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「人権侵害の極み」“解体的出直し”社長辞任を提言 ジャニー氏の性加害認定 (2023年8月29日)
ジャニー喜多川前社長による性加害問題で、外部専門家チームが29日に調査結果を公表し、長期間にわたって広範に性加害が繰り返されていたと認定しました。一連の行為は「人権侵害の極み」だとして、これを放置してきた事務所の対応を厳しく批判、藤島ジュリー景子社長の辞任を含む、解体的な出直しを求めています。
再発防止特別チームは、被害者23人から、性加害の具体的な内容について、ヒアリングを行いました。
再発防止特別チーム 弁護士(前検事総長)林眞琴座長:「ジャニー氏が、自宅や合宿所や公演先の宿泊ホテル等におきまして、ジャニーズJr.を含む多数の未成年者に対し、一緒に入浴したり、同衾(どうきん)をしたり、キスをしたり、体を愛撫(あいぶ)したり、また性器をもてあそび、口腔(こうくう)性交を行ったり、肛門(こうもん)性交を強要するなどの性加害を行っていたことを認めました」
再発防止特別チーム 精神科医 飛鳥井望氏:「ジャニー氏が20歳ごろから80歳半ばまでの間、思春期少年に対する性加害を、間断なく頻繁かつ常習的に繰り返していた事実から、ジャニー氏には顕著な性嗜好(せいしこう)異常、パラフィリアが存在していたものと認めます。ジャニーズJr.に対して長年にわたり広範に行われた性加害の根本原因は、ジャニー氏の個人的性癖としての性嗜好異常に他ならない」
その行為は1950年代から行われていて、ジャニーズ事務所では、1970年代前半から、2010年代半ばまであったとされています。
再発防止特別チーム 精神科医 飛鳥井望氏:「長期・広範にわたることを考えれば、少なくとも数百名という被害者の数は、不自然な数ではないと判断をしている」
再発防止特別チーム 弁護士(前検事総長)林眞琴座長:「ジャニーズJr.の間では、ジャニー氏から性加害を受ければ優遇され、これを拒めば冷遇されてしまうという認識が広がっていた供述が得られました。一連の性加害は、被害者の心情につけ込んで行っていたと評価している」
再発防止特別チーム 臨床心理士 齋藤梓氏:「性加害の影響を通して、様々な状況で被害の場面がフラッシュバックする。似たような男性など被害を思い出させる人物や事物を避けるといった、典型的なトラウマの反応。性機能不全・性依存・自己否定感・うつ病など深刻な影響が生じている」
問題の責任は、事務所にもあると指摘しています。
再発防止特別チーム 精神科医 飛鳥井望氏:「メリー氏(当時副社長)は、ジャニー氏の性嗜好異常による、少年たちへの性加害が続いていることを知りながらも、ジャニー氏の行動を止めるのを断念し、結果として放置する形になり、外部に対してはジャニー氏を守り切るために徹底的な隠蔽(いんぺい)をはかってきたものと考えられ、このようなメリー氏の行為が被害の拡大を招いたと考えている。ジャニーズ事務所が見て見ぬふりに終始していたことなどが、被害の拡大を招いた大きな要因になったと考えられる」
さらに、藤島ジュリー社長に向けて、こう提言しました。
再発防止特別チーム 弁護士(前検事総長)林眞琴座長:「ジャニーズ事務所は、ジュリー氏の体制になってからも、この性加害の事実は存在しないという立場を取り続け、最近の2023年になってもなお、性加害の事実については曖昧(あいまい)な態度を維持していた。今後、ジャニーズ事務所が解体的な出直しをするためには、経営トップである代表取締役社長を交代する必要がある。ジュリー氏の代表取締役社長の辞任を求めるとともに、それによって、これまでジャニーズ事務所におけるガバナンス不全の最大の原因の一つであった、同族経営による弊害というものも防止し得ることになると考えます。ジュリー氏では、このガバナンス不全を解消することは、ジュリー氏が残っていては無理であろうと」
そのうえで、社外取締役の活用や、内部監査室の設置などをし、ガバナンスの強化について提言しています。加えて、メディアの姿勢についても言及しました。
再発防止特別チーム 弁護士(前検事総長)林眞琴座長:「背景事情として、マスメディアがジャニー氏の性加害について沈黙していたことから、ジャニーズ事務所が自浄能力を発揮することなく、隠蔽体質を強化していったことに言及をしております」
特別チームは、被害者の救済措置として、救済委員会を設け、補償などの対応を行うことや、時効が成立していても救済の措置の対象にすべきなど、広く救済できる制度が必要としています。
