ウクライナ侵攻で練習困難 柔道チームが日本で練習 真剣眼差しの裏に…過酷な体験(2023年9月29日)

ウクライナ侵攻で練習困難 柔道チームが日本で練習 真剣眼差しの裏に…過酷な体験(2023年9月29日)

ウクライナ侵攻で練習困難 柔道チームが日本で練習 真剣眼差しの裏に…過酷な体験(2023年9月29日)

 ロシアによる侵攻で練習することが困難になっているウクライナの柔道チームを日本で受け入れる取り組みを取材した。戦火のなか、若者が抱える柔道への思いとは。

■ウクライナ柔道チーム「日本は憧れの場所」

 静岡県にある東海大学付属静岡翔洋高等学校の柔道場で道着に身を包んでいるのは、遠くウクライナからやって来た若者たちだ。パリ大会の次に開催される「2028年ロサンゼルスオリンピック」を目指す世代の柔道強化チームが来日している。

 ウクライナ柔道チーム アニャさん(16):「すべての柔道家にとって、日本は憧れの場所です。ここに来られたことで、私の夢が叶いました」

 ウクライナ柔道チーム 帯同コーチ:「ウクライナのアスリート養成機関には、柔道部だけで50人ほどが在籍しています。日本に連れてきたのは、そのなかでも各世代でトップの子たちです」

■暗闇の中で練習する柔道チーム

 ウクライナでは今、若者たちが「オリンピック出場」という夢を追うことすら簡単ではない。

 今年1月、戦禍のウクライナでゼレンスキー大統領が爆撃で鉄骨がむき出しになった施設で若者たちが練習している写真をSNSに投稿した。

 こうした状況を打開するため、ウクライナの慈善団体が今回の来日プロジェクトを立ち上げた。

 「オリンピック・ドリームズ」共同設立者 オレクサンドラさん:「我々の団体はウクライナから五輪に出場する人材がいなくならないようにするために、プロジェクトを進めています」

 ウクライナで暗闇の中、練習に打ち込む柔道チームの映像だ。

 オレクサンドラさん:「暖房はなし。電気が通らない期間もあります。空襲警報による中断にまであうんです」

 実は、静岡での練習が行われていた最中も…。

 ウクライナ柔道チーム 帯同コーチ:「つい今しがたキーウに空襲警報が出たようです。こんな警報が頻繁に出るので、我々の練習はたびたび中断されます」

 キーウでは、空襲警報が発令された場合、地下への避難が義務付けられているという。

 ウクライナ柔道チーム カリムジャンさん(20):「ウクライナを代表して戦うことが私の目標であり、そのために練習を続けるのです」

■壊れ果てた道場で練習していた選手の姿も

 ウクライナのチームを受け入れ、練習環境を提供した高校もエールを送っている。

 東海大学付属静岡翔洋高校 柔道部 平井亮輔監督:「すごく大変な状況ではあると思う。ウクライナが。せっかく静岡に来て、仲間ができたということを感じてほしい。母国に帰った時に、日本にも仲間がいると思って過ごしてほしい」

 練習に打ち込むウクライナチームには、あの壊れ果てた道場で練習していた選手の姿もあった。その真剣な眼差しの裏には、過酷な体験があった。

 ウクライナ柔道チーム ナスチャさん(20):「何かとても悪いことが起こるような予感があった」

■父の死…柔道が彼女を奮い立たせる

 ナスチャさん:「日本は柔道が生まれた国。その日本に来られたことは素晴らしいことです」

 ウクライナの柔道チームとして来日したナスチャさんが生まれたのは、激戦地の一つである東部・ルハンシク州だ。故郷が破壊され、キーウ近郊への避難を余儀なくされた。

 さらに、ロシアによる侵攻を受けて、従軍した最愛の父が去年9月、戦地で命を落としたのだ。

 ナスチャさん:「確か母から2日間連絡が来なかったことがあって、私ピンと来てしまったんです。何かとても悪いことが起こるような予感がありました。だけど、そう思いたくなかった。だから『何も起きるわけない』と自分に言い聞かせました」

 今、悲しみの底にある彼女を奮い立たせているのは柔道だ。

 ナスチャさん:「必死で練習をし、戦いに集中していると、苦しさが紛れます。感情をすべて柔道にぶつけるんです。そんな時、すべてを忘れることができるんです」

 そんな彼女が今、心に誓うことがある。

 ナスチャさん:「私はオリンピックで金メダルを取りたいんです。そのために、もっともっとがんばります」

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年9月29日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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