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福井・鯖江市「JK課」10年目の今 地域貢献で変化…卒業生は“6年に及んだ対立”解消(2023年8月31日)
30日、北陸新幹線の福井県敦賀駅までの延伸が発表され、地域活性化に期待が寄せられている。その福井県で10年前から地域活性化に携わっているのが、若新雄純さん。若新さんがプロデュースした「JK課」の今を取材した。
■2014年…鯖江市に誕生した「JK課」
福井県 杉本達治知事:「新幹線の開業に向けて、観光地の磨き上げやおもてなしであるとか、重点的に力を入れながら多くのお客様をお迎えしたい」
30日、北陸新幹線が石川県の金沢駅から福井県の敦賀駅まで延伸され、来年3月16日に開業することが発表された。
福井県民からは、喜びの声が上がっている。
首都圏とのアクセス向上に高まる期待。そんな福井県には、独自のやり方で地域の活性化を進めている街がある。
若新さん:「僕の地元、福井県鯖江市にやってきました。10年前に僕が企画提案した市役所のJK課。ここ最近は、直接高校生とかかわりがないので、きょうは現役のJKメンバーとおしゃべりしたい」
福井県出身の若新さんが訪れたのは、福井県鯖江市。人口6万8000人のこの街は、メガネフレームの世界的な生産地として知られ、国内シェアは9割以上となっている。
その鯖江市に2014年に誕生したのが「JK課」だ。
地元のNPO法人が開いた地域活性化のためのコンテストで、若新さんが提案した「ゆるい市民が創る新しい公共」というコンセプトを元に、鯖江市がスタートさせたプロジェクトの名前だ。
■JK課では「結果を気にせず過程を楽しむ」
この「JK課」。一体、どんなものなのか?
この日、市役所にいたのは4人の女子高校生。JK課のメンバーは、鯖江市内の高校に通学、もしくは市内在住の女子高校生で、現在32人が在籍している。
市役所の実際の部署ではなく、メンバーは市との雇用関係もない。この日のメンバーはそろったが、なぜか会議が始まらない。
どひちゃん:「(Q.話し合うために来てるんじゃないんですか?)ゆっくり始まって、始まりが分からないまま始まって終わるみたいな」
若新さん:「分かってんじゃん!これ、JK課の大事な理念」
JK課のコンセプトは、こういった「ゆるさ」。会議への参加は強制されず、大人からの指示やアドバイスもない。
「結果を気にせず、過程を楽しむ」をモットーに、年間計画なども決められていないという。
大人の常識にとらわれない若者のアイデアを行政にいかそうという動きは、徐々に広がりを見せているという。
26日、これも若新さんが創設に携わった新潟県燕市の高校生を中心に運営する「まちあそび部」によるイベントにJK課が訪れた。
JK課はイベントのブースを遊びながら回り、燕市の高校生らと楽しく交流。ただ遊んでいるように見えるJK課だが、これも重要なことだと若新氏はいう。
若新さん:「(Q.これでいいんですか?)すごいいいと思う。ヒントです、ヒント。遊んでヒントを見つけて、何かに生かす。大人がイメージしているような街が、よくなったっていう成果は、すごい時間かかることだし、目先のことじゃなくて」
これまでJK課が企画したものには、このような遊びや雑談の中から生まれたものがある。
水遊びをしたいという願望から生まれたのが、公園の芝に水をやるための「水鉄砲イベント」。この企画はのちに、鯖江市民の交流の場へと変身する。
また、家賃無料で移住を体験できる「ゆるい移住」など、実験的な企画が実現。こうしたJK課の活動が評価され、鯖江市は2015年には「ふるさとづくり大賞」の総務大臣賞を受賞した。
■JK課の卒業生…今は何を?
JK課には、長くても高校に通う3年間しか在籍できない。創設から10年目、卒業生たちはどうしているのか?
