「川の音が恐怖で眠れない」2週連続の“災害級大雨” 6年前の爪痕残る窯元また打撃(2023年7月9日)
■交通網に混乱新幹線動かず長蛇の列
活発な梅雨前線の影響で九州や中国地方を中心に降り続く大雨。きのう8日、線状降水帯が発生した島根県内では河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が相次ぎました。
(迎川栄造記者)「機動隊の潜水士たちが救出のため、濁った川の中へ入っていきます」
出雲市では男性が乗ったまま車が川に転落。車は引き揚げられましたが、男性の姿はなく警察が捜索を続けています。
「大雨の影響により新幹線、運転を見合せております」
(矢田息吹記者)「切符売り場前です。新幹線の払い戻しなどで50mほどの長い列ができています」
山陽新幹線は広島駅と小倉駅の間でおよそ4時間半にわたり運転が見合わせに。高速道路は山陽自動車道と中国自動車道の一部区間が通行止めになりました。
■住宅ギリギリまで迫る土砂…各地で冠水も
7日の降り始めからきょう9日午後3時までに降った雨の量は、宇部市で225.0ミリ、下関市で218.5ミリを記録。今朝再び激しい雨に見舞われました。
(小原千晶ディレクター)「山口市内の道路を走行しています。時刻は午前8時半ごろです。先ほどから雨がひどくなりまして視界がかなり悪くなってきています」
山口県は、下関市、美祢市、山陽小野田市などに「土砂災害警戒情報」を発表しました。
(小原千晶ディレクター)「山から水が染み出してしまっています。水が道路の方に出て、冠水しています」
さらに下関市内を取材すると市内各地で被害が出ていました。
(小原千晶ディレクター)「落ちてきた土砂が住宅の目の前まで迫ってこの道は塞がれています。落ちてきたものは1mくらい。コンクリートの塊でしょうか」
(近くに住む人)「午前4時50分ごろ、地震のようなドドンという感じで家が壊れたような感じがした。妻が(夜中の)1時ごろに地鳴りというか不気味な音がすると言っていた。1時間おきに気持ちが悪いから窓を開けてのぞいていた」
規制線がはられる前、近所の住民が撮影した映像には、敷地の門すれすれまで土砂が流れ込んでいる様子がうかがえます。
新幹線の高架下でも土砂崩れが発生。およそ5mにわたり道を塞ぐ被害が出ました。
Q.何時間待っている?
(兵庫青果運輸兵庫聡明代表)「3時間かな」
Q.迂回は?
「うちの車庫が500m先にある。どちらからも行けないので待つしかない」
さらに下関市内を流れる川を見てみると…
(小原千晶ディレクター)「友田川に来ています。氾濫危険水位を超えました。今も土手ギリギリで依然として高い水位である」
友田川の周囲は一時冠水し通行止めに…
(桑田和哉記者)「付近を流れる友田川の増水の影響で低い土地が冠水しています。この辺りの道路が完全に水に浸かっています」
(自宅周辺が冠水小川和人さん)「午前8時半とか9時が一番ひどかった。雨もひどかったし、あとは友田川がかなり氾濫しかけていて、川の流れとかゴーゴーと水の流れる音がひどかった。家の中まではなかったが(水が)ギリギリまできてずっと心配でした」
断続的に降り続いた雨…冠水しやすい地域では少しの雨でも影響を受けてしまいます。
「午後1時を回ったところで雨がまた強くなって来ました。あっという間に雨水が歩道や道路の上を川のように流れています」
大雨の影響は、福岡県にも…
■6年前にも被災歴史ある観光地で不安な一夜
(佐々木一真アナウンサー)「前を見通すことも中々難しいような、それほど激しい雨です。ここは村の中心を走る道路なんですけれど、見てみますと大量の雨水で道路の端が川のようになっていますね」
大粒の雨が建物に打ちつけ、濁流が音を立てて流れる福岡県東峰村。
産出される土の良さなどから、およそ400年前から陶器づくりが行われてきました。一軒の窯元を訪ねると…
(高取焼宗家13代目の妻高取七絵さん)「あっ!崩れてる!ここ本当は通れるように道が続いているんですよ」
川の脇にある工房へ向かう通路が、石垣と共に崩落していたのです。
大名に茶器を納める窯元として、一子相伝の技術を受け継いできた『高取焼宗家』。6年前の『九州北部豪雨』でも被害にあっていました。
(高取七絵さん)「これが登り窯ですね。当時はここの横から土砂が流れ込んで、窯がたけない状態になっていた」
焼き物には欠かせない、複数の『窯』や、代々使われてき工具などが壊れ、今でも一部の作業が出来なくなっていると言います。
(高取七絵さん)「窯の一部になってる大事な石とかが落ちてきてて、全然使える状態じゃなくなってしまった」
いまだに残る、6年前の爪痕。こうしたなか、再び大雨の被害が予想されています。
(高取七絵さん)「流れる川の音を聞くと恐怖で眠れない。含まれた水分がいつ地すべりみたいに、木と一緒に倒れかかってきたりというのが予想されるので気が抜けないですね」
隣接する朝倉市でも、6年前、被害が起きていました。きのう8日、筑後川の河畔では…
(佐々木一真アナウンサー)「あちら今後の大雨に備えて、船を陸に揚げる作業を行っている人がいますね」
(鵜匠臼井家6代目臼井信郎さん)「これは“鵜飼”を観覧をするための屋形船ですね。雨対策で水がきてしまうから対策をしてます」
5月下旬から9月まで開催され、筑後川の“夏の風物詩”となっている「鵜飼」。その起源は、7世紀にまで遡ることができるとも言われています。臼井さんは、代々受け継がれている『鵜匠』臼井家の6代目。川と共に生きてきました。しかし…
(臼井信郎さん)「もう船体に穴が開いたり、半分に割れてましたんで、もうだめですね」
6年前の豪雨で、9艘あった屋形船のうち2艘が流失。その後も度々大雨に見舞われ、現在では半分以下になってしまいました。
(臼井信郎さん)「あっという間に水が増えてしまったので、見ているだけの状態で人間がどうこうできないですよね」
こうしたことから臼井さんらは、川の近くの管理施設で、夜を徹して、川の様子や船を見守り続けていましたが、今のところ、大きな影響はないと言います。
(臼井信郎さん)「予約が入っていたんですけどね(鵜飼が)流れてしまったので(お客さんに)申し訳ないですよね。伝統もありますし、地域の皆さんの気持ちもありますからね、絶やさずに頑張っていきたいと思います」
7月9日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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