島根で線状降水帯グランピング中の家族は孤立状態不安は食料(2023年7月8日)

島根で線状降水帯グランピング中の家族は孤立状態不安は食料(2023年7月8日)

島根で線状降水帯 グランピング中の家族は孤立状態「不安は食料」(2023年7月8日)

島根県で、線状降水帯が今年初めて発生。山側から、土砂を含んだ大量の雨水が海岸沿いの県道へと流れ込みました。日本海側の各地でも激しい雨になりました。活発な梅雨前線が本州付近に停滞したためです。梅雨前線はこのあとも停滞する見通しで、災害の危険度がより高まるおそれがあります。

島根県出雲市では、8日午後3時半ごろ、「車が川に転落した」との通報がありました。警察などによりますと、男性の運転する車が増水した伊野川に転落し、下流方向に流されたとみられますが、確認できておらず、警察と消防が捜索しています。

▼島根で「線状降水帯」避難指示も

出雲市では8日、1時間に40ミリを超える強い雨が降りました。道路の側溝は、茶色く濁った水で溢れ、川の水も濁流となっています。

出雲市で、かまぼこ店を営む山崎さん。工場周辺の道は川のようになっていました。茶色く濁った水は、倉庫にも浸水しました。

Q)「水はひざ下くらいまで?」
(出雲国大社食品 代表 山崎英樹さん)
「そうですね。復旧作業はどうしましょうかね、何も考えたくないです。一生懸命、水をかいてもらって、あとは祈るしかないです」

島根では、松江市と出雲市、合わせて37万人を対象に警戒レベル4の「避難指示」が出されました。

出雲市の自宅から避難してきた40代男性。70代の両親と3人暮らしですが、大雨の影響で家の近くで土砂崩れが発生。水路も溢れたため、自宅の前は川のようになっていました。

(避難してきた男性)
「うちの山が崩れて水路が溢れてちょっと土砂崩れがあったので。土砂の撤去は終わったんですけど、雨が降り続くということで避難してきました」

▼出雲大社観光に影響も

(仁科健吾アナウンサー)
「午後3時前です。また猛烈な勢いで雨が降ってきました。出雲大社を見てみますと、まったく観光客はいません」

縁結びの聖地として知られる「出雲大社」。

(出雲大社近くの店)
「夜中くらいに雷雨が凄くて、朝起きたら川もだいぶ増水していて、という感じでした。近年まれにみる大雨で驚いてます」

大雨の影響で、きょうの客足は通常の土曜日の2~3割程度だったといいます。大雨の中、なんとか観光を楽しむ人も…

(観光客)
「すごいですね、びちょびちょです…。傘がもう意味ないですね。サンダルが正解、これ(靴)不正解。車で来ちゃったもんですから、帰り何事もなく高速が動いてくれることを祈って…」

出雲大社の参道も、今朝は「荒天のため閉鎖」されていました。

出雲大社観光の移動手段としても利用されている「一畑電車」。線路が冠水、土砂が流入し、復旧の見込みが立っていないため、明日も始発から運転を見合わせます。

▼出雲市では”孤立”の家族「不安は食料」

通行止めによる“孤立”も発生しています。出雲大社のすぐ近く、出雲市の日御碕で、7日から家族3人でグランピングを楽しんでいた中村さん一家。

(グランピング中に“孤立” 中村さやかさん)
「施設からちょっと走ったら土砂崩れが起こってて、まず車が通れないような状況みたいで、みなさん出ようとするけど通行止めになってて引き戻してきた」

滞在する施設から帰るための道路で、のり面の崩落などが複数発生。通行止めになり“孤立状態”だといいます。

(グランピング中に“孤立” 中村さやかさん)
「子どもは私やパパがテント内から離れようとすると、大泣きしてしまって。外に出たら危ないというのが子どもながらに感じてるみたいで『離れないで』『テントから出ないで』とか、外に出ようとしたら泣かれてしまうような状況ですね」

最も不安なのは「食料」です。

(グランピング中に“孤立” 中村さやかさん)
「1泊2食付きのグランピングプランで来たんですけど、昨日の夕飯の残りがちょっとあったので、今日のお昼は耐えしのいだといいますか。満足する量は食べれてなくって。子どもも『おかわり』とか言ってくるんですけど、もう無いっていう状況で、お菓子とかでごまかしながら」

道路の復旧のめどが立っていないことから、延泊せざるを得ず、車で行ける近くのドライブインへ夜の食料を調達しに行くということです。

▼九州など断続的に大雨洪水の危険

先週から断続的に大雨が降る九州北部では、危険な状態が続きます。福岡、北九州市の8日午後3時過ぎの様子です。階段から水が滝のように流れていきます。バケツをひっくり返したような大雨。あたりは薄暗く、雨で視界も悪くなっています。

福岡では1時間雨量が今年2番目の33ミリを観測。各地で大雨警報が出されています。そして、先月28日からきょうにかけての積算雨量はすでに400ミリを超えているところも多く、災害の危険が高まっている状態です。

3日、冠水があった福岡県久留米市。降り続く雨に大きな被害を受けているのが農家です。

(雨で被害が出ている農家)
「先週の冠水で出荷の段ボール300~400枚くらいが水につかっていたので。野菜、ビニールハウスは動かせないので、対策という対策はとれない」

さらに冠水した地域で取材を進めると、近くを流れる川の危険度も見えてきました。

(3日に冠水した地域の住民)
「今週の冠水で駐車場のタイヤくらいまで水が上がってきて。2年前は50~60センチ、水が入って。筑後川の水位の上昇、用水路の水が道路にあふれだして内水氾濫。不安しかない。雨がなるべく降らないように祈っている」

▼検証「夜の避難の危険性」

このあとも日本海側を中心に断続的に雨が強まる予想です。9日夕方までに予想される雨量は、九州北部で250ミリ、中国と東海で180ミリなど各地で警報級の大雨になる見通しです。

気象防災アドバイザーの坂本さんは夜の大雨は、避難の難しさがあると話します。

(気象防災アドバイザー 坂本京子さん)
「道がどうなっているのかっていう状況も分かっていないんですよ。そして見通しも悪い。大雨のときは積乱雲に覆われてもっと暗いと思います」

取材時は照明を点けているため明るいですがライトを消すと…暗闇に包まれ、先を見通すことができません。避難する際は、懐中電灯などで足元を照らしますが実際にやってみると…

Q.自分の1メートル先くらいしか照らしても分からない?
(気象防災アドバイザー 坂本京子さん)
「夜の避難の際は必ず杖や傘などで足元を確認して歩くことが大切になると思います」

また道路が冠水していると、こんな危険も…

(気象防災アドバイザー 坂本京子さん)
「水かさが増して道路と用水路の境目がわからなくなりますと、踏み外して流されてしまいます」

普段は緩やかな坂でも冠水していると気づきにくく足を取られて転倒してしまう可能性も…

(気象防災アドバイザー 坂本京子さん)
「マンホールありますよね。雨がたくさん降って水かさが増して水圧が高まるとマンホールのフタが開いてしまうことがあります」

夜間に警報級の大雨に見舞われた場合、住民たちはどう行動すればいいのでしょうか?

(気象防災アドバイザー 坂本京子さん)
「水位が上がって、かつ流れがあるような場合。そこから避難すると逆に危険ですので垂直避難を選ばざるを得ないのかなと思いますね」

サタデーステーション 7月8日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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