南極観測隊その後…72万年前の“氷”が伝える環境変化『CO2濃度』産業革命時の1.5倍に(2023年9月20日)

南極観測隊その後…72万年前の“氷”が伝える環境変化『CO2濃度』産業革命時の1.5倍に(2023年9月20日)

南極観測隊その後…72万年前の“氷”が伝える環境変化『CO2濃度』産業革命時の1.5倍に(2023年9月20日)

気候変動の影響が、地球にどのような影響を与えているのか。南極観測隊の調査を通して、太古の昔から現在までの地球環境の変化を探ります。

テレビ朝日の吉田遥記者たちは今年、第64次南極観測隊として調査に同行し、取材を行いました。南極の雪や氷を調べる調査や、氷河の裏側を調べる最新鋭の水中ロボットに密着。初の自律走行にも立ち合いました。

厳しい冬を迎えている南極・昭和基地では、今も温暖化を探る調査が続いています。その一つが『アイスコア』の調査。アイスコアとは、地中奥深くにある氷。この氷で今後の気候変動が予測できるのではと期待されています。すでに日本の観測隊が取得した氷の分析が、東京の研究施設で行われています。

吉田遥記者:「南極より寒いかもしれないです。息が…肺の中から冷える感じですね」

厳重な扉をいくつもくぐり、向かった先にあったのは、-40度で管理されている、段ボール。その中身こそ、南極から持ち帰った『アイスコア』です。

国立極地研究所 川村賢二准教授:「一番底に近いところで3027メートル。これは約72万年前の氷です」

これまで採掘された最も深いアイスコアは、地中3000メートル以上の地点から掘り出した、72万年前のものです。このアイスコアから見えてくるものとは…。

川村准教授:「過去の空気を直接的に保存していて、分析できるのはアイスコアだけです。当時の温度が何度だったのか、総合的に気候変動の研究が大きな時間のスケールでできる」

南極の氷の大地は、降った雪が圧縮され、時代ごとに積み重なっています。アイスコアを調べることで、過去の気温や二酸化炭素の濃度などを正確に解析できます。

川村准教授:「現在の二酸化炭素の濃度は400ppm超えていて、産業革命前は280ppmということを知っている。それはアイスコアがあるから分かる」

実際に分析の様子を見せてもらいました。長さ50センチほどにカットしたアイスコアを約15分、時間をかけながらゆっくりと解かしていきます。熱くなった金属部分によって、氷は徐々に解けます。この時に出る泡が、二酸化炭素を含んだ昔の空気。管を通って、観測装置に入っていきます。

川村准教授:「解けた水は配管を通って分析する。昔の空気が今出てきているが、装置で分析する」

これらの分析によって、南極の気温・二酸化炭素濃度などが、それぞれ関係している可能性があることが分かってきました。しかし、今分かっているのは、これまで採掘できた72万年前まで。これより前の地球環境を解明するため、今、100万年前のアイスコアを採取するプロジェクトが進められています。過去を知ることで、今、そして未来を知ろうとしています。

川村准教授:「メカニズムを調べれば(二酸化炭素濃度の上昇による)影響が将来的にどこに及ぶのか、(二酸化炭素を)減らしたら、影響がいつごろ出てくるとか、そういうことが分かってくる可能性がある」

まるでタイムカプセルのようなアイスコアが、地球温暖化を探るカギになるのです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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