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富士山「山小屋満室」で“弾丸登山”急増…体調急変者も続出「準備不足でした」【Jの追跡】(2023年8月5日)
コロナ禍で敷かれていた規制がすべて解除された今年の富士山の山開き。山梨県側の吉田ルートには、去年の3倍近い2000人を超える登山者が訪れました。
今年は“過去に類を見ない”登山者数になるだろうと予測する自治体や山小屋の関係者たち。彼らが懸念しているのは、山小屋に予約が殺到し“満室”になったことで急増する“弾丸登山者”の急増です。
登山道で取材を続けると、「ご来光」目当てに雨風のなか、一気に山頂を目指す「弾丸登山者」が続出。さらに、体調不良者も…。
異例のスタートとなった富士登山の様子を追跡しました。
■“軽装”登山客…半パン、雨具も持たず
7月1日、山開きを迎えた富士山。去年の映像を見ると、マスクをした登山客も多く、人もまばらです。
マスクなしでの登山が可能になった今年。山梨県側の登山道「吉田ルート」には、2000人を超える登山客が殺到。去年と比べると、およそ3倍です。
その登山客の半数近くが、外国人です。
アメリカから来た登山客:「(Q.寒くないですか?)暑いです。歩いているから」
雨がやみ、気温が上がってきたこともあってか、薄着で登る人たちの姿がありました。なかには、靴ではなくサンダルを履いている人もいます。
外国人登山客:「(Q.これから上に行く?)あした登るから、ここまで下見に来たんだ。さすがに、サンダルでは危ないから登らないよ」
外国人に対応する県の係員:「頂上へ行くのは、とても大変。風も強いから登るのは無理よ」
県の職員が注意を促していたのは、短パン姿で、リュックも雨具も持たずにやってきた外国人のカップルです。
県の係員:「あの格好で上に行くのは危ないので。なるべく声掛けをして」
晴れていた空が一変、気温が下がり、雨が降り出しました。山の天気は、変わりやすいのです。
そうしたなかでも、軽装で登ろうとする人が後を絶ちません。
外国人登山客:「上には行かないよ。大丈夫、行かないよ」
県の係員:「ああいう人が危ない。(注意を)聞かない人たくさんいます。自分の力を過信している人とか。何かあると大変なんですよ」
さらに、天気は悪化。たたき付けるような雨が降ってきました。
そんななか、まるで買い物帰りのような格好でたたずむ男性。雨具を持っていないのでしょうか?
登山客:「(雨具は)中にあるんですけど、取り出すのが面倒だったので」
取材班:「冷えちゃうと、動けなくなっちゃうので」
3人の友人と登ってきたという男性。この日訪れたのには、こんな理由がありました。
登山客:「去年は、彼らが高山病になって(登頂を)断念した。今年はリベンジで、頂上でご来光を見たいと思います」
富士登山では、わずかな油断が命取りになります。体調を崩せば、登頂を断念せざるを得なくなる可能性もあります。
■“山小屋満室”で…「弾丸登山客」急増
山小屋で1泊し、山の高さに体を慣らしてから、山頂を目指すのが一般的。取材班が宿泊する建物内は、コロナ禍前とは様変わりしていました。
七合目トモエ館 梶原元さん:「各山小屋が個室化したので、(宿泊人員の)キャパ数が減った」
感染対策として個室化を進めたことで、収容人員がコロナ禍前の6割ほどに減少。そこへ今年は、海外からの登山客も急増し、予約が殺到。受付を開始した初日に、シーズン全体の予約がほぼ埋まってしまったのです。
満室となった山小屋。この状況に、関係者は大きな危機感を抱いていました。
梶原さん:「宿泊予約が取れなかった登山希望の人が『弾丸登山』をしてしまうことが心配。寒さで震えたり、高山病になったり。体調を崩す人がかなり多い」
山小屋に宿泊せず、夜に登山を開始し山頂でのご来光を目指す、いわゆる弾丸登山。
