報ステ解説置き土産としてロシアが爆破行うほどの戦況原発に爆発物か(2023年7月5日)

報ステ解説置き土産としてロシアが爆破行うほどの戦況原発に爆発物か(2023年7月5日)

【報ステ解説】「置き土産として」ロシアが爆破行うほどの戦況?原発に“爆発物”か(2023年7月5日)

ウクライナのザポリージャ原発をめぐって、再び緊張が高まっています。今後の戦況にどのような影響が出るのでしょうか。

◆防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんに聞きます。

ザポリージャ原発は、ウクライナのザポリージャ州にあるヨーロッパ最大、世界で3番目に大きな原子力発電所です。先日、破壊されたカホフカダムから冷却水を取水しています。

IAEAによりますと、原子炉はすべて停止していますが、冷却水による冷却は必要としています。原子炉の冷却などの、保安機能に必要な電力は、外部電力からの送電線で供給されているといいます。

このザポリージャ原発の爆破は、ウクライナ、ロシア、どちらも爆破しようとしているのは、相手の国だと主張しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシア軍が占拠中のザポリージャ原発の原子炉建屋に爆発物のような異物を設置した」としています。

ロシアのペスコフ報道官は「ザポリージャ原発の状況は、かなり緊迫している。ウクライナによる妨害工作で壊滅的なことになりかねないため危険度は高い」としています。

(Q.ザポリージャ原発はウクライナにある原発ですから、ウクライナ自らが損傷するというのは考えにくいと思うのですがどうでしょうか)
高橋杉雄さん:そうだと思います。やるすれば、ロシアの方が懸念されるということです。特にカホフカダムを爆破したのは、恐らくロシアだと、現状推測されると考えると、ロシアの行動にタブーはないということが懸念されます。『まさか、やらないだろう』と確信を持って言えなくなっている状況だと思います。現状は、ロシア軍がザポリージャ原発にいます。例えば、半径30キロ以内にロシア軍がいる間に、原発の事故を起こさせることは考えにくい。きょう、あすで、何かが起きるとは考えにくいと思います。

現在のウクライナ戦況です。ウクライナ軍は、6月上旬から大規模な反転攻勢を開始しています。アメリカのシンクタンク(ISW)は4日、ウクライナ軍の攻勢は、東部や南部の少なくとも4カ所で前進していますが、想定より遅いと指摘しています。
イギリス国防省は4日、「ここ数週間のロシア軍の戦術は、南部でウクライナ軍の装甲部隊の進軍を遅らせることを優先している。対戦車地雷を非常に多く使い、進軍を遅らせている」と分析しています。

(Q.現在の戦況のなかで、すぐにロシアが爆破を行わないということですが、もう少し詳しく教えてください)
高橋杉雄さん:現在、ザポリージャ州で激しい戦いが行われていますが、少しずつウクライナが前進しています。これが、ウクライナが決定的な前進をするとか、ドニプロ川からクリミア半島の付け根を抑えるような位置まで進出してくるようなことがあると、ロシア軍はザポリージャ原発から撤収する。そのときに“置き土産”のような形で、破壊工作や電源を狙った攻撃をするというシナリオが懸念されます。ザポリージャ原発の北に湖がありますが、カホフカダムの破壊に伴って、細い川になっています。ウクライナ軍がその川を渡って、ザポリージャ原発の確保にあたることもあり得ます。そうなったときに、ロシア軍が引き揚げる際、ウクライナ軍を足止めするために、破壊工作をすることは考えられます。

(Q.電源喪失というのは福島第一原発で経験していて、非常に恐ろしいことですが、復旧が可能なケースにとどまる場合もあるということですか)
電源を狙った攻撃をする。例えば、それが1回、2回とかなら、ウクライナ側は復旧できると思います。ただ、繰り返し行うようなことになると、復旧はできなくなる。そうなると当然、事故が大きくなっていく可能性がありますから、その分、ウクライナ側が足を止めることになると考えられます。

(Q.ミサイルで直撃した場合、原子炉そのものが破壊されるという非常に困難な事態なるという可能性はありますか)
原子炉を外から撃って、破壊するのは難しいです。ですから、可能性としては、使用済み核燃料のタンクや、外部電源を狙う。そのほうが攻撃しやすいですから。そこを攻撃することで冷却を難しくして、福島第一原発のような事故を起こさせるというのがシナリオとして、最も懸念されています。

(Q.そこまでやると国際社会を敵に回しますが、そこまでして、そういった攻撃をするというのはどういった事態なのでしょうか)
可能性としては、大規模な撤退をしないといけなくなったときに大きな事故を起こさせて、完全にウクライナの足を止めるということが論理的にはあります。どのくらいの事故、どのレベルの被害を及ぼすかは、ロシア側が選べる状況です。プーチン大統領の判断によっては、少し下がるときに大きな事故を起こさせるということも懸念せざるを得ないと思います。

(Q.IAEAが発信する情報を信頼してもいいのでしょうか)
そこをベースにロシアとウクライナが言っていることを評価していくという作業が必要だと思います。両方とも必ずしも本当のことを言っているとは限らないので、まずはIAEAの情報を信じるということが必要だと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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