空き家1円物件が5000万円に夫婦でリフォームゴミ屋敷が価値ある物件へJの追跡(2023年7月8日)

空き家1円物件が5000万円に夫婦でリフォームゴミ屋敷が価値ある物件へJの追跡(2023年7月8日)

空き家「1円物件」が“5000万円”に…夫婦でリフォーム ゴミ屋敷が価値ある物件へ【Jの追跡】(2023年7月8日)

神奈川県の湯河原には、1円物件を自らの手でリフォームし、次々と生まれ変わらせている“ある夫婦”がいます。

1円で購入した築30年の空き家など、様々な事情で資産価値のない「負動産」物件が、一体どのように生まれ変わるのか追跡しました。

■空き家“難あり物件”の相談急増

神奈川県横浜市にある株式会社リライトでは、売りたくても売れない“難あり物件”を多く扱っています。

“難あり物件”を扱う「リライト」 田中裕治代表(45):「報酬がなくても困っている人を助けに行こうよって感じでやっているので」

仲介手数料など、利益はほとんどないものの、他の仕事につながることもあり、「空き家問題を解決したい」と“難あり物件”を扱っているといいます。

実は今…。

田中代表:「売れないので手放したいという相談がすごく増えてます」

その理由は、先月に成立した「改正空き家対策特別措置法」。「管理不全空き家」に指定されると、6分の1に減額されている固定資産税が増額されることもあります。

田中代表:「固定資産税が上がるとすると、それで手放したいという方が増えてるのかもしれない」

■扱った物件は400件以上 どう生まれ変わった?

難あり物件の事情は様々。この日は…。

田中代表:「(建物の)所有権を2階の方も持っているので、壊そうにも現実的に壊せない」

その物件は、定期借地に建つ築70年以上の青い建物。実はこの家、所有者が2人います。もう一人の所有者の同意が得られないため、建て替えもできず、更地にして土地の所有者に返却することもできないといいます。

相談者:「(物件を)手放したいのよね。だって娘たちに迷惑かけるじゃん」

建物1階部分の売却希望額を聞くと…。

相談者:「0円でいいの」
田中代表:「なんとかします」
相談者:「よろしくお願いします」
田中代表:「いつもそれしか言えないですけど」

これまで田中さんが扱った“難あり物件”は、全国で400件以上。そうした物件は、その後、どう生まれ変わるのでしょうか?

築52年、5年以上放置されていた一軒家。敷地12坪、駐車場も作れない狭小住宅でしたが、田中さんの会社が購入しリフォーム。子ども食堂など、地域住民が交流できるレンタルスペースに生まれ変わりました。

10年以上放置された築41年のマンション。室内がゴミであふれて、なかなか買い手が付きませんでしたが、近所のクリーニング店経営者が100円で購入し、倉庫として使っています。

■空き家「1円物件」 夫婦でリフォーム

温泉地として有名な神奈川県の湯河原には、1円物件を自らの手でリフォームし、次々と生まれ変わらせている夫婦がいるといいます。

20年以上放置されていた築90年の古民家を2年前、1円で購入しました。

大巻広美さん(60)と夫の恵一郎さん(52)。平日は、都内でインテリアコーディネートの仕事をしている大巻さん夫婦。週末や祝日を利用し、空き家のリフォームを行っています。

広美さん:「(Q.意外と天井が高いですね)天井があったんですけど、梁(はり)が見えてた方がすてきかなと思って」

天井板を取り、梁を生かし、空気の循環を良くするおしゃれなシーリングファンを付けました。

恵一郎さんは電気工事士の資格を持ち、大学時代ですが大工経験が役立っているといいます。

現在は、内壁を作っている段階で、完成まで、あと半年以上はかかるそうです。

なぜ、空き家のリフォーム再生をしているのでしょうか?

広美さん:「不便ではあっても、住めなくないのに放置されている建物がたくさんあってもったいない」
恵一郎さん:「どんな空き家でも、まだまだ住めるんだと」

■1円物件が劇的リフォームで「5000万円」に?

