壮大!“国土水没の危機”の島国で世界初「水上都市」プロジェクト 海底に伸縮可能な支柱を設置「私たちはイノベーションで生き残る」|TBS NEWS DIG
インド洋に浮かぶ島国・モルディブは、深刻な気候変動に直面しています。海面上昇により、国土の大半が沈んでしまうとも言われているモルディブでは、生き残りをかけた戦いが始まっています。
インド洋に、およそ1190の島が浮かぶモルディブ。私たちが向かったのは、リゾート地として人気のディフューシ島です。
透明度抜群の海とビーチが広がっていますが、海岸を進んでいくとその風景は一変しました。
記者
「海岸の浸食が進んだことによって、こちらの木は完全に倒れてしまっています。そしてこちらの木は、根元がむき出しになっている状態です」
もともとは子供たちが遊ぶサッカー場でしたが、もう人の姿はなく、倒れた木々が散乱していました。
この島で生まれ育ったシムーさん。地球温暖化によって島に“異変”が起きているといいます。
ディフューシ島在住 シムーさん
「子どもの頃はこのくらいビーチがありましたが、浸食により、このエリア全体でビーチがなくなってしまいました。海岸浸食がどのような影響を与えたかが分かります」
JICA=国際協力機構の調査によると、国土の8割が海抜1メートル以下のモルディブでは、2018年までの33年間で、海面が平均10.6センチ上昇しました。
このまま温暖化で極地の氷が溶け続ければ、“今世紀末には多くの島が水没してしまう”との研究もあります。
海岸のそばにつくられた学校は、満潮時にたびたび海水が入り込み、浸水被害に悩まされるように。
こうした光景は近年、国内各地でみられるようになりました。
さらに、影響はこんなところにも。
ディフューシ島の住民は井戸水をくみ上げて生活していましたが、海面上昇などで、海水が混ざるようになってしまいました。いまは雨水や海水を、浄水器を通すなどして使っています。
ディフューシ島在住 シムーさん
「ほとんどのビーチは消滅しつつあり、経済的にも地域の生活においてもあらゆる面で島に悪影響を及ぼしています。とても悲しいです」
“海水温の上昇”も大きな問題です。
輸出の98%を占める水産業も漁獲量の減少という危機にさらされています。
魚市場の卸売人
「これらの魚は一定の温度で生きています。海水温が上がると魚が少なくなります」
マグロ漁師のファバスさんは最近、海外への移住を真剣に考えるようになりました。
マグロ漁師 ファバスさん
「私たちはいつか国を失うことになる。世界は行動しなければいけません」
気候変動の脅威から国を守りたい。モルディブでは、生き残りをかけた戦いがすでに始まっています。
そのひとつが首都マレに近い環礁に開発されている人工の島「フルマーレ」です。
1997年に埋め立て工事が始まり、砂地には高層マンションやビルが次々と建てられました。海面上昇に対応できるよう平均海抜は2メートル。
4人の子どもと家族6人で暮らすハミードさん夫妻は、2年前に別の島から移住してきました。
「ここの環境は気に入っています」
「私たち家族は幸せで、安心して暮らしています」
公園や商業施設など市街地の整備も進み、すでに5万人が人工島での生活を始めていて、今後30年で20万人あまりの移住が可能になるということです。
ただ、ハミードさんはたとえ今が安全でも、“子どもたちの将来はどうなるか分からない”と不安を口にします。
2年前に人工島に移住 ハミードさん
「気候変動のせいで子どもたちは生まれ育った場所を離れ、移住しなければならないのではと常に不安です」
そんなモルディブでは、ある“壮大なプロジェクト”も。
記者
「いまは特に何もない海が広がっていますが、ここには大きなサンゴの環礁がありまして、水上都市を作るというプロジェクトがまもなく始まるんです」
環礁に囲まれた海の上に、およそ5000戸の住宅を作る計画。完成すれば、世界初の“海に浮かぶ都市”です。
でも、一体どうやって?
すでに建てられたモデルハウスを特別に見せてもらいました。
記者
「陸地に建っている家と同じぐらいの、スペースもそうですし、まったく揺れも感じないですし、ここが海の上にいるんだということを忘れてしまう感じです」
▼海底に設置する伸縮可能な支柱が家を支え、▼補強工事を施した環礁が“防波堤のような役割”を果たしてくれるというのです。
開発責任者 イブラヒム・リヤズさん
「どんなに海が高くても(支柱は)3メートルくらいまで上がります。このような支柱が(海底に)何本かあり、潮の満ち引きで街を上下させます。沈むことはありません」
太陽光を使った発電システムや、海水を利用した空調設備も導入。CO2排出量をおさえ、海の生態系を保護することにもつながります。
オランダの企業と共同開発するこのプロジェクトは来月から工事が始まり、早ければ2027年に完了する見込みです。
開発責任者 イブラヒム・リヤズさん
「モルディブが環境を損なわず自然と共存するための解決策を提供することは、とても重要です。“共存可能”というモデルケースを全世界に示すことができます。私たちはイノベーションで生き…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20231029-6118222)
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