<独自映像>日本人詐欺グループとみられる男ら逃走劇の一部始終(2023年9月16日)

<独自映像>日本人詐欺グループとみられる男ら逃走劇の一部始終(2023年9月16日)

<独自映像>日本人詐欺グループとみられる男ら逃走劇の一部始終(2023年9月16日)

カンボジアで25人の日本人グループが拘束されました
彼らが関わっていたとみられるのが、いま再び増加傾向にある「老人ホーム入居権詐欺」です。
どんな詐欺でなぜまた増えているのか?その背景を探ります。

藤富空記者
「日本人グループはこちらのアパートで身柄を拘束されました
捜査に立ち会った人によると、アパート丸ごと1棟を拠点にしていたということです」

この場所で、特殊詐欺をしていたとみられています。11日、25人の日本人が拘束されましたが、3人が逃走。今も見つかっていません。慌てて逃げたのでしょうか、アパートのテーブルには、飲みかけの水や寝袋などが置き去りになっています。

藤富空記者
「アパートの前にある看板に電話番号が書かれているので連絡を取ってみます」
自動音声
「あなたのかけている番号は違います、もう一度確認してかけなおして下さい」
藤富空 記者
「番号が存在しないということで切れてしまいました」

アパートからは、複数のパソコンやスマホ、マニュアルも押収されています。

■逃走劇の一部始終

独自で入手した防犯カメラ映像には逃走劇の一部始終が捉えられていました。男らを捉えた防犯カメラは全部で9台。アパートの近くにあるレストランの防犯カメラには…誰もいない店内に、次々と男が飛び降りてきます。その数、6分間に12人。男らは、細い路地を抜けて、店の入り口にあるフェンスをよじ登り、大通りに出ると、西の方角に逃走していきます。大通り沿いにある携帯ショップの防犯カメラには…慌てた様子もなく、ゆっくりと大通りを歩く姿が捉えられています。

そして、アパートからおよそ300メートル離れた洋服店に設置された防犯カメラには…

「あ、いた、あ、いた、いた、いた」

逃走時にはぐれてしまった仲間と合流。日本語で「いた」という音声が収録されていました。しかし、その先にある路地に入ったところで当局に拘束されます。一方、当局から逃れた3人は、この地点で三輪タクシー・トゥクトゥクに乗って北の方角に逃走していました。防犯カメラには3人が乗ったトゥクトゥクが走り去る様子を捉えていました。番組では、3人を乗せたという運転手に話を聞くことができました。

逃走中の3人を乗せたという運転手
「彼らを乗せるとき、息を切らせていました、言葉が通じなかったので彼らは指で行く先を示していました」

言われるがままに出発すると安堵したのか、3人は笑顔を見せていたといいます。

8キロ乗せて、およそ1000円の運賃を請求すると…

逃走中の3人を乗せたという運転手
「彼らはお金を持っていませんでした。代金の代わりに持っていたタバコと身に着けていたネックスレスを渡してきました英語で300、300と言って渡されました」

逃げた3人について、現地の日本人会の会長は…

カンボジア日本人会 小市琢磨会長
「これだけ長い期間逃走できるっていうのは、恐らくは逃走を助けてる人がいるのではないかと思う。
受け皿となる日本人がカンボジアにいると思っています」

■老人ホーム入居金詐欺が横行 電話の音声を入手

アパートからは「老人ホームの入居権詐欺」をしていたとみられる資料も押収されています。実在しない老人ホームに入居する権利を購入させたり、入居権を第三者に譲り渡す名義貸しをさせて高齢者を騙して資産を奪い取る特殊詐欺。詐欺グループと高齢者の電話のやりとりを録音した音声を入手しました。これは去年8月、香川県に住む女性のもとに掛かってきた1本の電話。

詐欺グループ
「老人ホームの入居権が当選しました」

女性は、応募した覚えがないと答えると男は「必要ないなら他に譲ってもいいですか?」と聞いてきました。女性は戸惑いながらも、誰かの役に立てばと名義貸しを了承してしまいます。その後、老人ホームの運営会社を名乗る男や弁護士を名乗る男などから立て続けに電話が入り「名義貸しは大きな問題だ」と女性を脅しはじめます。

詐欺グループ
「私も早く終わらせたいんです。会社に隠してこそこそやっているので」

被害者
「こそこそ会社にせないかん仕事か、これ」

詐欺グループ
「じゃあいいですよ、そういうことをおっしゃるのであれば、

私の方で手に負えないということで顧問弁護士の対応案件にしてもらって裁判になると思うので
逮捕・収監されることになってもいいんですね、そうなりますよってお話をしたじゃないですか」

被害者
「逮捕されて収監…」

不審に思った女性は、警察に相談。幸いなことにお金をだまし取られることはありませんでした。

■5900万円だまし取られた高齢者 老人ホーム入居金詐欺への対策は?

