現場は“強風地帯”山岳遭難で男女4人死亡 栃木・朝日岳(2023年10月7日)

現場は“強風地帯”山岳遭難で男女4人死亡 栃木・朝日岳(2023年10月7日)

現場は“強風地帯”山岳遭難で男女4人死亡 栃木・朝日岳(2023年10月7日)

栃木県那須の朝日岳で男女4人が遭難、全員の死亡が確認されました。秋の行楽シーズンを迎え、改めて注意すべき点を取材しました。(10月7日放送「サタデーステーション」より)

■「標高の割に強い風が」男女4人死亡

(仁科健吾アナウンサー)
「時刻は午後7時です。激しい風が吹いています。こちらが現場となった朝日岳の入口となるんですが、ご覧のように街頭もなく真っ暗の状態です。昼間に比べると、グッと気温が下がり、体感的にとても寒く、吹き付ける風が痛く感じます」

サタデーステーションが入手した朝日岳の映像にも、激しい風の様子が映されています。地元の山岳ガイドは「標高の割に、強い風が吹く場所」と表現します。警察は亡くなった4人の名前を発表しました。栃木県さくら市の野口誠二さん(69)、宇都宮市の竹石佳子さん(72)、宇都宮市の高津戸トシ子さん(79)、大阪市の木村英二さん(65)です。

現場となったのは、栃木と福島の県境に聳え立つ、標高1896メートルの朝日岳。登山道の入り口近くの駐車場には、救急車両が止まっているのが確認できます。

(仁科健吾アナウンサー)
「登山道入り口から100mほど歩いた所になりますと、道路の舗装が終わります。ここからは山道になります。スニーカーなどでは歩きにくい道になってますね」

6日正午過ぎに、「男性が低体温症で動けなくなっている」と110番通報が入りました。その後も、別の人から「男女数名が動けなくなっている。女性1人が滑落したので助けた」という通報も入りました。

(仁科健吾アナウンサー)
「遭難の連絡を受けて、警察と消防が捜索に入りましたが、きのうは強い風が吹いていたため、捜索は打ち切りになったといいます」

捜索隊は6日午後2時40分ごろに、登山道の入口に到着するも、悪天候のため山には登れないと判断。その後、何度か入山を試みるも、風は収まらず、午後5時過ぎに日も暮れてきたため、捜索を断念しました。

(仁科健吾アナウンサー)
「朝6時過ぎから、警察と消防、およそ50人体制で捜索を再開しました。すると登山道などで倒れている4人が発見されたということです」

見つかった4人は、いずれもその場で死亡が確認されました。

■捜索隊の風速計 一時「風速80m」も

朝日岳は、栃木県北部にあり、那須高原を見下ろす場所に位置しています。山頂に行くためには、ロープウェイを利用して、茶臼岳経由で向かう方法や、中腹にある駐車場から徒歩のみで向かう方法があります。例えば、徒歩のみのコースの場合は、山頂までの往復距離がおよそ5キロ、所要時間はおよそ3時間です。栃木県はこのコースに必要な体力を10段階で「2」と評価していて、難易度は低めのコースになっています。しかし、この評価は「天気が良好な場合」という条件付きです。

(仁科健吾アナウンサー)
「救助を求める110番通報があったのは、きのうの正午過ぎです。ちょうどその時間帯、こちらのロープウェイは、強風のために、上りの運行を中止する判断をしていました。ですから登山道でも、かなり強い風が吹いていたものとみられます」

朝日岳は、かなり強い風が吹くことでも知られています。これは、5日前に朝日岳に登った人が撮影した映像です。高山植物が強風にあおられ、激しく揺れています。

動画撮影者
「かがんで突風をやりすごして、ちょっと這いながら行くような感じになっていた。風で痛い目に遭う場所だとは思う」

6日、尾根付近で捜索が行われた際には、手持ちの風速計が一時、風速80mを示したといいます。7日朝、遭難者が見つかったのも尾根の周辺でした。避難小屋から朝日岳山頂へ向かう道の途中で、男性1人と女性1人が発見され、そこから60mほど離れた場所でもう一人の女性が、さらに、朝日岳山頂に近い場所で、男性1人が発見されました。朝日岳に100回以上登っている山岳ガイドは…

日光・那須山岳ガイド協会 松田良さん
「当日の稜線上は風速20m/秒以上と推測される。風速15m/秒を超えたら歩くのもしんどい。前に進めないがゆえに立ち止まっている間に強風にあおられて体温が奪われて、低体温になっていって動けなくなったのではないか。きちんとした防寒着を用意していないと、早ければ10~15分くらいで(低体温の)症状が出て、30分以上経つと体が動かなくなってくる」

実は、朝日岳では今年5月にも、今回とほとんど同じ場所で20代の男女2人が遭難する事故が発生していました。当時、命懸けで救助にあたった山小屋のスタッフは…

大黒屋旅館 高根沢春樹さん
「(遭難者は)基本的な装備はあったが防寒具が少し足りなかった。低体温症まではいっていなかったと思うが、一方手前ぐらいだったと思う。手はだいぶ震えていましたし」

(仁科健吾アナウンサー)
「亡くなった4人が安置されている那須塩原署です。現在、死因の特定が進められています」

警察によると遺体が見つかった現場から、離れた場所でリュックが見つかりました。風によって飛ばされたとみられています。これから紅葉シーズンとなり登山客の増加が、さらに見込まれる中、専門家は…

日光・那須山岳ガイド協会 松田良さん
「風速が1m増えると体感温度が1度下がる。晴れていても風速が強いと登山自体はやめた方がいい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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