プリゴジン氏死亡でワグネルどう動く?幹部の有事に自動発動“行動計画”元幹部を取材(2023年8月28日)

プリゴジン氏死亡でワグネルどう動く?幹部の有事に自動発動“行動計画”元幹部を取材(2023年8月28日)

プリゴジン氏死亡でワグネルどう動く?幹部の有事に自動発動“行動計画”元幹部を取材(2023年8月28日)

搭乗するジェット機が墜落し死亡したとされるプリゴジン氏についてロシアの捜査当局が本人だと確認したと発表しました。
リーダーを失ったワグネルが今後どう動くのかに関心が集まる中、元側近など関係者を取材しました。

■プリゴジン氏死亡 当局が正式発表

「プリゴジン氏の死が正式に発表されました。その後、多くの市民がつめかけているようです。中には、ワグネルの関係者とみられる軍服を着た男性たちも次々とやってきています。」
この週末も、モスクワでは「ワグネル」の創設者、プリゴジン氏を追悼する人々らの姿が見られました。
(献花に訪れた人)「亡くなった理由については言いたくないですが、私たちのため戦ってくれました。」
Q. 彼の死に誰が関与していると思いますか?
「そのことはよくわからない。でも私にとって英雄です。」

■出発直前に内覧や修理…ジェット機めぐる謎

「飛行機だ。」
「本当に?」
「どこに落ちているの?」
23日に墜落した、プライベートジェット機。ロシア連邦調査委員会はDNA鑑定の結果、プリゴジン氏の死亡が確認されたと発表しました。
これはロシアの独立系メディアが公開した、ジェット機の機内とされる映像です。撮影されたのは、墜落の8時間前。実は、この機体は売りに出されていて、下見に来た購入希望者が撮ったのだと言います。
(購入希望者)「座席シートの革を張り替えないとね。」
機内には、ヘルメットをかぶったプーチン大統領の写真に、『小火器図鑑』、『世界の武器』などの本も。
この日、ワグネル所有のジェット機に何が起きたのか。番組では、搭乗者名簿に名前がある、客室乗務員、クリスティーナさんの親族に話を聞くことができました。
(クリスティーナさんの親族)「私も泣きましたし、(クリスティーナさんの)母も泣いていました。」
この親族は、プリゴジン氏のもとで、仕事をしていることを知り、こう声をかけたそうです。
(クリスティーナさんの親族)「『愛するクリスティーナ。常に監視の目にさらされます。どうなるか本当に考えましたか?』と。彼女は『大丈夫。プリゴジン氏には客室乗務員として接しているだけです』と。」
今、現地メディアが注目し、報じているのが、クリスティーナさんが出発前に別の親族と交わしたやりとりです。
「クリスティーナは『機体の“予定外の修理”のために出発が遅れている。出発の連絡を待っている』と話していた。」
飛行当日の“購入希望者による下見”と、“予定外の修理”は、墜落と何か関係があるのでしょうか。
ロシア独立系メディアの編集長は、機内に爆弾が仕掛けられた可能性を指摘します。
(ロシア独立系メディア 「アイストーリーズ」 アニン編集長)「プリゴジン氏たちは非常に警戒して、常に飛行機もルートも変更していた。専門家は「爆弾の可能性が高い」と考えている。空港でプライベートジェットに爆弾を持ち込む、それができるのはロシア特殊部隊だけだ。疑う余地なくこの殺人の背後にプーチン大統領がいると考えている。」

■元側近ら証言 引き金は“アフリカ利権”か

(プリゴジン)「ショイグ!ゲラシモフ!」
プリゴジン氏が武装蜂起を宣言し、モスクワに向けて、一時、部隊を進軍させてから、ちょうど2カ月。なぜ、このタイミングだったのか。
元ワグネルの指揮官で、プリゴジン氏の補佐役も務めたガビドゥリン氏は―。
(元ワグネル指揮官 マラート・ガビドゥリン氏)「(アフリカ諸国で)暴力で抑圧されている状況を、ワグネルが変え、人々を助けた。アフリカのすべてのプロジェクトはプリゴジンが統率している。」
ワグネルは、アフリカ諸国の内戦などに介入。その見返りとして、巨大な利権を得たとされています。
イギリスに拠点を置くシンクタンクは、この2カ月で、“アフリカ利権”に大きな変化があったと分析します。
(英シンクタンク「ドシエセンター」 ロジジェストベンスキー氏)「ロシア政府は全力でプリゴジンをアフリカ事業から切り離そうとしていた。この“アフリカ利権”の奪い合いにロシア政府は成功した。」
ただ、プリゴジン氏は“アフリカ利権”に意欲を持ち続けていたようで、墜落の2日前にも―。
(プリゴジン氏)「アフリカをより自由にする。アフリカの人々に正義と幸福を。」
このプリゴジン氏のアフリカ行きも、プーチン大統領はすべて把握していたようです。
(プーチン大統領)「(プリゴジン氏は)きのうアフリカから帰国したばかりで、複数の政府関係者と会っていた。特にアフリカで成功し、石油や天然ガス、希少金属や宝石を取り扱っていた。」
アフリカでの功績を称えてみせた一方で…
(英シンクタンク「ドシエセンター」 ロジジェストベンスキー氏)「プーチン大統領自身もプリゴジン氏をアフリカの事業から外すために動いていた。反乱2カ月後にあたる、この日は裏切者を消すには適切な時だったのです。」

■ワグネル今後どう動く?電話してみると…

「ワグネル」は、今後どう動くのか。各地のワグネル事務所に電話取材をしてみると…
Q. ワグネルの事務所ですか?
(ベルゴロド州のワグネル事務所)「いいえ、冷蔵庫販売店だ。冷蔵庫を販売しています。」
「唯一知っているのはワグネルが作曲家ということだけだ。」
Q. ワグネルの事務所ですか?
(カリーニングラード州のワグネル事務所)「いいえ、もちろん違います。」
Q.ニュースでプリゴジン氏が亡くなったことを見ていませんか?
「うちのテレビは故障しているんだ。」

■有事に発動 ワグネルの“行動計画”とは

一方で、SNS上では、こんな呼びかけも。
(ワグネル兵とみられる人物)「ワグネルが何かするんじゃないかと、多くのことが言われている。現在、言えることはただ一つ。我々は動き出しているので待っていろ。」
ロシアメディアは、プリゴジン氏ら幹部が死亡した場合に自動的に発動する“行動計画”が存在していると報じました。
元ワグネルの指揮官は、この“行動計画”について―。
(元ワグネル指揮官 マラート・ガビドゥリン氏)「戦闘に参加している部隊には、必ず“行動計画”は存在している。指揮官が部隊から消えた場合、その指示が機能する。」
ただ、2019年にワグネルを離れ、今の“行動計画”の詳細は知らないとした上で…
(マラート・ガビドゥリン氏)「“行動計画”は戦闘地域でのことだ。ロシア国内で反旗を翻すなんて無理だ。」
一方で、プーチン政権がワグネルの解体を急げば、戦闘員らの反発を招くとの指摘もあります。
(ロシア独立系メディア 「アイストーリーズ」 アニン編集長)「ワグネル兵数人と話をした。全員が指示を待っていた。ワグネルには司令官会議というものがあり、約20人で構成されている。モスクワへの再進軍も否定はできないし、ロシア政府への復讐に出ることも否めない。」

8月27日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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