幼稚園が被弾・・・ウクライナ“戦闘激化”食い違う主張(2022年2月20日)

幼稚園が被弾・・・ウクライナ“戦闘激化”食い違う主張(2022年2月20日)

幼稚園が被弾・・・ウクライナ“戦闘激化”食い違う主張(2022年2月20日)

アメリカのバイデン大統領が言うように、プーチン大統領は本当にウクライナ侵攻を決断したのでしょうか。最前線ではウクライナ軍の兵士2人が死亡するなど、戦闘が激しくなっています。

▽「銃声が」最前線に住む家族から連絡
(佐々木一真アナウンサー) 
「こちらの施設では日本に住んでいるウクライナの方々による集会が今行われています。今日は60人ほどが参加するということです」
このような集会は月に数回程度開かれていて、現地の情報交換などを行うといいます。

(マリアさん(仮名))
「ここはみんな家族みたいです。みんな優しい」
(佐々木一真アナウンサー)
「ボルシチを食べるとウクライナのことを思い出したり?」
(マリアさん(仮名))「もちろんです。ママのこと・・・すみません・・・」
ウクライナ東部、ドネツク出身のマリアさん。両親と弟は今も親ロシア派の武装勢力が実行支配する地域で暮らしています。
(マリアさん(仮名))
「いまドネツクは大変です。朝からママがメールした。『戦争が始まった』と。」
母親からメールが来たのは3時間前。
(母親)銃声が聞こえる
(マリアさん)大変、気を付けて安全対策をして。状況は?
この後、母親からの連絡は途絶えました。
(マリアさん(仮名))
「まだ既読になっていないし、現地の状況はどうなっているかわかりません。(ウクライナは)今は夜。寝る時間。(銃撃は)以前と同じいつも夜。」
ウクライナの東部でいま、何が起きているのでしょうか?

▽「砲弾」飛び交う・・・最前線で戦闘激化
親ロ派の武装勢力から砲撃を受けるウクライナ政府軍。最前線を取材していたメディアも地下のシェルターに避難します。
ウクライナ軍によると19日、親ロ派の攻撃で兵士2人が死亡、4人がけがをしたということです。
(ウクライナ政府軍幹部)
「ウクライナ軍は、民間人(と兵士)の命を救う必要がある場合を除いて報復攻撃はしない」
一方、親ロ派武装勢力は20日、「ウクライナ軍からの攻撃で一般市民が犠牲になった」「ウクライナによる侵攻計画が始まった」と発表しています。

緊張が高まっているウクライナ東部。ドネツク州とルガンスク州の一部を「人民共和国」を自称する親ロ派の武装勢力が実効支配していて、ここ数日、ウクライナ軍との間で戦闘が激化しています。

(「ドネツク人民共和国」指導者 デニス・プシーリン氏)
「彼らの武器は私たちと子どもたち民間人に向けられています。まず女性 子ども 高齢者が避難の対象となります。」
親ロ派は、ウクライナ軍による攻撃を理由に住民をロシアに避難させると発表。
軍人「戻って下さい。ここは通行禁止です」
ドネツク市中心部では「親ロ派幹部の車」が爆発。砲撃も相次いでいて17日にはウクライナ側の幼稚園に砲弾が撃ち込まれました。
(幼稚園の園長)
「朝8時45分、子どもたちが朝ごはんを食べている時に起きました。女性2名 男性1名の職員がけがをして救急車で運ばれました」
親ロ派は「ウクライナ軍が撃った」と主張していますが、ウクライナ軍は「親ロ派による砲撃」としています。

親ロ派が実効支配するドネツクに今も家族が暮らしているマリアさん(仮名)。
(マリアさん(仮名))
「毎日心配。明日はどうなってしまうかわからない状態です。緊張感が続いているそうです。とてもつらいし言葉にできない。涙が出てきてしまいます。」
マリアさんは8年前の2014年、日本人の夫とウクライナを離れました。
ロシアがクリミア半島を併合したこの年、マリアさんが住むドネツク州でも親ロ派の武装勢力が一方的に独立を宣言。ウクライナ政府軍との間で激しい戦闘が起こりマリアさんは親しい友人を失くしています。