高山病や低体温症などで体調を崩し、救護所に運ばれる割合は、1泊した場合の14倍といわれるなか、続々と弾丸登山客が…。
ヘッドランプの明かりを頼りに登ってくる、大勢の登山客の姿がありました。
“弾丸登山”の大学生:「山小屋の予約が取れなくて」「ぶっちゃけ弾丸です。次第によっては、妥協点もありますけど」「頂上で(日の出)を見たいなと」
その後も、弾丸登山客が次々と登ってきます。
山小屋スタッフ:「山頂はすごく寒い。寒くておかしいと思ったら、下に下りたほうがいい。『低体温症』、病気になる」
登山客:「(Q.何時に登ってきたの?)夕方5時15分から。真っ暗だけど、ガンバリマス」「グラシアス、ばいばい~」
この時の気温は9℃。雨風が激しさを増し、さらなる気温低下が予想されるのですが、ジャージにスニーカー姿の人や、傘を手に登る外国人の姿があります。なかには、こんな人もいまいした。
ベトナムから来た“弾丸登山”客:「私の地元は、時々4℃になります。大丈夫です」「(Q.ライトは?)電話(の光)があるから。そんなに暗くない」
十分な休息を取った取材班も、山小屋を出発して山頂へ。
昼間でも危険な、急な岩場が続く場所。暗闇では、さらに慎重に進まなければなりません。
寒さと疲労、そして、視界の悪い岩場が、みるみるうちに登山客の体力を奪っていきます。
宿泊した登山客:「4時くらいには晴れるので。遠くから来ているので、ご来光見たいじゃないですか」
登山客の急増に対応するため、山梨県は、例年よりも前倒して、7合目の救護所を開設しました。
医師や看護師が24時間体制で救護にあたっていますが、ここでできるのはあくまで応急処置。
自力で下山ができないなどの事態になれば、山小屋のスタッフが患者を5合目まで運ぶこともあり、無理な登山をした結果、周りに多大な迷惑を掛けてしまうのです。
看護師 岩本浩規さん:「本当に命にかかわるような『低体温症』だったり『高山病』だったりとかあるので。猶予をもって上り下りしていただきたい」
■富士吉田市長「弾丸登山は、ご遠慮いただき」
その不安が、現実になりました。標高3000メートルを超えた場所では、体調が急変した弾丸登山客の姿が…。
8合目の山小屋のベンチでうずくまっていたのは、フランスから観光できていた登山客です。
フランスから来た“弾丸登山”客:「これ以上は無理だよ。風が強くて寒いよ。初めは登るつもりはなかったんだけど、山開きしたと聞いたから…」
夜9時半に5合目を出発し、ご来光を見ようと山頂を目指していましたが、寒さと疲れで動けなくなったといいます。
フランスから来た“弾丸登山”客:「ライトや雨具などは全部直前に、100円ショップで買いました。そもそもが、準備不足でした」
2人は下山しながら、途中でご来光を拝むことになりました。
真夏でも、気温が氷点下近くになることもある富士山の山頂。午前4時には、ご来光目当ての登山客が集中し大渋滞に…。
その途中、一人座り込む外国人の姿がありました。弾丸登山ではなく、山小屋に宿泊し、山頂を目指していたといいますが…。
カナダから来た登山客:「疲れてしまって。頭も少し痛いです」「(Q.友達は上?)うんうん。上にもいるけど、1人は足首をけがして。もう1人は、疲れて断念してしまった。8合目で休んでいる友達もいる。(私は)大丈夫、大丈夫」
日の出のタイミングに合わせて登頂しなくても、山頂からは“日本一の大パノラマ”が。また、7合目からでも、きれいなご来光を拝むことができるのです。
富士吉田市 堀内茂市長:「(山頂での)ご来光を望まなければ、まだまだ快適な登山が楽しめる。弾丸登山に関しては、ぜひご遠慮いただき、山を愛する皆さんに、ご協力いただきたいと思っています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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