手は相手に与える印象も弱々しく、気持ちがこもっていないものになる」などのアドバイスが記載されている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年11月7日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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