再発防止特別チーム 弁護士(前検事総長)林眞琴座長:「ジャニーズ事務所には、すでに名乗りを上げている被害者だけで、救済を止めては絶対にいけないと思う。日本を代表する芸能プロダクションとして、世界でも高いレベルの人権方針を掲げて、自ら先頭に立って、この業界を変えていく役割を果たす。このことを期待するものでございます」
今回の報告書は、すでにジャニーズ事務所に送られています。
被害者たちが求めてきたのは「事実認定・謝罪・救済」の3つです。
ジャニーズ性加害問題当事者の会 石丸志門副代表:「非常に多岐にわたって詳細な部分まで事実認定がされ、謝罪と救済について踏み込んだ内容になっている」
ジャニーズ事務所だけの問題なのか。そこも問われています。
ジャニーズ性加害問題当事者の会 石丸志門副代表:「ジャニーズ事務所というよりは、人権侵害を犯しているプロダクションと今後、現状のままで取引していいのかという目が、社会から向けられると思っているので、皆さんの自浄努力が求められていくことは痛感する」
元ジャニーズJr.の橋田康さん。性被害を告白して以降、ずっと批判に晒されてきました。
元ジャニーズJr. 橋田康さん:「まずは事実認定という部分で、あのように提言してくれたことが、ものすごく安堵(あんど)したというか、ホッとした、うれしかったというのが率直な感想です。普通に告白してから今日まで『嘘だ』とか『証拠がない』とか、すごく罪を犯してしまった人みたいな、ネットでの誹謗中傷も含めて、そういう部分が多すぎて」
求めているのは、一過性の問題で終わらせないことです。
元ジャニーズJr. 橋田康さん:「(Q.ジャニーズ事務所はどうなっていくべきか)『性加害がないように、こんなことを徹底しています』と、ジャニーズ事務所が徹底してくれたら、必死になってくれたら、それに連なって周りの芸能プロダクションも規律を正すというか、姿勢を正すというか、足並みをそろえて、きれいな、クリーンな芸能界になっていくのではないかと」
ジャニーズ事務所は「再発防止特別チームからの提言および会見内容を真摯に受け止め、今後に予定をしております弊社による記者会見にて、その取り組みを誠心誠意ご説明させていただく所存でございます」とコメントしています。
■経営陣・事務所スタッフの認識は
今回の調査の中身を改めてみていきます。
事実関係について、調査を行った再発防止特別チームは「ジャニー氏の性加害は事実である」と結論付けました。1970年代前半~2010年代半ばまで間断なく続き、多数のジャニーズJr.(デビュー前のアイドルタレント)に長期間・広範囲にわたって性加害を繰り返されたとしました。
被害が続いたことについては、いくつかの要因を挙げています。
(1)ジャニー氏の性的嗜好異常
(2)メリー氏による放置と隠蔽
性加害の事実を知りながら放置。不祥事が露見して事業に影響が出ることを危惧し、事実を隠ぺいし続けた可能性がある。
(3)ジャニーズ事務所の不作為
事務所マネージャー・スタッフの中には、性加害の事実を認識する者が相当数いたと推察される。藤島ジュリー社長については、疑惑の認識はしていたが、積極的な調査など対応を取らなかった。こうした、ジャニーズ事務所の不作為が大きな要因となったとみている。
(4)被害の潜在化を招いた関係性における権力構造
被害が拡大したと背景には『同族経営の弊害』を挙げています。ジャニー氏のカリスマ性が強くなり、誰もジャニー氏に対して文句を言えず、言おうともしなくなる。同族経営の負の企業風土が強く醸成されていたと推察される。ジャニーズ事務所が“解体的な出直し”をするため、社長を交代する必要があると言わざるを得ず、ジュリー氏は辞任すべきと踏み込んだ提言をしています。
さらに、マスメディアの沈黙についても言及しています。ジャニーズ事務所のアイドルタレントを自社のテレビ番組に出演させることができなくなる危惧から、ジャニー氏の性加害報道を控えたと考えられるとしています。
企業ガバナンスが専門の、青山学院大学・八田進二名誉教授はこう指摘します。
青山学院大学・八田進二名誉教授:「事実認定が正式にされたことは評価できる。この提言をジャニーズ事務所が実行していくか注目。ジュリー氏が社長を辞任しても、大株主である限り、影響力や権限は残る。資本構成を変えなければ“解体的な出直し”はできない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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