純喫茶「珈琲西武本店」59年の歴史に幕 “不純喫茶”?「ドープ」昭和レトロ引き継ぐ新たな試み #shorts

純喫茶「珈琲西武本店」59年の歴史に幕 “不純喫茶”?「ドープ」昭和レトロ引き継ぐ新たな試み #shorts

純喫茶「珈琲西武本店」59年の歴史に幕 “不純喫茶”?「ドープ」昭和レトロ引き継ぐ新たな試み #shorts

“昭和レトロ”の魅力を守り続ける新宿駅すぐ近くの純喫茶が、8月31日で59年の歴史に幕を閉じます。建物の老朽化によって、次々と純喫茶の名店が閉店していくなか、新たな形で継承しようという動きも出てきています。

■“昭和レトロ”新鮮に感じる若者

 行列ができていたのは、8月31日で閉店する東京・新宿の純喫茶「珈琲西武 本店」です。

 まるで大人の社交場のような落ち着いた空間。創業当時からあるステンドグラスは、コーヒーにも映り込みます。

 20代:「8月末で閉まると聞いて、一回来たいなと思って来ました。ステンドグラスが、すごくかわいい」

 10代:「レトロがはやっていて、今。それで色んなところを調べた」「今どきのカフェには、あまりない感じでおしゃれ」

 今、訪れている客の多くは“昭和レトロ”を新鮮に感じる若者だといいます。

■“豪華”プリン・ア・ラ・モード人気

 創業したのは59年前、最初の東京オリンピックが開催された年でした。

 当時は高度経済成長の真っただ中で、若者の間では喫茶店がブームになりました。中には、ミイラ男が客を驚かすホラーな喫茶店まで出現しました。

 そんななか、「純喫茶」としてオープンしたのが「珈琲西武」です。以来、新宿で喫茶文化を守り、多くの人に愛されてきました。

 そんな店の人気メニューは、店内で焼かれるプリンをメインに、フレッシュフルーツとアイスをふんだんに盛り付けた豪華なプリン・ア・ラ・モードです。

 10代:「めっちゃかわいい」
 10代:「すごいね、ここらへん。まわりが。メロンもある」

 自家製デミグラスソースに卵6個をたっぷり使ったオムライスも人気です。

■老朽化でビル取り壊し…歌舞伎町へ

 昭和の香りを色濃く残す「純喫茶」にミニチュアトイを製作する会社も注目。「珈琲西武」の深紅のソファは商品化もされました。

 ケンエレファント 開発部 小嶋さん:「すごく高級感があって、ソファに花柄のような模様が入っていたので、これ再現できるのかというのが正直な感想でした。予想以上の反響がありました。(純喫茶は)弊社の中ではシリーズ化している商品です」

 再び脚光を浴び始めたなかでの閉店。老朽化でビル自体を取り壊すことになったため、歌舞伎町のビルに移転することが決まったのです。

■移転先では「引き継いでより良い店を」

 30年以上前、青春時代をここで過ごしたという男性はこう話します。

 50代:「大学のサークルの集まりで、月1回利用していたので、懐かしくなって来ました。(当時は)話し合いとかで周りは見てなかったが、色々悩んでいた時期ではあります」

 当時、山登りサークルの打ち合わせで仲間と意見をぶつけあっていたため、店の魅力には気づかなかったといいますが…。

 50代:「改めて見ると趣があって、純喫茶という感じでいいなと思っています。学生の時の思い出なので、なくなるのは、すごく残念です」

 あと2日で59年の歴史に幕を下ろしますが、移転先では、どのような店になるのでしょうか?

 珈琲西武 スーパーバイザー 佐々木善弘さん:「ステンドグラスだったり店のタイルだったり、引き継いでより良い店を作り上げていければと思っている」

■純喫茶を引き継ぎ…“新名所”に

 全日本コーヒー協会によりますと、喫茶店の数は1981年の15万4000店をピークに減少の一途をたどり、2016年には、ほぼ半分の6万7000店まで減っています。

 純喫茶も、建物の老朽化や後継者不足などの問題に直面していて、町から姿を消しつつあります。

 そんな「純喫茶」を新たな形で受け継いでいこうという試みもあります。

 3年前、東京・中野にオープンしたのが、“不純喫茶”「ドープ」です。

 元々ここは、30年以上続いた「純喫茶」の居抜き物件。内装は古びていましたが、それを“カッコいい”と捉え、テーブルや椅子・照明など、ほとんどそのまま生かしたといいます。

 “不純喫茶”「ドープ」 佐野遥香さん:「古いものをなくすより再利用することで、積み上げてきたものを受け継いでいく」

■夜は酒も提供“二毛作” 経営面でも工夫

 一方で、サクランボのネオンなどポップな装飾を施し、BGMにはヒップホップを流すなど新しさも追求しています。

 メニューはクリームソーダやプリン、ナポリタンなど喫茶店の定番を用意しつつも、インスタ映えするように見た目にはこだわっています。

 佐野さん:「若い子が新しいなとインスタにあげたり、食べにきてくれている。逆に(年配の)世代の方は懐かしいと思って、ランチに利用してくれる」

 夜には酒の提供も行う“二毛作”で経営面でも工夫。新たな形を模索しています。

 佐野さん:「(Q.工夫する理由は?)『古いモノ=なくす』という考えを店のオーナーはしていなくて。その良さを残しつつ、加えて新しいものにして続けていく。純喫茶から“不純喫茶”につなげているので、そういう気持ちが強いのだと思う」/a>

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