なぜ?魚沼産コシヒカリが灰色に…「農家始めて最悪の年」 “新潟県一丸”で猛暑に負けないコシヒカリ開発の挑戦|TBS NEWS DIG

なぜ?魚沼産コシヒカリが灰色に…「農家始めて最悪の年」 “新潟県一丸”で猛暑に負けないコシヒカリ開発の挑戦|TBS NEWS DIG

なぜ?魚沼産コシヒカリが灰色に…「農家始めて最悪の年」 “新潟県一丸”で猛暑に負けないコシヒカリ開発の挑戦|TBS NEWS DIG

新潟県で作られた暑さに強い品種、「新大コシヒカリ」など、米どころ・新潟では気候変動に負けない、新たなコシヒカリの開発が進められています。

新潟が誇るブランド米「魚沼産コシヒカリ」の産地、南魚沼市。収穫の秋、水田である異変が起きていました。灰色になったこの稲です。

南魚沼市の農家 高村良一さん(65)(新潟・南魚沼市 先月)
「水が一番いる出穂期に水がなかったので、このような状態になっています」

原因は、夏の猛暑と水不足でした。

8月の新潟市は月の半分以上が猛暑日で、平均気温は30.6℃と観測史上最高に。また、雨は例年の1パーセントほどの2ミリしか降らず、ダムや川が干上がりました。

その影響はコメの品質に色濃く出ました。

検査員(新潟・南魚沼市 先月)
「非常に悪いです。近年になく悪いです」

コメは粒の形や色、水分量などにより1等米から3等米に分けられます。新潟県産のコシヒカリは例年、80パーセントほどが1等米ですが、今年は9月末時点で3%ほどと、統計開始以来、最低となりそうです。

多かったのは、高温障害で米粒が白く濁る「白濁」。例年は少ない2等米のハンコが次々と押されていきます。

等級は、味には関係しませんが、価格に跳ね返るため、農家の収入に直結します。

南魚沼市の高村良一さんは収入が200万円以上減る見込みです。

南魚沼市の農家 高村良一さん(65)(24日)
「自分が農家始まって最悪の年ですので、悪い年もありますけど、ここまで品質が悪いということはなかったです」

新潟県は、県内のコメ農家全体でおよそ135億円の減収を見込んでいます。

こうした中、進むのは暑さに強い新たなコシヒカリの開発です。

新潟大学農学部 三ツ井敏明 教授(新潟・中央区 先月)
「新潟県一丸となってですね、この本当に災害級の気候変動に対応するように対応していかなければならない」

そのひとつが、新潟大学農学部の三ツ井敏明教授らがおよそ20年かけて開発した「新大コシヒカリ」です。コメの「白濁化」の研究中に発見した「コシヒカリの突然変異体」。これに着目して開発した新しいコシヒカリです。

この夏の猛暑にも一定の強さを発揮しました。

新潟大学農学部 三ツ井敏明 教授(新潟・刈羽村 先月)
「収量的にはいいかなと、ちょっと期待をしています」

一般的なコシヒカリの稲が暑さで倒れかけているのに対して、「新大コシヒカリ」は、しっかりと立っています。

品質検査の結果が出るのはこれからですが、三ツ井教授は「何とか踏ん張った」とみています。

一方、新潟県の研究所は別のアプローチで暑さに強いコシヒカリの開発を進めています。

いもち病に強く県内で最も多く栽培されている「コシヒカリBL」という品種に、高温に強い遺伝子を持つコメをかけ合わせる研究です。

用いられているのがDNAの解析技術です。

新潟県農業総合研究所 アグリ・フーズバイオ研究部 白矢武士 主任研究員(新潟・長岡市 6月)
「DNAを比較しながら、高温に強い配列というものを見出そうという形で研究を進めています」

さらに、温室で栽培し効率的に交配を繰り返すことで15年ほどかかる開発期間の短縮を目指します。

新潟県農業総合研究所 アグリ・フーズバイオ研究部 白矢武士 主任研究員(23日)
「今年の暑さは災害に匹敵するような異常な高温だったかと思います。今後も起こり得ると考えて、品種開発を進めていきたいなと考えています」

さらなる気候変動も見据え、ブランド米を守るための挑戦が続きます。

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