「助けて」声聞こえるも…救助まで3日間 北アルプス“不帰嶮”不明男性8日ぶり生還【もっと知りたい!】(2023年9月22日)

「助けて」声聞こえるも…救助まで3日間 北アルプス“不帰嶮”不明男性8日ぶり生還【もっと知りたい!】(2023年9月22日)

「助けて」声聞こえるも…救助まで3日間 北アルプス“不帰嶮”不明男性8日ぶり生還【もっと知りたい!】(2023年9月22日)

 「不帰嶮(かえらずのけん)」と呼ばれるエリアで男性(49)が行方不明になり、20日に8日ぶりに救助されましたが、救助隊が男性の声を聞いてから救助までに3日かかりました。救助を阻んだのは激しい地形でした。

■「落っこちたらまずい」…鋭く尖った岩場の山

 富山県と長野県の県境にまたがる「不帰嶮」。一度入ると帰ってくるのは難しい険しい山であることから、その名がついたとも言われています。山と山をつなぐ尾根が深く切り落ちている北アルプスの難所の一つです。

 kreuzさん:「いやすげーなマジで。崖だもんな。正気か?」

 目の前にそびえたつのは、来る者をすべて拒むかのような鋭く尖った岩場。傾斜がきつく、平坦な道はありません。右が富山県、左が長野県。県境の細い稜線を進んでいきます。

 これまでに、2回登ったことのある人は、次のように話します。

 日本山岳・スポーツクライミング協会 赤尾浩一さん:「“ここで落っこちたらまずいな”という場所が何カ所かありました。慣れている場合であってもハシゴとか鎖場があるところは慎重な足づかいが必要」

 “帰ってくるのは難しい険しい山”。それが、現実となるような出来事が起きました。

■登山者 山岳警備隊・ヘリ目撃

 今月10日、埼玉県川越市の49歳の男性は、2泊3日の予定で長野県白馬乗鞍岳側から1人で入山。しかし、下山予定日の12日になっても男性は戻らず、連絡もつかなかったため家族が警察に届け出ました。

 捜索が行われましたが、手がかりは見つからず。事態が動いたのは、家族の届け出から5日経った17日。別の男性登山者から警察に通報が入ったのです。

 不帰嶮の登山者:「富山県側から『助けて』という声が聞こえる」

 通報を受けた富山県警は、上空からヘリコプター、地上からは山岳警備隊が捜索を開始しました。

 男性の声が聞こえたと通報があった翌日の、18日に不帰嶮で撮影された映像です。番組は撮影者に話を聞くことができました。

 kreuzさん:「(Q.声を聞いたりとかは?)していないですね」「(Q.下に人がいたら分かるような状況?)分からないと思いますよ。怖いから下をあんまり見たくないっていうのもありますしね」

 ほとんど垂直な崖には鎖が設置され、鎖なしで登ることはできません。なかにはこんなポイントもあります。

 掛かっているのか、ただ倒れているだけなのか分からないハシゴ。一歩間違えると、まっさかさまに落ちてしまいます。

 kreuzさん:「細いところだと本当に足一歩分くらいしか置けないところもありますし。夜は半袖とかだと、とてもじゃないくらい寒いですね。風も結構強かったりします」

 撮影者は捜索にあたっているヘリコプターや、呼び掛けを行う山岳警備隊を見かけたと話します。

 kreuzさん:「この辺って荷上げするためにヘリ飛ばしたりするところじゃないと思う。多分人を捜してるんだなって。その時は他のグループの方たちとも、今からそこに行くのに遭難者捜しているのは、ちょっと不穏だなって。あんまり行きたくないなみたいな話をしながら」

■声反響でどこからか分からず…8日ぶりの生還

 映像では、助けを求める声は確認できませんでした。しかし、捜索を開始した初日、山岳警備隊は…。

 富山県警 山岳警備隊 中村直弘警部補:「こちらが『おーい!』と声をかけると『おーい!』と声が返ってきたり、『助けてくれ!』というようなそういった声が聞こえていた」

 捜索中に男性が自分の名前を叫ぶ声も聞いたといいます。声は聞こえるものの発見に至らなかったのには、不帰嶮ならではの地形的な理由がありました。

 中村警部補:「何カ所か移動しながら声をかけても、いろんな方向から声が聞こえてしまって、ここだというのがなかなかピンポイントでは捉えにくかった」

 深い谷になっているため声が反響して、どこから声がしているのか分からない状況だったといいます。

 捜索が難航するなか、20日午後3時55分ごろ、標高およそ2080メートルの谷で手を振る男性を発見。ヘリで救助しました。男性は頚髄(けいずい)損傷等の重傷です。

 行方不明となってから8日ぶりの生還。どうやって男性は命を保っていたのでしょうか。

 赤尾さん:「(こういった山は)1日であっても、あるいは2、3日であっても必ず非常食を持って登るのが基本。食料とかを非常食という形でかなり持っていたのかもしれない」

(「グッド!モーニング」2023年9月22日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事