「防衛組織に応募殺到」国境で高まる“緊張感”ロシアの隣国リトアニアでNATO首脳会議(2023年7月11日)
11~12日に、NATO首脳会議が行われるリトアニアは、国境をロシアの同盟国ベラルーシ、そして、ロシアの飛び地カリーニングラードと接しています。ウクライナの戦争が長引くなか、国境の街は今どうなっているのか。取材しました。
リトアニアでNATO首脳会議が開催されるのは初めてのこと。安全保障上のプレゼンスは上がり続けています。
リトアニア国境警備隊司令官:「ロシアのウクライナ侵略で状況は緊迫しています。非常に高いレベルにあります」
醍醐穣記者:「あちらの橋を渡るとカリーニングラード、ロシアの飛び地になります。今、親子連れでしょうか、歩道を渡ってリトアニア側からカリーニングラードに向かって歩いています。侵攻後規制が厳しくなって、今はほとんど車の通りはなく、一般の人が歩いて渡るだけだということです。カリーニングラードの街並みを見てみると、建物にウクライナ侵攻軍の象徴『Z』が大きく描かれています」
リトアニアはバルト海に面する、いわゆる“バルト三国”の一角です。東はベラルーシ、西はロシアの飛び地であるカリーニングラードに挟まれている国で、NATOのアキレス腱であり『スバルキ・ギャップ』と呼ばれる地域を抱えています。
ロイター通信:「スバルキ・ギャップが占領されたら、バルト三国とNATOが切り離される。アメリカのシンクタンクは『60時間もあれば、ロシアはバルト三国を制圧できる』と試算している」
ポイントとなるのはベラルーシの存在です。ロシアと合同でスバルキ・ギャップの封鎖を想定した軍事訓練を行ってきました。ウクライナ侵攻後はロシア軍の後方支援を行い、戦略核の配備に合意したり、“ワグネルの乱”でも存在感は増すばかりです。
醍醐記者:「これからベラルーシとの国旗警備に出動する隊員に同行したいと思います。隊員は皆、マシンガンを所持していますね」「警戒ポイントに到着しました。これから歩いて警備に入るということです。同行したいと思います」「リトアニアとベラルーシの国境には、約50メートルに監視カメラが設置されていて、非常に厳しい監視体制がしかれています。ベラルーシ側で車両が通っていますね。軍の車両でしょうか」
両国の緊張はこれまでにないほど、高まっていました。国境付近に住んでいる人たちはというと。
地元住民:「侵攻以降、アルコール依存症が増えていることに気付きました。現実を忘れるため、多くのアルコールを摂取しているのでしょう」「もちろん怖いです。戦争があれば、私たちは終わりです。私たちにできることは何もありません。いつものように生活を続けるだけです」
■高まる緊張感『国境の町』は…
リトアニアにいる醍醐穣記者に聞きます。
(Q.リトアニアの取材を通じて、国内の緊張感をどう感じましたか)
醍醐記者:「私は今、ロシアの飛び地カリーニングラードの対岸の町パネムネにいます。国境沿いに住む方に話を聞くと『互いの国に関わる人も多く、様々な文化や主張が混ざりあっているので、ロシアやベラルーシを声高に批判はできない』と語る人もいました。一方、国境警備隊に同行すると、あいさつ以外の会話は禁止、本部と交信をする際はカメラを止めるように言われるなど、非常に緊張感がある場所でした。リトアニアは、国境警備をさらに強化する方針で、国として緊張感が高まっていることを感じます」
(Q.ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、リトアニア市民はどのように思っていますか)
醍醐記者:「リトアニアは第二次世界大戦の際、旧ソビエトに侵攻され、主権を奪われた歴史を持ちます。そのため、ウクライナを自国に重ねて考える人が多くいます。そのためか、銃を保有するための登録数が、去年に比べて倍増しているといいます。また、民間の防衛組織への応募が殺到しているということです。ある市民は『そういった背景を持つリトアニアで、今回、NATO首脳会議が行われることは、非常に意義がある。この場でさらなるウクライナ支援が決まることを願っている』と話していました」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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