「奈良のシカ」保護施設に立ち入り “職員による虐待”獣医師が通報(2023年10月3日)

「奈良のシカ」保護施設に立ち入り “職員による虐待”獣医師が通報(2023年10月3日)

「奈良のシカ」保護施設に立ち入り “職員による虐待”獣医師が通報(2023年10月3日)

 国の天然記念物「奈良のシカ」を保護する団体が虐待をしていると内部通報があった問題で奈良市が3日午後、保護施設への立ち入り調査に乗り出しました。

 奈良といえばシカ。その奈良市が午後2時に立ち入り調査に入ったのは、まさにそのシカを保護する施設です。なぜシカの保護施設に調査が入ったのか、きっかけは一つの通報です。

 通報:「シカに対し、職員による見過ごせない虐待が発生している」

 “シカに対する虐待”とはどういうことなのでしょうか。施設を運営するのは国の天然記念物「奈良のシカ」を保護する一般財団法人「奈良の鹿愛護会」。通報したのは、その愛護会の獣医師です。

 通報した丸子理恵獣医師:「今年はまだ統計をかけている途中だが、年間にすると、いた頭数の3分の1以上が死んでいる。非常に問題というか、3分の1以上が死ぬのは、よほど飼育環境が悪くないと死なないと思う」

 通報した丸子獣医師によりますと、施設の特別柵の中にいる雄のシカが毎年50頭以上、死んでいるといいます。そして、その原因は“飢餓状態”にあるというのです。

 通報した丸子理恵獣医師:「その雄は非常に体格も良く、健康状態も脚1本ないですけど問題なかった。その数カ月後に特別柵で死んでしまった、その雄が。その姿を見た時にすごくショック受けたのが本当に非常にガリガリに痩せていて、骨と皮みたいな状態で死亡していた」

 丸子獣医師が提供したシカの画像では、あばら骨が浮き出ていて見るからに非常に痩せているシカが何頭も確認できます。奈良公園にいるシカとは確かに様子が違います。保護団体は“虐待”という主張をどう受け止めているのでしょうか。

 奈良の鹿愛護会 山崎伸幸事務局長:「虐待ということは全くございません。当会はシカを愛する職員の集まりでやっているので、本当にシカを大切に保護活動している」

 奈良のシカは保護すべき国の天然記念物に指定されていますが、飼育されているわけではなく野生動物です。では、なぜ保護施設に入れられているシカがいるのでしょうか。

 奈良の鹿愛護会 山崎伸幸事務局長:「特別柵にいるシカについては、人に迷惑を掛けたシカを当会の役割として鹿苑(保護施設)に収容しておくこと。一生をここで過ごしてもらおうと」

 農作物を荒らしたり、人に危害を加えたりしたシカが施設の特別柵で一生、保護されるといいます。

 通報した丸子理恵獣医師:「飼育下で日本鹿は大体15歳くらいまで生きると言われているが、死亡した時の平均年齢が4から5歳くらいで死んでいる」

 丸子獣医師は餌(えさ)の量と質を改善すべきと訴えたが聞き入れられなかったと主張しています。

 奈良の鹿愛護会 山崎伸幸事務局長:「ドングリを寄付していただいたり、米ぬかやピーナツとか色んな食べ物をいただいたりして、シカたちには餌を十分に与えて生活をしてもらっている。どうしても自然界にいる野生のシカが入っている柵なので、人に触られた時点ですでに(シカが)生きる意思を失って、もう何も食べないというケースが非常に多い」

 通報を受けた奈良市は3日の調査で飼育環境などを確認するとしています。

 奈良市役所:「シカというのは文化、歴史、環境、観光、色んなものに深く関わるところであるから、状況によっては国の指導を仰ぐ可能性はあるかもしれないが、まず我々が事実確認をするところから入っていきたいと考えている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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