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地方路線バス 20歳新人ドライバー密着 “夢実現”も…連勤&長時間勤務「将来不安」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年9月29日)
運転手の不足などの影響で、来月1日から全国の路線バスで大幅な減便となります。なぜ、運転手が足りなくなっているのか、地方の路線バスの実情を取材しました。
■バス会社苦渋の決断「減便をせざるを得ない」
出雲市内を走る「一畑バス」。来月1日から路線バスの減便が決まっています。
平日のお昼はガラッと寂しい車内。片道およそ40分。46のバス停を通り、およそ20キロ離れたJR小田駅まで走ります。
出発から11個目のバス停でようやく1人乗車。
ドライバー:「平日のこの時間は大体これが普通。まだ多い方なのかも」
終点までの利用者はわずか3人。“乗客ゼロ”の日も珍しくないと言います。
一畑バスは松江市を走る路線で、先月から一日20便減便。さらに出雲市でも来月1日から一日14便が減便されます。
路線バス利用者:「減ると困りますね、今でも少ないけど。やっぱりお買い物行くときがすごい不便」
減便の理由について、バス会社の社長はこう説明します。
一畑バス 代表取締役 吉田伸司社長:「現状で運転手さんが足りなくて運行ができない。減便をせざるを得ないという状況と思っています」
■ハタチの新人バスドライバー「父に憧れて…」
今月からバスドライバーとなった園山天志さん(20)。地元の高校を卒業後、一畑バスに入社しました。
園山さん:「(Q.年が近い人は?)一番近い人で言うと30代の方になりますね。35、36歳ぐらいですかね」
一番年の近い先輩は、一回り以上も離れた30代半ば。職場の平均年齢は53歳です。
去年バスの運転に必要な「大型二種免許」の取得条件が引き下げられました。これにより始まった“高卒採用”で入社した園山さん。なぜバス業界に飛び込んだのでしょうか?
園山さん:「憧れたのは父が運転手で、父が運転する姿を見て憧れたのが一つですね」「(Q.何歳ごろ?)6歳くらいだと思います」
幼稚園のころに書いた七夕の短冊には「バスのうんてんしゅになりたいです」と記されていました。
父 邦宏さん(57):「自分の仕事が息子にとって誇りだったんだなって思えば、うれしいかなと思います」
バスドライバーとしての研修を始めたころ、上手く運転できないこともあった園山さん。そんな時、邦宏さんに支えてもらい、乗り越えることができたと言います。
発車直後に乗客が両替のため歩き出すと、乗客の安全を気遣い、一度バスを停車。
園山さん:「乗られます?」
乗客:「はい。すみません。ありがとうございます」
園山さん:「発車します。ご注意ください」
さらに走行中は念入りにミラーを確認し、交通量の多い交差点も安全運転で進みます。
■休日出勤…“11日間連続勤務”も
幼いころからの“夢”を実現させた園山さんですが、将来には“不安”が募ります。
園山さん:「年齢が上がるにつれてっていう昇給といいますか、給料と労働力が見合っていない」
一畑バスでは、人手不足の影響で休日出勤を余儀なくされることも。なかには休みが取れず、11日間連続で勤務を強いられるドライバーもいます。
■伯父「感動」も…父「正直辞めて当たり前」
続いて園山さんのバスが向かうのは“紺碧(こんぺき)の海に映える白亜の灯台”として人気の観光スポット「日御碕灯台」。
そこへ、乗車してきたお客さんは…?
伯父 金治さん:「伯父さん、お父さんの兄さんです」
小さい頃から園山さんを良く知る、伯父の金治さん。園山さんの運転するバスには初めて乗車するそうです。
金治さん:「運転手不足というのはこれから大変でしょうけど、天志がこうして、こんな大きなバスを運転する。立派になって、さっきから感動していますよ」
一方、同じバスドライバーとして働く父・邦宏さんはこう話します。
邦宏さん:「事故とかお客さんとのトラブルとか、今のところは何もなく無事にやっていますけど、そういうのは心配ですね」
お客さんの“命を預かる”仕事のうえ、労働時間も長く身体を壊すこともあるため父親として心配は尽きません。
邦宏さん:「(つらくなったら)バスにこだわらなくても別に。正直辞めて当たり前(な業界)だと思いますよ。大型二種免許を持っているんですから、例えば40歳ぐらいに帰って(戻って)も問題ないと思います」
辺りが真っ暗になったころ、園山さんが運転するバスが営業所に戻ってきます。これで仕事は終わりと思いきや、バスの給油をし、車内の床や窓など丁寧に掃除し、翌日の運行に備えます。
この日、午前7時15分に出社した園山さんが業務を終えたのは午後8時過ぎで、拘束時間はおよそ13時間。
園山さん:「朝が早くて夜が遅いので、基本“毎日が残業”みたいな形に」
■バス業界「大変なことに」「国挙げて解決を」
バス業界からは悲鳴が上がっています。
日本バス協会 清水一郎会長:「本当にバス業界苦しんでいます。いま運転手が本当に不足していまして、これによって路線が成り立たない、廃止するところまで全国的に相次いでいる」
人手不足が常態化するバス業界。追い打ちを掛けるように、来年4月からは運送業界に適用される残業規制で、人手不足がさらに深刻になるとみられる“2024年問題”が控えています。
清水会長:「2024年問題どころか2023年でもう十分に運転手が足りないわけでして、この問題を国を挙げて解決していかないと大変なことになる」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年9月29日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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