富士山 超過密&弾丸登山でトラブル多発…夜の登山道“寝袋”で占拠も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年8月11日)

富士山 超過密&弾丸登山でトラブル多発…夜の登山道“寝袋”で占拠も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年8月11日)

富士山 超過密&弾丸登山でトラブル多発…夜の登山道“寝袋”で占拠も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年8月11日)

 11日は山の日です。今年、夏山シーズンの富士山はにぎわっています。お盆を控え、さらなる混雑が予想されます。そこで、山梨県は「危険と判断した場合、11日から規制を始める」としています。

■富士山の登山道 山梨県が全国初の規制導入

 夏の登山シーズンが到来し、富士山5合目には人、人、人。大混雑のなか、目立つのは外国人登山客の姿です。

 アメリカから来た留学生グループ:「頂上まで登ろうと思っています」

 世界遺産認定から今年で10年の節目を迎えた富士山。山梨県側の吉田口登山道には、9日までに約9万人の登山客が訪れていて、コロナ禍前の2019年に並ぶ盛り上がりを見せています。

 こうしたなか、軽装登山で転びそうになる人、リュックを持たず山を登る人も目立ちます。

 登山客の急増に対応するため、山梨県は全国で初めての対策を取りました。

 山梨県 世界遺産富士山課 笠井利昭課長:「登山者の安全を確保するために、登山道において、登山者の進行を規制する」

 混雑による転倒や落石の危険があると判断した場合、登山道の規制が11日からスタートします。

■“弾丸登山”急増 高山病のリスクも

 続々と登山口を登っていく人たちの列は、夜になっても続きます。帰りのバスがなくなった午後8時…。

 外国人男性グループ:「(Q.皆さんこれから山に登る?)はい。登ります」「(Q.宿とかホテルは取っていない)取っていません」「ちょうど日の出のところで、山頂に着きたいので、今から(登り)始めたら、ちょうど良いタイミングで着くかもと思って」

 5合目を夜に出発し、徹夜で一気に山頂を目指す弾丸登山は、通常は途中の山小屋で仮眠を取りながら1泊2日で登ります。

 しかし、弾丸登山では十分な休息が取れないため、高山病のリスクなど危険が伴います。

 なぜ、弾丸登山が増えているのでしょうか。山小屋関係者は、次のように話します。

 7合目山小屋「鎌岩館」岩佐克圭代表:「例年に比べて(予約が)埋まるのが早いなという印象で、おかげさまで8月いっぱいくらいまでは、キャンセル待ちの方が相次いでいる」

 登山客の増加に伴い、山小屋の多くは満室状態になっています。

 その結果、午前2時すぎの8合目では、冷たい風が吹くなか座り込む人の姿もありました。深夜の山小屋前で過密状態の登山者たちが、座り込んでいました。地面に直接寝そべって、仮眠を取る人々もいます。

 岩佐代表:「山小屋の予約とれないからといって“弾丸”には踏み切らず、予約状況を冷静に見て頂きながら、意外と直前で空いているパターンもありますし」

■弾丸登山で無謀な行動も…救助活動が増加

 富士山を訪れる多くの登山者。その結果、増えていることがあります。

 救助作業も行う山岳ガイドの太田さんは、今年は毎日のように救助が必要とされているといいます。

 マウントフジトレイルクラブ 太田安彦代表理事:「事故・けがの発生というのは、例年より多いという感覚があります」

 山頂での救助要請が入り、太田さんが駆け付けました。

 救助された人:「風で吹き飛ばされた時に、岩に背中を打った」「(Q.それによって気持ち悪いとかは)それはない」

 1人で富士山にやってきた男性は背中を強く打ったうえ、低体温症で動けなくなってしまいました

 救助された人:「(Q.無謀な登山でこうなっちゃてるんですけど)うん」

 この男性も、弾丸登山を行っていました。

 男性は車両に乗せられて下山し、救急車に引き渡された際、救急隊員が毛布をめくると、半ズボン姿でした。軽装で弾丸登山という無謀な行動でした。

 パトロールをしていると、寝袋で眠っている人たちが目に入ります。ここは、人々が通る登山道です。

 太田代表理事:「(富士山は)強風も20メートルから30メートルぐらい吹いて、体感温度もマイナスになってしまう。それが二つ重なると、一気に低体温症の危険もあって、みるみる間に重症化してしまうというのが、なかなか承知していただけていない」

