どうなる「年収106万円の壁」 手取り大幅減も…“最大50万円助成”効果は?(2023年9月26日)

どうなる「年収106万円の壁」 手取り大幅減も…“最大50万円助成”効果は?(2023年9月26日)

どうなる「年収106万円の壁」 手取り大幅減も…“最大50万円助成”効果は?(2023年9月26日)

 政府が対策に乗り出した壁は、「130万円」のほかに「106万円の壁」もあります。パートで働く人などが、扶養から外れ社会保険料の負担が生じる壁となっています。「106万円の壁」は、従業員101人以上の企業で週に20時間以上働いている人が対象です。政府の対策で、働き控えを解消することができるのでしょうか。

■「年収106万円の壁」で“働き控え”のワケ

 野村総合研究所が、106万円の年収の壁にぶつかるとどれだけ手取り額が減るのかを試算しました。前提条件として、2人世帯で夫の年収は500万円、夫の勤務先から月に1万7000円の家族手当が支給されている、などとしています。
 
 妻の年収が80万円から100万円に増えれば、もちろんこの世帯の手取りも増えていきます。妻の年収が100万円に達した時点で、世帯の手取り額は513万円です。

 一方、妻の年収が106万円に増えると、手取り額は大幅に減ります。社会保険料などの負担が年間15万円生じ、夫の家族手当もなくなるためです。この時点で世帯の手取りはマイナス24万円の489万円。“働き損”が生じることになります。

 妻の年収が138万円にまでならないと、妻の年収が100万円の時点での世帯の手取り水準に戻らないことが、グラフから分かります。

 もちろん働けば、将来の年金支給額が増えるなどの面はありますが、この試算を見ると手取り額が下がっていることが分かります。

 そのため「年収106万円未満に抑えよう」と、“働き控え”が起きている現状となっています。

■専門家「長期的には抜本的な改革が必要」

 こうした状況を解消するために、岸田総理が来月から実施すると説明した対策があります。年収106万円を超えても手取りが減らないように、手当を支給したり賃金を上げたりした企業に対して、国が従業員1人あたり最大50万円の助成金を支給するというものです。

 政府の対策について、野村総合研究所の武田佳奈エキスパート研究員は「短期的に見れば、“働き控え”解消に一定の効果があるのではないか」と評価します。一方で「長期的にはやはり抜本的な改革が必要だ」としています。

 さらに、武田氏は「この制度は昭和の専業主婦が多かった時代に作られたもので、共働きが多い現代にあった仕組みに変えていくべきなのではないか」と述べていました。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2023年9月26日放送)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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