「早く止まってくれ」ヒ素検出も…川は一時真っ白に 北海道“蒸気噴出”1週間(2023年7月6日)
北海道蘭越町で地熱発電の調査現場から大量の蒸気が噴き出し始めてから1週間が経ちました。収束のめどが立たないなか、現場周辺の農家は風評被害への不安を口にしています。
■「早く止まってくれ」住民不安
噴き出し始めたのは先月29日。今月6日で丸1週間が経ちました。
住民の「怒り」と「不安」は収まりません。北海道蘭越町で地熱発電の調査現場から大量の蒸気が噴出している問題。いつ収束するのか。掘削調査を行っていた「三井石油開発」は4日、こう説明していました。
三井石油開発担当者:「(Q.出ている蒸気に対して措置は?)今はまだできてございません」「(Q.今後の見通しは?)この噴気がいつまで続くか見通しはまだ立ってございません」
■“まるで冬山”タケノコ収穫控え
蒸気は6日も噴き出し続けています。取材班が出会ったのは蘭越町でタケノコを収穫して販売する地元の男性。蒸気の噴出現場から約400メートルの場所に案内してくれました。いつもこの辺りから山に入り、タケノコを収穫するといいますが…。
タケノコを採る人:「この辺の葉っぱもそうですよね。雨か何かで落ちたと思うが、茎とかもこんな色じゃないから元々」
噴出物が付着したのか、当初は辺り一面が「真っ白」になったといいます。
タケノコを採る人:「この辺だいぶ緑に戻っているけど(当初は)冬の山のような景色だった」
噴出以降、男性は山に入るのを控えているそうです。
タケノコを採る人:「見るからに、これはやばいなと。来年ちょっと(収穫が)怪しいなと。この辺一帯なんでか…飛んできたんだろうけど」
三井石油開発は、噴出物は「地下由来の鉱物」で一般の人が立ち入るエリアの空気中に「有害なガス」は含まれていないとしています。
■ヒ素検出も…川は一時真っ白に
周辺の川はどうなっているのでしょうか。現場から約500メートルの地点。本来、透き通った水が流れていますが、噴出物が混ざったとみられる川は白く濁ってしまいました。そして6日は薄くなってはいるようですが、まだ濁っています。
蘭越町は安全が確認されるまで農業用水などで川の水を使わないよう農家らに呼び掛けていました。三井石油開発は噴出の翌日に現場周辺の川の水を採取し、水質検査の結果を公表。5日夜に「蘭越町などと協議した結果、基準値を下回っていた下流の地点に関しては農業用水の取水制限が解除されることになった」と発表しました。解除された地点は地元の人によりますと、噴出当初は白く濁っていて、ようやく本来の姿に戻ったといいます。
■取水制限解除もコメ農家“困惑”
農作物にとって水は生命線。解除エリアの農家は胸をなで下ろしていました。
地元の米農家:「大変でした。水もカラカラで、いつ(水が)来るんだろうという状況だった」
一方で…。
地元の米農家:「イメージが悪くなったかも」
地元の農家は新たな問題を抱えていました。
■北海道 蒸気噴出“風評”に懸念
蒸気が噴き出して丸1週間…。
地元の米農家:「田んぼは水がいるので、ないとどんどん地面も割れてきて、根とか切れたりしちゃって。今は大丈夫ですね」
一部を除き、現場周辺の川の取水制限が解除されました。取水を控えてきた農家約70戸のうち、こちらの農家を含む約60戸が水を引けるようになったといいます。
地元の米農家:「とりあえず本当に安心の一言」
一方、懸念するのは風評被害です。
地元の米農家:「蘭越のお米は危ないって思われると、こっちとしてもすごく嫌ですし、今はちゃんと話し合いも重ねたうえで、安全検査も受けて『安全だ』という確認を取ってから水を流しているので(安全を)提示しながら届けたいと思っている」
蒸気はいつ収束するのでしょうか。三井石油開発は6日、蘭越町が設置した「健康被害相談窓口」に新たに体調不良を訴える人が1人いたことを明らかにしました。詳細に関しては「確認中」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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