今回、4人の元JK課メンバーに集まってもらい話を聞いた。
創設当時にいた1期生から4期生までの4人。今は、何をしているのか聞いた。
りいなさん(1~3期生):「街づくりに関わりたいというのは、(卒業して)働き出したころから思いがあって。街を盛り上げていきたいみたいなのを掲げている会社だったので転職した」
りいなさんは、JK課での経験から、今も街づくりに関わる仕事をしている。そして、こんな人もいる。
あむさん(4期生):「私たちのために(市役所の人が)こんなに働いてくれるというか。そういう人がいたから、市役所のイメージが変わって。それで私、市役所に就職したんですけど。子どもと思うのではなく、一緒の立場になって一緒に考えてくれる熱い人たちと、一緒に働きたいと思った」
若新さん:「もう、JK課が何のために生まれたのか、すべてが詰まっているね」
くにこさん(1期生):「(JK課では)本当にやりたいことしかやっていなくて。『自分の楽しい』と『相手が楽しい』が、両方そろわないとたぶん楽しくない。それに気づけたのがJK課」
■6年に及んだ対立…あっという間に解消
くにこさんはJK課卒業後も、鯖江市のために活動を続け、「ある奇跡」を起こしていたのだ。
久保田酒造 久保田治裕さん(76):「あの子らがいないと、1つにならなかったかもしれない」
こう語るのは、鯖江駅近くで酒店を営む久保田治裕さん。
13年前から、久保田さんらが加入する商店街と駅前ビルにテナントとして入る店などが、駅周辺の運営方針で意見が合わず対立が続いていたという。
そうしたなか7年前、元JK課のくにこさんたちが来て、駅前ビルと商店街の店に一緒にイベントを開催しないかと提案したというのだ。
実はこの時、くにこさんたちは店同士が仲たがいしているのを知らなかったという。しかし、純粋に街を盛り上げようとする若者の姿を見た久保田さんは…。
久保田さん:「やっぱり、なんちゅうんかな…。また考えるわな。こっちの考えも変わるし。こっちから声かけて、一緒にやろうって。(あの子らが)起爆剤みたいな感じ」
6年に及んだ対立は、あっという間に解消したという。
街に様々な反響を呼んだJK課。その活動は、メンバー自身の人生にも大きな影響があったという。
くにこさん(1期生):「(Q.JK課やっていなかったら、鯖江に残ってましたか?)私は、いないですね。完全にいないです」
りいなさん(1~3期生):「あんまり福井を意識していなかったかも知れないですね」
あむさん(4期生):「(Q.(鯖江市役所に)就職していました?)絶対にないです。鯖江自体に、そんなに関わりが無かったので、高専終わってから、鯖江市との関わりが無くなる。社会人になっても関わりたいなと思って、鯖江市役所っていうのもありました」
■若新さん JK課は「電子レンジ」
鯖江市でJK課を10年前に立ち上げた時から、「古い価値観を壊すことの戦いだった」いう若新さんだが、ある人物の価値観が変わったことが大きかったそうだ。
それが鯖江市役所に「JK課」を立ち上がった時のJK課担当だった高橋藤憲さんだ。
高橋さんは当初「私が話している最中も、JK課の子はスマホをいじったり、お菓子を食べていたりで話を聞いてるのか?」と思ったそうだ。
しかし、「JK課の企画が進行し、イベントなどのあいさつや進行をうまくこなしている姿を目の当たりにして『この子ら、すげぇ』と思うようになった」と話していた。
何が大きかったのかというと、若新さんは「高橋さんが、JKが成長したから『スゴイ』と思ったのではなく、そもそもJKは『スゴイ』ということに、気がついたことが大きかった」という。
つまり、女子高校生たちと関わることで、周囲の大人たちが変わったことが大きかったという。
そして若新さんは、そもそもなぜ女子高校生に街づくりの担い手になってもらおうと思ったのか、そのヒントとなる言葉がある。
それは「JK課は電子レンジ」だ。その心を若新さんは、次のように説明する。
「地域を活性化するとか盛り上げるとか、みなさん言いますけど。実は“活性化”って、危険な意味を含んでいるんです。外から刺激を与えることで、それまである状態で落ち着いていたものを動かすと。例えば常温の水が、沸騰したり爆発したりしますよね。爆発した時に、それがどういう影響をもたらすかは事前に読めない。でも、そのままの状態で古くなってきて、通用しなくなってきているから、誰かが刺激を与えて、みんなが今の居心地がいい状態から変化しようとする。刺激になって、みんなが振り回されるなかで、学んだり気付いたり変えていこくとが必要。“電子レンジ”って、直接熱を与えているわけではなく、電子を動かして温めているわけで。当初のJKたちは、校則をちゃんと守ってない子とかいて、大人の思い通りにならない。大人が手に負えない感じの子が手多くて。だからこそ、みんなが振り回され、色んな硬直していた古いものを見直すきっかけになった。気付いたら“温まっていた”。気付いたら“膨れ上がっていた”。そうした状態をつくれたんじゃないかなと」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年8月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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