懸念は“樹木伐採”だけでなく…神宮外苑“再開発”で住民説明会(2023年7月17日)
明治神宮外苑エリアの再開発をめぐり反対する声もあるなか、近隣住民への説明会が17日、行われました。
説明会に向かう住民に話を聞くと、思いは人それぞれです。
住民説明会の参加者:「子どもたちに託されている質問がある。『軟式野球場は6面ともなくなってしまう。どこかに軟式野球場をつくり直してくれるのか』」
住民説明会の参加者:「楽しみにしている部分もあるんですけども、いろいろ議論になっているので、どういった見解で、開発側が考えているのか興味があって」
7回目となる住民説明会は、これまでと規模が違います。約8000千世帯の住民と約5000事業者が対象です。
再開発工事は、すでに3月から始まっています。事業を進めるのは、三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の4団体。最大の目的は、老朽化したスタジアムを建て替え、スポーツの新たな拠点をつくることとしています。
計画では、まず、明治神宮第二球場を取り壊して、ラグビー場を建設。秩父宮ラグビー場のあった場所にホテルを併設した新たな野球場を建てる計画です。解体と建設を同時並行で行うことでスポーツの興行などへの影響を最小限に留めるためだといいます。
併せて、エリア内を歩いて移動しやすいようにしたり、広域避難場所としての防災性を高めるといいます。オフィスビルと商業施設、2棟の超高層ビルも新築する予定です。
再開発にあたって事業者側は、樹木の伐採や植樹を行う結果、木の数や緑地面積は増えるとしています。都心の秋を彩るイチョウ並木については、いまの状態を保つ形で、伐採は行わないそうです。
説明会を終えた住民に話を聞きました。
住民説明会の参加者:「街づくりなんだから、一般市民、広くみんなの意見を採り入れたらどうかという意見が多数出た。採り入れるところは採り入れるような前向きな回答もあったが、実際問題、計画が決まっているので、現実味がないんじゃないかな」
住民説明会の参加者:「新しいことは良いことだと思うが、ご高齢の地元の方は、いままで慣れ親しんだ街・風景、景観が汚されるのが抵抗あるのかな」
事業者側は、神宮外苑の街づくりについて「さまざまなスポーツや文化、みどりを楽しむ場所として、常に時代に合わせて変化してきた場所です。安全性と環境維持の観点から、必要なみどりの更新を図ってまいります」としています。
住民説明会は、18日、19日も開かれる予定です。
※改めて、まとめていきます。
まず、計画の時系列から見ていきます。
2010年、東京都が神宮外苑周辺を「スポーツ施設が集まる拠点にする」という方針を発表しました。2020年、明治神宮・三井不動産などが、都に再開発計画を提案しました。今年、都が認可。工事が始まりました。
すでに解体が始まっている神宮第二球場は、新ラグビー場になります。現在の秩父宮ラグビー場の場所には、ホテルなどを併設した新球場ができるということです。軟式野球場などは、新テニス場・広場になります。事務所や店舗などが入る超高層ビル2棟を建設します。建設計画に伴って、高さ3メートル以上の木743本を伐採し、新たに837本を植える予定です。
ただ、今回の再開発工事をめぐっては、17日に行われた説明会に訪れた近隣の住民などから『高層ビルが建つことで日照の問題が心配』『しっかり調査したうえでの伐採なのか』といった意見も出ています。
神宮外苑のシンボルでもあるイチョウ並木は、伐採せずに保全する予定です。事業者の三井不動産などは、17日の説明会でも『イチョウの根の調査結果に応じて、新球場の位置をイチョウ並木から離す、また、建物の形状や構造を変更するなど検討する』と話していました。
再開発工事は段階的に進め、2036年に完了する予定です。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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