最低賃金 全国平均“初の時給1000円超”過去最大41円引き上げ 経営者側から不安の声(2023年7月31日)

最低賃金 全国平均“初の時給1000円超”過去最大41円引き上げ 経営者側から不安の声(2023年7月31日)

最低賃金 全国平均“初の時給1000円超”過去最大41円引き上げ 経営者側から不安の声(2023年7月31日)

 28日、厚生労働省が今年度の最低賃金について、全国平均で初めて1000円を超える目安を取りまとめた。しかし、経営者側からは不安の声が上がっている。

■労働者側が訴え“物価上昇率を考慮すべき”

 岸田文雄総理大臣:「賃上げは再三申し上げているように、岸田政権にとって最重要課題のひとつ」

 28日、労使の代表などによる審議会が、今年度の最低賃金を全国平均で時給1002円とする目安を取りまとめた。

 現在の最低賃金の全国平均は961円で、41円の増額となり引き上げ幅としては過去最大。政府が目標に掲げていた初の1000円台となった。

 しかし、労働者側はこの結果を評価する一方、物価上昇率を考慮すべきと訴えた。

 労働者側 連合 仁平章委員:「物価上昇が続く中で、最低賃金で働く労働者の暮らしを守るという観点では、十分だとは言い切れないのではないかと」

 最低賃金は、今回取りまとめられた目安を踏まえ、今後、各都道府県が実際の金額を決める。

 10月ごろから適用される見通しで、東京都の場合、現在の最低賃金1072円は目安の41円増額となれば1113円になる。

 最低賃金の引き上げについて、街の人はどう感じているのだろうか。

 時給1075円 都内カフェ勤務(19):「いま時給1075円ですね。時給上がることは、うれしいですね。最低賃金すれすれじゃなくて、もっとガツッとほしいですね」

 時給1300円 都内教育系で勤務(41):「物価も上がっているので、色々なことで上がる分には良いことだと思うんですけど。それで生活が大きく変わるのかというと、ちょっとそれは疑問です」

 労働者からは期待の声が上がる一方で、不安を抱えているのは「中小企業」だ。

■販管費↑の中“人件費↑” 「頭悩みます」

 東京・練馬区にあるスーパー「アキダイ」。アルバイトやパート従業員は、およそ120人。その多くが東京都の最低賃金より28円高い時給1100円だ。

 秋葉弘道社長(54)は、次のように話す。

 秋葉社長:「営業するにあたって販管費が非常に上がっている。物流コストが上がって、電気代の高騰、包装資材の高騰。そして加えて人件費も上がっていますよね」

 物価が高騰するなか、営業にかかるコストを抑えるために、すでに対策を余儀なくされているという。

 秋葉社長:「5人でやる仕事を4人、3人でやっていまして、必死に抑えたりとかして頑張っているんですよ。いや、もう本当に厳しいですよね。いろいろ本当、頭悩みますよ」

■最低賃金引き上げの課題「年収の壁」

 今回の最低賃金引き上げの背景と、その影響について見ていく。

 厚生労働省の審議会は28日、全国平均の時給で41円引き上げるとする目安を取りまとめた。引き上げ額としては過去最大だ。

 41円となった理由は、消費者物価指数がプラス4.3%のため、今の最低賃金の全国平均である961円の4.3%が41円だからだ。

 今月12日、中央最低賃金審議会では企業側から「業績の改善が伴わないまま人手確保のために賃上げをしている企業もあり、最低賃金の大幅な引き上げとなれば、地方の中小企業を中心に負担感がますます高まることが懸念される」という意見が出た。

 また、最低賃金引き上げによる課題もある。

 それがアルバイトやパート従業員の年収が106万円を超えると、社会保険料の負担が生じて手取りが減るという「年収の壁」の存在だ。

 審議会で企業側からは「年収の壁を踏まえて就業調整が行われることで、年末などの繁忙期に人手不足に拍車が掛かるだけでなく、最低賃金の引き上げが労働者の実質的な所得向上につながっていない事例も生じている」と指摘が出た。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年7月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事