(マリアさん(仮名))
「朝まで砲撃が続いていました。とても怖かったです。あの時から花火が怖くなってしまいました。今でも(花火の音が)聞こえるだけで隠れてしまいます。私の母親は孫、私の子どもをみたことがありません。私も親族に8年間会えていない。母は孫に会ったことがないまま死んでしまうのではないかと不安に思っています」
マリアさんは家族が暮らすドネツクに自由に出入りできません。

▽廃墟もそのまま・・・親ロ派“支配地域”
親ロ派の支配地域につながる道には複数の検問所が設置され許可証がなければ通行できないといいます。
支配地域はいまどうなっているのか?今月上旬、トルコのメディアが入りました。
(トルコメディア チェティネル・チェティンさん)
「この争いは黒海で起こっています。国境近くで起こっているのです。トルコにとってロシア、ウクライナはとても重要です」
足を踏み入れると、そこには戦闘の激しさを物語る痕跡が・・・
(トルコメディア チェティネル・チェティンさん)
「建物は廃屋となっていますね。信じられないくらいひどい光景です。老人しか残っていません。そこにマーケットがあります。オレンジが置かれていますが明らかにずっと置かれたままです」
店員「街に人がいないので売れない」

西側メディアがドネツクで住民に話を聞くと・・・
(親ロシア派地域の住民)「ひどいことをしたので、ウクライナになってほしくない」
「戦って血を流したので、最終的な目標はロシア連邦に入ることです」

住民の多くがウクライナへの批判とロシアへの期待を口にします。
しかし本音では、ウクライナを支持する住民も多いとマリアさんは言います。
(マリアさん(仮名))「あえて自分からウクライナを応援しているとは言いません。なぜなら危ないからです。ドネツクではウクライナのテレビ局が見られなくなってしまいました。ウクライナの情報が手に入らない。ロシアのプロパガンダのみを毎日聞かされます。ウクライナは悪い国だ、子どもを処刑する国だ」と。

▽「偽情報」警戒・・・動画に“不審点”指摘も
ウクライナの日本大使館の元調査員で現在は国営通信社に勤めている平野高志さんは、ロシアが流す「偽情報」に
注意が必要だと指摘します。
(ウクライナの国営通信社 平野高志さん)
「ロシア語を使うからロシア寄りということはまずありませんし、ロシア語を話す人もウクライナ人のアイデンティティを持っている人はたくさんいます。そこをプーチン政権は非常に単純化して、東部にはロシア語話者が多い。ロシア人が多いから親ロ派なんだ。で、私たちはそこの住民を助けなければいけない、というロジックを使って、(2014年の)クリミアの時もそうですし、今も同じロジックを使っています。それは偽情報だと思いますし、気をつけないといけないと私は思っています」

ウクライナ側から攻撃を受けたとする映像などを連日、発信している親ロ派の武装勢力。
その中には「偽情報」が含まれている可能性があると、イギリスの調査報道機関「ベリングキャット」は指摘しています。
(「ドネツク人民共和国」指導者 デニス・プシーリン氏)
「まず女性、子ども、高齢者が避難の対象となります。」
17日にウクライナ軍から激しい攻撃を受けたと主張する親ロ派の指導者は、翌日の18日に住民に避難を呼びかける動画を自身のSNSで公開しています。
しかしベリングキャットのメンバーが動画に記録されたデータを調べると・・・
作成された日付は、16日。激しい攻撃を受ける前に避難を呼びかける動画を準備していたことになります。
プーチン大統領は、ウクライナ東部で「ジェノサイド(虐殺)」が起きていると主張しています。
(プーチン大統領)
「ウクライナでは大規模かつ組織的に人権が侵害され、ロシア語を話す人々への差別が法制化されている」
プーチン政権は2019年以降、親ロ派地域でパスポートを発給。これまでに70万人以上の住民がロシアの市民権を取得しているといいます。

ロシアが偽情報を拡散し、「自国民の保護」を口実にしてウクライナに侵攻することをアメリカは懸念しています。
(バイデン大統領)
「現時点で彼が(侵攻を)決断したと確信している」
核兵器を搭載可能な大陸間弾道ミサイルなどの発射演習を指揮したプーチン大統領。
本当に、侵攻を決断したのでしょうか?

2月20日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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