課題山積の大阪・関西万博 開幕まで620日 海外パビリオンの建設はなぜ遅れているのか【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

課題山積の大阪・関西万博 開幕まで620日 海外パビリオンの建設はなぜ遅れているのか【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

課題山積の大阪・関西万博 開幕まで620日 海外パビリオンの建設はなぜ遅れているのか【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

大阪・関西万博は、どんな万博になるのか?およそ50の国と地域が 独自のパビリオンを建設する予定です。 どんなパビリオンが予定されているのか?スタジオで詳しく見ていきます。

■基本計画書を提出しているのは韓国のみ

井上貴博キャスター:
2日、大阪・関西万博について、岸田総理は「空飛ぶ車など新しい技術を体験できる」というふうに話しました。
万博の期間は、2025年4月13日から10月13日まで。場所は大阪・夢洲です。来場者数は、約2820万人は来るのではないかと試算されています。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。153の国と地域が参加する予定です。このうち、50の国と地域が、独自のパビリオンを建設する予定。

ドイツのパビリオンでは、建物に日本語のひらがなで、「わ!ドイツ」と書かれているんですが、循環の“わ”、自然と技術の調和の“わ”、日本語を取り入れて構成されている。英語で、“循環”などを意味する「サーキュラー」と名付けられた、球体のマスコットキャラクターが、来場者を案内してくれるそうです。

オランダのパビリオンでは、直径11mほどの球体が印象的。石油などの化石燃料に代わる、クリーンエネルギーの幕開けを、太陽と水で表現しているということなんだそうです。建物は解体しても再び組み立てることができるそう。

スイスのパビリオンでは、大阪湾を見渡せるバーを併設するほか、建物は、超軽量素材が使用されるという。

各国、SDGsの世の中で、自分たちがどういった技術をアピールしていけるのかということに知恵を絞っていることがわかります。
どれも完成度が高いものにはなるんですが、実際に現状で、建設に必要な基本計画書を提出しているのは、今のところ韓国のみ。なかなか足並みが揃わない。2年を切ったところで、他の国や地域の建設が進んでいかないことが危惧されているわけです。

■「コロナ」「資材高騰」「人材不足」のトリプルパンチ

なぜ遅れているのか。
ひとつは、前回のドバイ万博が、コロナ禍の影響で、1年延期されました。万博は、5年に一度開かれますけれども、前回が1年延期されているので、準備期間が、ふだん5年取れるところ、4年しかない。さらに、建築資材の高騰、そして建設業界の人手不足、これらがトリプルパンチとしてやってきた。

2日、動きがありました。経済産業省が導入を発表した「万博貿易保険」です。これは、参加する国などが、代金を支払わないことが考えられる。そういったときに、国が保険で補填しますよというもの。建設会社にとっては、リスクがある程度薄まりますので、受注を進めてくれるんじゃないかと。万博を後押ししたい国は、バックアップとして、保険の導入を発表しました。

ほかにも、万博を主催する博覧会協会の関係者によると、パビリオン建設について、パーツ組み立て式を、各国に提案していると。すべてを日本で作業するのではなくて、各国でパーツを組み立ててもらって、それを大型船で大阪に持ってきてもらう。その方が、工期を短縮できるんじゃないか。できることを、今からでも、ひとつひとつやっていきたいんだということなんだそうです。

■建設業界の残業規制を外してでも…

もうひとつ高いハードルとして指摘されているのが、働き方改革です。
建設業界は、2023年4月以降、残業時間を、最大で年間720時間に制限してくださいというものが始まります。時間はないが、働いてもらうということも、この基準に照らし合わせるとできなくなる。そこで、西村経済産業大臣は、「博覧会協会とともに、さまざまな課題を洗い出す過程で、(残業規制を外すことが)話に上がった」と。一方、建設業界団体からは、「働き方改革に逆行。断固として反対」という声もある。さすがに、残業規制を外すというのは、現実的ではないといわれていますけれども、こういったことが話の俎上に上がるほど、かなり厳しい状況に、万博は追い込まれているということは言えそうです。

ホラン千秋キャスター:
きらびやかなパビリオンができたら、見る側も楽しいですし、素敵だなとは思うんですけど、環境に配慮したデザインを各国が考えていますと言いつつ、あれを建設して取り壊すとなると、相当な廃棄物が出るわけじゃないですか。となると、もっと簡素な方向に舵を切っても、いいんじゃないかなと。

萩谷麻衣子弁護士:
すごく立派なパビリオンを建てなくてもいいんじゃないか。複雑なパビリオンを建てようと思うと、工期は長くなりますし、工期が長くなると、その分費用がかかる。ますます難しくなってしまう。日本主催のイベントで、日本から発信するのなら、ソフト面で勝負してもらって、建物自体は簡素でいいんじゃないかなと思います。残業規制は、労働者の命を守るための規制なので、災害時以外、例外は認められていませんから、やはり、パビリオンを当初の予定通り建てようと思うのは、もう無理があるだろうと思います。

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