“1分間に1.6キロのスピード”マウイ島の山火事 燃え広がり方を徹底検証(2023年8月19日)

“1分間に1.6キロのスピード”マウイ島の山火事 燃え広がり方を徹底検証(2023年8月19日)

“1分間に1.6キロのスピード”マウイ島の山火事 燃え広がり方を徹底検証(2023年8月19日)

世界で相次ぐ山火事。被害が拡大しています。カナダではオーロラ観光で知られるイエローナイフに火が迫り、およそ2万人に避難命令が出る事態になっています。一方、ハワイのマウイ島では死者が増え続けています。変わり果てた町を緊急取材しました。

■“オーロラの都”観光地に迫る炎

(カナダ・ブリティッシュコロンビア州 17日)
「OhMyGod…何と言えばいいか…」

カナダ、ブリティッシュコロンビア州のケロウナ。湖の対岸の山がオレンジ色に染まっています。18日未明、人口15万人のケロウナ市に非常事態宣言が発令され、市民に避難命令が出されました。

無線「今からオールドタウンに向かう」
男性「ヤバいな…」

北西部ノースウエスト準州でも大規模な火災が発生しています。州都イエローナイフは年間を通してオーロラが出現する率が高い世界的に人気の観光地です。そんな「オーロラの都」にも炎が迫っています。

(イエローナイフから車で避難した嶋田幸一さん)
「夜中止まらないで走れる時は走ったので。26時間ぐらい。3時間走って2時間うたた寝して。そういうやり方で走って来た」

イエローナイフからおよそ1500キロ離れたエドモントンまで避難した嶋田さん。休憩中に撮影したという写真を見ると空にはオーロラが輝いていました。市外に出る幹線道路が一本しかなく、避難は大変だったようです。

いまカナダ国内で起きている山火事は1000か所以上。自然豊かなカナダは元々山火事が少なくありません。しかし、今年の焼失面積はすでに例年のおよそ6倍と段違いの規模になっています。

■変わり果てたラハイナ マウイ島の死者114人に

一方、こちらの山火事も深刻です。焼け焦げた車に、崩れ落ちた建物。8日未明にハワイ州マウイ島で発生した山火事。かつて賑わいを見せていた人気の観光スポットは無残にも、跡形もなくなっていました。

(力石大輔記者 マウイ島ラハイナ 18日)
「不思議なのは完全に燃えてしまっているところと、そうでないところと差が激しい。火の動き方が全く違うんだなと思います」

死者はこれまで114人確認されていますが、捜索は、被害地域の78%に留まっているため、さらに増える可能性があります。

(力石大輔記者 マウイ島ラハイナ 18日)
「やはり電柱の周りです。熱で垂れてしまっていますが、地面をよく見ると、外来の植物があったエリアですね、この辺りがよく燃えています」

焼失面積はおよそ9平方キロメートル。東京・台東区とほぼ同じ面積です。

■マウイ島 なぜ被害広範囲に?

なぜこれほど広範囲に被害が出たのでしょうか?番組では、発生直後に撮影された映像から火がどのように燃え広がったのか、検証してみました。

火災が発生したのは、8日の午前6時37分ごろ。その3分後に撮影された映像には…強風が吹き荒れる中、地面から煙が上がっています。映像をよくみると、切れた電線から火花が出ていて雑草に引火していくのが確認できます。

そこからさらに、8分後の午前6時48分ごろに撮影された映像には…

消防士「こっちに来てくれ!」

家の前が燃え、強風によって炎が横に広がっているのが確認できます。黒い煙は次第に空を覆い尽くし、車で避難する人の行く手を阻みます。そして、強風によって広がった大きな炎が山から住宅街に燃え広がっていきます。

当時、ハワイ諸島の南で発生したハリケーンなどの影響で最大瞬間風速は、およそ30メートル。その強風が山を越えてラハイナに吹きこんでいました。この動画を撮影したロバートさんとリンダさんは当時の状況について…

(動画を撮影したロバート・アルコナドさん)
「辺り一面、火の海でした」
(動画を撮影したリンダ・オルティスさん)
「黒い煙によって、どこを運転しているのかさえ、見えませんでした。車は燃え広がる炎で熱を帯びていました」

午後になると、火の手はさらに拡大していきます。

(撮影者)
「違う、そっちに曲がらないで!そっちじゃない、No!No!No!」

これは車の後部座席から撮影された映像。そこには視界を遮るほどの大きな炎と煙が…車の窓に何度も火の粉が打ち付けていました。バスで避難した観光客からはこんな声が…

(バスで避難した観光客 マウイ島 10日)
「まるで爆弾でも落ちたようだった。火が迫ってきて、ガソリンが満タンだった車はすべて爆発した」

強風によって、車に飛び火して爆発する2次被害が相次いだというのです。

火の手は、沿岸まで広がりました。そして、8日の午後5時すぎ。逃げ場を失った人たちは、海に飛び込みます。

(海に避難した観光客 8日)
「車を捨てて、みんなで海に飛び込んだ。浮き板を見つけて、みんながそれにぶら下がった。必死で持ちこたえるのがやっとだった」

■糸魚川火災との共通点も?

こうした火災は日本でも起きていました。2016年12月、新潟県糸魚川市で起きた大規模な火災。ラーメン店から出火し、10時間以上も燃え続けて147棟が焼失しました。マウイ島の山火事と共通している点を火災の専門家は指摘します。

(東京理科大学 総合研究所 関澤愛教授)
「(どちらも)山から吹き下ろしてきた季節風で海岸に向かって火災が広がっていったんですけど、それが帯状に広がっていった。(マウイ島の山火事は)糸魚川市火災みたいなものが横並びでいくつもできていたのかな」

共通している点は、山から吹いた強風によって飛び火し、広範囲に火の手が回ったこと。マウイ島の山火事はそれが同時多発的に起きた可能性があるといいます。

今回の山火事は1分間に1.6キロのスピードで燃え広がったという情報も…

(東京理科大学 総合研究所 関澤愛教授)
「やはり強風のせいで、海岸の東側の風が吹いていますので、わずか数時間で火災が海岸まで近づいたんじゃないか」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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