実は、大巻さん夫婦が空き家のリフォームを始めたのは3年前、これまでに熱海周辺で5軒もの空き家を購入し、民泊や賃貸物件として活用しています。その中には…。

恵一郎さん:「(不動産業者に)5000万円で売れるって言われた。5000万円!って夫婦で目を点にして」

その物件は、静岡県熱海市にある敷地330坪に建つ築30年の別荘です。敷地内には、専用のゴンドラを設置し、1階は1LDK、2階は3LDKで海の見える民泊として活用しています。ここも購入金額は1円でした。

恵一郎さん:「残置物が説明しようがないくらい、足の踏み場がないような」

まずは、建物の中に残っていた家具や衣類などをすべて片付け、夫婦で1年かけてリフォーム。12畳のリビングは、壁紙など状態のいいものは生かしながらヨーロピアン風に…。食材などが散乱していたキッチンは、タイルを使ったおしゃれなキッチンに入れ替え、カラフルな色合いを取り入れた地中海風に変身しました。

去年、建物の資産価値が気になった夫婦は、地元の不動産業者に査定を依頼したところ、「5000万円で売れる」と言われたそうです。

■「ゴミ屋敷」購入から1年…モダンな雰囲気に

1円物件を価値ある物件にするため、どのようにリフォームしているのでしょうか?現在、完成間近の物件が真鶴にあります。

実は去年7月、大巻さんが真鶴にある物件を決める様子を取材していました。

部屋中がゴミで埋め尽くされ、まさに「ゴミ屋敷」となっていた築38年の一軒家ですが、眺めの良さが気に入り、大巻さん夫婦が1円で購入しました。あれから1年、果たしてどう生まれ変わったのでしょうか。

細い坂道を登っていくと、雑草が生い茂っていた庭と汚れた外壁に植物が絡まっていた建物が、きれいに整った庭と真っ白な外壁に様変わり。この日は、夫婦で外壁のペンキ塗りをしていました。

果たして、ゴミに埋め尽くされていた家の中は?

桝田沙也香アナウンサー:「わーすごい!全く違う。モデルルームみたいですね」

あのゴミにあふれたリビングは、木のぬくもりを感じるモダンな雰囲気に…。傷んでいた床は、すべてフローリングに張り替えたそうです。

■ゴミとの闘い「4トントラックで2回運んだ」

この家のリフォーム、まずはゴミとの闘いだったといいます。

広美さん:「2日間かけて、2階と1階のゴミを庭に出して。4トントラック2回に分けて運んだ」

そして、勝手口から植物が室内に入り込んでいた廊下は…。

恵一郎さん:「ここは、元々(勝手口の)ドア枠だったんですけど、使えそうだったので、そのまま流用して」

勝手口を開かないように補強して壁の一部として活用。「生かせるものを生かす」のが夫婦のこだわりです。

広美さん:「ローコストで、いかにきれいに」

さらに、ゴミが山積みになっていた2階の寝室は壁紙をすべて白にすることで、より明るく清潔感ある空間になりました。

桝田アナ:「鳥の声が聞こえて、海が見えて」
広美さん:「いい風が入ってきます」

そして、インテリアコーディネートの仕事をしている大巻さんが最もこだわったのが照明。元々あった大理石調の洗面台を生かすために鮮やかな色合の照明を取り付けました。

広美さん:「アンティーク風な洋館をイメージしてコーディネートしました」

■空き家が価値ある物件へ 売り出し価格980万円

生まれ変わった空き家にお隣の方は…。

隣の住人:「空き家だったから、誰か入っていたずらされたら困るなというのはあった」

リフォームは、あと1カ月ほどで終了。その後は、売却を考えているといいます。

気になる売り出し価格は?

広美さん:「980万円」
桝田アナ:「もっとするのかと思いました」

1円で購入した空き家が価値ある物件へと…。

広美さん:「全国各地に空き家問題がありますし、それを少しでも微力ながらお役に立てればいいかな」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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