見えてきたガザ地上戦の実相 2キロに及ぶ“轍”を衛星で確認 多数の戦車目撃情報も(2023年10月29日)
イスラエルのネタニヤフ首相はハマスとの戦闘について「第2段階に入った」と述べ、ガザ地区への攻撃を強化する考えを示しました。上空から撮影した衛星画像には“ある変化”が捉えられていました。
■多数の戦車がガザに…CNN記者が目撃
イスラエル軍が29日に公開した映像です。ガザ地区にいるイスラム組織ハマスを狙ったとされる映像ですが、建物が次々と攻撃され、爆発する様子が続きます。そして、廃墟となった街の中には多数の戦車の姿が…イスラエル軍がガザ地区で地上作戦を展開している様子がみてとれます。
一方、ハマスの軍事部門はイスラエル軍への反撃とする映像を投稿。ガザ地区東部で、イスラエルの輸送車をロケット砲撃したとする様子も映っています。
イスラエルのネタニヤフ首相は28日、ハマスとの戦闘が「第2段階に入った」と述べ、地上戦の継続を表明しました。
(イスラエル ネタニヤフ首相)「きのうの夜、さらに多くの地上部隊が悪の牙城となっているガザに入った。これは戦争の第2段階でありその目標は明確だ。ハマスの軍事力と政府機能の破壊、そして人質を取り戻すことだ」
イスラエル軍は27日の夜、これまでで「最大規模となる空爆」を行ったと発表。ガザ地区への地上作戦も拡大したと発表し、ガザ北部で戦闘を行う戦車などの映像も公開しました。これが本格的な地上作戦の開始かどうかは明言しませんでしたが、ネタニヤフ首相は今回の戦闘を1948年のイスラエル建国直後に起きた独立戦争(第1次中東戦争)になぞらえました。
(イスラエル ネタニヤフ首相)「ガザ地区での戦争は長く困難なものになるだろう。私たちは祖国の土地のために戦う。地上でも海でも空でも戦う。我々は地上と地下で敵を排除する。我々は戦い勝利する。善が悪に打ち勝ち、光が闇に打ち勝ち、生が死に打ち勝つのだ」
大規模空爆から一夜が明けた地上では全く違う光景が広がっていました。
(CNNジェレミーダイアモンド記者)「一晩中、激しい爆撃と激しい砲兵による攻撃がガザへ行われているのが聞こえました。この戦争が始まって3週間で最も激しいものです。きょうは全く違った光景でした。今週初め、ある場所で何百台もの戦車や装甲兵員輸送車、ブルドーザーがガザ方面を向いた状態で待機していました。しかしきょう、その戦車などがいた基地は空になっていました。その後、装甲兵員輸送車などが、ガザ方面に向かっているのも目撃しました。これまでイスラエル軍の戦車がガザに送り込まれても、翌日には戻っていました。しかし今回は24時間近く経っても戻らず戦い続けています。我々が今目撃しているのはこれまでとは全く違う状況です」
■“車の轍”2km先に…ガザ北側から侵入か
こちらの画像…点のように見えるのは、300両を超える軍用車両。イスラエル軍のものとみられる動きを衛星画像も捉えています。撮影されたのは、ガザ地区の境界から北東におよそ5kmの地点。今月15日、アメリカの衛星画像を運用する会社が撮影しました。衛星画像を分析した東京大学大学院の渡邉教授によると、その後、北側の境界から侵入した可能性があるといいます。
(東京大学大学院 渡邉英徳教授)「こことここ。地面に線が描かれていることがわかると思う。強調してみるとここのエリア。境界線を越えてガザ地区の内部に入ってくるときに車両の跡が地面に刻まれますね。それではないかと思われる。直線距離で2km程度の所まで既に車両が入ってきている。線が終わる場所を見ると破壊されているのがわかる、地面が。踏み荒らされて、ある程度の車両はガザ地区に入り攻撃を開始していることがわかる」
イスラエル軍の参謀総長は28日、地上侵攻の必要性をこう述べています。
(イスラエル軍 ハレビ参謀総長)「この戦争の目的には地上作戦が必要だ。敵をあぶり出し破壊するためには、武力で領土侵入する以外に方法はない」
■人質巡り両陣営が応酬 翻弄される家族
(西山憲一記者)「ガザへの激しい攻撃が続く一方、人質らの解放が進まず家族らは不満を募らせています」
ハマスに捕らえられている人質の家族らは危害が及ぶ可能性があると地上作戦の拡大を懸念しています。
(友人が人質になった男性)「政府は人質のことを気にしていません。ハマスの壊滅を優先させて、人質の救出は後回しにしています」
28日、ネタニヤフ首相は人質家族の代表者と面会しました。
(ネタニヤフ首相)「鍵はどれだけ圧力をかけられるかです。(人質解放の)チャンスはより大きくなります」
一方、ハマスの軍事部門の報道官は、イスラエルで投獄されているパレスチナ人全員の解放と引き換えに、人質を解放する用意があると発表しました。
(ハマスの軍事部門 報道官)「イスラエルがこの人質事案を一挙に解決したければ、その用意はできている。段階的な対応を望むなら、その準備もできている」
食糧や医薬品が不足し、孤立を深めるガザ地区。支援物資の搬入が始まりましたが、燃料はハマスに渡ることを警戒され含まれていません。
(パレスチナの人道救助団体)「燃料不足で救急車3台を動かせなくなった。運用できるのは27台だけだ」
ガザ地区の保健当局によれば、パレスチナ側の死者は8000人を超え、その内、子どもは3342人となっています。
(母親)「この子は7日ほど前、戦火の中で生まれました」。この子にはミルクもありません。なぜこんな環境で生まれたのでしょうか」
10月29日『サンデーステーション』より (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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