■夜だけで4人の登山者が救護所に…

 夏でも夜には氷点下になることがある富士山。体調に異変を感じた時の拠り所となっているのは救護所です。

 午前0時15分ごろ、インド人の夫婦が7合目の救護所を訪ねてきました。2人は山小屋が取れず、弾丸登山をするなかで、女性が右足首をひねってしまいました。

 7合目救護所・栗原極医師:「ちょっと冷やしてもらおうか。氷みたいなものって?」

 看護師:「氷がなくて、冷蔵庫のお水とかしかなくて」

 富士山では貴重な水や氷。結局、冷蔵庫にあったサイダーで代用し、腫れ上がってしまった足を冷やします。

 栗原医師:「少し冷やして、湿布も貼って、大丈夫だったら帰るって形にしようかな」

 しかし、女性の容体はなかなか回復しません。

 車両に乗せて5合目まで降ろすことも検討しましたが、代金は4万円です。夫婦は支払うことができないとして、4時間ほど休憩し、自力で下山していきました。

 女性が救護所を出た直後には、前日の夜から登り始めたアメリカ人の男女が、医師と相談していました。

 患者:「頭痛がして…」

 栗原医師:「高山病って知っていますか」

 患者:「初めて聞きました」

 女性は高山病と診断され、薬を処方されました。結局、この日は一晩で4人の患者が救護所を訪れました。

 栗原医師:「1日3、4件くらいと聞いていたので、夜だけで4件来るというのは、自分では初めてのことでビックリしている。登山を軽視している登山客も一定数いるのではないか」

■「富士山レンジャー」山の安全を守るために

 深夜には山小屋に宿泊できない登山者で“過密状態”だった登山道。頂上にたどり着いた後の下山道でも、多くのトラブルが発生しています。

 富士山レンジャー 櫻井美穂さん:「ここで寝てると、石が落ちてきますよ」

 座り込んでいる男性グループに声を掛けるのは、山の安全を守るため、危険な登山者を注意して回る「富士山レンジャー」と呼ばれるパトロール隊です。

 隊員:「どこか具合悪い?大丈夫?」

 インド人登山客:「大丈夫」

 同行して取材していると、下山道の脇で横たわっている男性に声をかけます。

 隊員:「これって、寝袋ですか?」

 インド人登山客:「はい」

 隊員:「昨夜は、どこで寝たんですか?」

 インド人登山客:「8.5合目で寝ました。45分ぐらい寝た」

 富士山レンジャーに注意された男性は、ゆっくりと歩き出しました。

 さらに、下山道を巡回していると、足を痛めて動けなくなった2人組に声をかけます。

 隊員:「もう歩けないってこと?」

 ベトナム人登山客:「行くことはできないの」

 隊員:「歩けない?」

 ベトナム人登山客:「はい」

 この2人組も、山小屋の予約ができなかったといいます。

 隊員:「けがない?」

 ベトナム人登山客:「けがないです」

 隊員:「ここまで来たんだからね。自分で帰らないとダメなのよ」

 ベトナム人登山客:「はい」

 女性はツアーバスの集合時間に間に合わず、その後、自力で帰ることになりました。

■“日本一の頂”富士山頂に到着した親子

 混雑の影響で山小屋の予約が取れないなか、偶然にも3日前に、山小屋が予約できた當山さん親子は、富士登山を決めたといいます。

 父の収さんと次男の大輝君は、山頂を目指します。

 父 収さん:「とりあえず8合目を狙っています。そこで(山小屋を予約しているんです」

 大輝君:「すごく緊張しているんですけど、楽しみです」

 大輝君は、4年前に3つ上のお兄さんが山頂まで登った話を聞き、富士登山に興味を持ちました。

 収さん:「負けたくないんだよね?」

 大輝君:「そう、負けたくない」

 大輝君は、お兄ちゃんに負けないようにと登ります。登山開始から約6時間が経過した午後8時ごろ、8合目の山小屋に到着し、次の日に備えて仮眠を取ります。

 しかし、ここまで勢いよく登ってきて、疲労がたまってしまった大輝君。

 収さん・大輝君:「おはようございます」
 大輝君:「すごく寒いです。これ4枚ぐらい着ています」

 体調回復を優先するために、ご来光は山頂ではなく山小屋前から見ることにしました。

大輝君:「そろそろ見えてきた」

 午前4時45分、ついにその時が訪れました、

 収さん:「頑張ったね」

 大輝君:「ここまできれいだとは、予測していなかった」

 収さん:「価値があるね」

 大輝君:「なんか勇気を与えてくれました」

 大輝君は「ご来光から勇気をもらった」と話し、その後、ゆっくりと山頂を目指します。

 午前6時50分ごろ、約17時間かけて、ついに“日本一の頂”富士山頂に到達します。

 大輝君:「うわーすごい。頂上に着いた時、あまり疲れなかった。疲れは1回泊まったから大丈夫だった」
 
 大輝君:「本当に絆が強くなった」

 収さん:「強くなったな」

(「羽鳥慎一モーニングショー」2023年8月11日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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