1滴の涙で“乳がん”発見? 痛くない検査…進む研究 10月1日は「ピンクリボンデー」(2023年9月29日)

1滴の涙で“乳がん”発見? 痛くない検査…進む研究 10月1日は「ピンクリボンデー」(2023年9月29日)

1滴の涙で“乳がん”発見? 痛くない検査…進む研究 10月1日は「ピンクリボンデー」(2023年9月29日)

 10月1日は、乳がんに関する正しい知識を広め早期発見・治療を促す「ピンクリボンデー」です。1滴の涙から、乳がんの早期発見につなげる研究を取材しました。

■乳がん検診の受診率…国際的にみて低い日本

 50代:「(Q.乳がん検診はいかれていますか?)毎年はいけてないです。2、3年に1回ですかね。時間とか日にちをとって、病院に出向かないといけないので、ついついってなっちゃいますよね」

 60代:「(Q.乳がん検診はいかれていますか?)先週行きました。身近の方が乳がんが原因で亡くなられているので、気を付けたいと思っているので」

 50代:「やったことないです。(検診は)嫌だな、怖いな、痛いのかなとか。そういう感じはあります」

 60代:「マンモグラフィーは痛い。あれ、どうにかなればいいんですけどね」

 女性の大敵「乳がん」。日本人女性が生涯で乳がんに罹患(りかん)する確率は9人に1人となっている。

 一方で、乳がん検診の受診率は、国際的にみても日本は低く、50%を下回っている。

■竹内名誉教授「病院に行く背中押すような検査法になれば」

 そうしたなか、乳がんの早期発見のため、痛みのない検査法を目指している、世界初の研究が注目されている。

 それが「1滴の涙から乳がんを発見」するというものだ。

 人間の体液の中にある「エクソソーム」という物質を調べ、がんを発見するという。

 10年ほど前から、研究を進めてきた神戸大学の竹内俊文名誉教授は、次のように話す。

 竹内名誉教授:「血液でももちろんできますが、血液は赤い色をしているように、どうしても色々なものが入っていますが、涙は比較的きれいな体液なので」

 血液を採取する必要もなく、シルマー試験紙と呼ばれる、ろ紙で不純物の少ない涙を採取するというもの。

 竹内名誉教授:「その中に、がん細胞に由来するエクソソームがあるかどうかというのを、この機械で調べます」

 エクソソームとは、さまざまな細胞から放出される1万分の1ミリほどの小さな袋状の分子だ。

 竹内名誉教授:「エクソソームというのは、それぞれの細胞の特徴を写し取ったまま(細胞の)外に出すといわれていますので、乳がんは乳がんのエクソソームがありますし」

 涙から採取したエクソソームを穴がたくさん開いた特殊なチップに導き、赤い光を当てると、正常な細胞のエクソソームは穴に入らないため光は素通りするが、乳がん細胞から出たエクソソームは穴につまってしまうため、光が変化し、暗く見えるのだという。

 この光の量を数値化することで、乳がんにかかっているかどうかを判別するというのだ。

 この研究が実用化されると、これまで長い時間がかかっていた乳がん検査がより短時間で出来るようになるという。

 竹内名誉教授:「病院に行く背中を押すような検査法になったらいいと思っています」

■竹内名誉教授「がんで亡くなる方を減らすのが使命」

 1滴の涙から乳がんの早期発見につなげる研究が進められているが、実用化までの道のりをみていく。

 今回の研究開発を進めるベンチャーの技術アドバイザーを務める神戸大学・竹内名誉教授によると、2025年には一部の医療現場で1滴の涙から乳がんを判別する検査キットの使用を始めることを目指しているという。

 また、身近に検査をできる方法も構想している。

 2027年~28年ごろには、街の薬局などで検査キットが使用できるようにしたり、コンビニなどの生活圏で検査キットを購入して、自宅で採取した涙を検査機関に送ったりといった方法も構想にあるそうだ。

 さらに、竹内さんは「乳がんにかかった人は卵巣がんの発症リスクが高い。そういう人は卵巣を予防切除をする場合もあるが、涙で卵巣がんも早期発見できるようになれば、将来的には、卵巣の予防切除をしなくて済む可能性がある」と、今回の研究を他のがんにも応用することで、「がんで亡くなる方を減らすのが使命」だと話していた。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年9月29日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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