こちらは、4年前に夫を亡くし1人暮らしをしていた70代女性。去年6月から8月にかけて老後のために貯めていた5900万円もの資産を老人ホームの名義を第三者に貸したことでだまし取られました。

5900万円だまし取られた70代女性
「(亡くなった夫の)写真をみて毎日謝っています
 あなたが残してくれたお金を全部、好きに使ったんじゃなくて、とられてしまってごめんねって毎日謝っています」

老人ホームの入居権をめぐる特殊詐欺の相談件数は、2014年度をピークに減少傾向にありましたが2022年度は再び増加。前年の9倍以上に…今年度も14日時点で、すでに500件を超えています。なぜ再び増えているのでしょうか?特殊詐欺事件の被害回復に携わる弁護士は…

尾崎毅弁護士
「老人ホームの入居権という手口を使ったケースが詐欺の成立する確率が高いと、お金を取れる可能性が
 高いということで、その手口を使う1番効率のいい手口を使うということでそれが繰り返されていく」

被害に遭わないためにはどうすればいいのでしょうか?

尾崎毅弁護士
「やっぱり見知らぬところからの電話にはすごく警戒心をもって対応する、
 できれば電話に出ないということが1番だと思う」

■急増!「老人ホーム入居権」詐欺…被害額数千万円のケースも

高島彩キャスター:
2022年度から増加傾向にある老人ホームの入居権を騙った特殊詐欺。その手口は様々あると言います。

板倉朋希アナウンサー:
はい。とある町に住む70代の女性のもとに、大手建設会社を名乗るAという人物から電話がかかってきました。

大手建設会社を名乗るA:
「老人介護施設の入居権を譲ってもらえないか」
「あなたの町では70歳以上の女性のみに入居権がある」と言うんです。

高島彩キャスター:
そもそも、入居権なんてものは存在しないですよね?

板倉朋希アナウンサー:
嘘なんですけど、この時女性は嘘とは見抜けずに、

70代女性:
「他に利用したい人がいるのであれば使ってもらって構いませんよ」と答えた。

すると後日、またAから電話がかかってきました。

大手建設会社を名乗るA:
「あなたの名義で他の人が入居できることになりました」と。
そして、この入居に関して入居権を管理しているBという人物からこのあと電話がかかってくるというふうに伝えられたのです。すぐさま入居権管理者を名乗るBから電話がかかってきました。

入居権を管理者を名乗るB:
「入居一次金の入金が確認できた。入金した本人に間違いないか?」と言われたんですね。

高島彩キャスター:
聞いているだけで展開が早くて混乱してくるんですが、AとBはグルってことですね?

板倉朋希アナウンサー:
この状況からしても、間違いなくグルだろうと思われます。しかも入金なんて、全く身に覚えがありませんから70代女性はちょっと不安に感じて最初電話してきたAに連絡をしました。

70代女性:
「今回のことはなかったことにしたい」と伝えたということなんですね。するとAは

大手建設会社を名乗るA:
「迷惑はかけないのでこのまま進めて欲しい。警察に相談したら名義を貸したことがばれてかえって大変なことになる」と言われたと。すぐさまBからもまた電話があったそうです。

入居権を管理者を名乗るB:
「金融庁の調査が入るので本人からの申し込みだと証明するために、後日返金するのでいったん1000万円を振り込んで欲しい」と言われたということです。ですが、この女性は支払いを断って、国民生活センターに相談して結果的には被害に遭わずに済んだということです。

高島彩キャスター:
本当に手の込んだ、いわゆる「劇場型詐欺」ということですけど、見抜くのも難しいですよね。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
巧妙ですよね。ただ特徴は、不安につけ込んでくるということなんですよ。ですから、大切なことは1人で対応せずに、誰かに相談するっていうことが大切だと思います。それと、高齢者にかかってくる電話、「リン」となったらこれは特殊詐欺と疑ってかかるぐらいの気持ちでないといけない。留守番電話にしておくとか、直接電話に出ないということも必要なのかなと。

高島彩キャスター:
ちょっと寂しい気もしますけれども、お金に関する電話っていうのは、まずは疑ってかかったらいいかもしれないという時代になっていますね。国民生活センターによりますと、「入居権が当たりました」という電話や「名義を貸して」などと持ちかけてくるのは詐欺ですので決して信じないようにお気をつけください。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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