電動キックボード専門家新制度に警鐘16歳以上免許不要に人身事故は年々増加(2023年7月3日)

電動キックボード専門家新制度に警鐘16歳以上免許不要に人身事故は年々増加(2023年7月3日)

電動キックボード…専門家“新制度に警鐘” 16歳以上免許不要に 人身事故は年々増加(2023年7月3日)

 これまで原付バイクと同じ扱いだった電動キックボードについて、1日から、一定の条件を満たし、16歳以上であれば運転免許がなくても乗ることができるようになった。安全性に問題はないのだろうか。

■新ルールで安全講習会を開催 人身事後は年々増加

 1日、電動キックボードの交通ルールが改正された。これまでは原付バイクと同じ区分で運転免許も必要だったが、最高時速が20キロ以下なら16歳以上であれば免許がなくても乗れるようになった。

 さらに時速6キロ以下であれば歩道での走行も可能になり、これまで義務付けられていたヘルメットの着用も努力義務となった。

 新たなルールを多くの人に知ってもらうため、電動キックボードのレンタルサービスを展開する企業などは、これからも定期的な講習会を開いていく方針だという。

 参加者:「事故とか心配なので、そういうのも含めて自分がルールを学びたかった」「車を運転するので、これが街を走ってるのが怖いですね」

 電動キックボードを巡ってはおととし9月から今年4月まで、全国で交通違反の検挙が2695件となっている。

 また、人身事故も2020年は4件だったものが、21年には29件、去年は41件と年々増加し、去年は初めての死者も出た。

■Luup「歩道上での事故リスク減らしていきたい」

 日本が規制緩和に向かう一方、フランス・パリではマナー違反が横行したことなどから、住民投票を実施。シェアリングサービスへの反対が9割近くに及び8月末で廃止されることになった。

 住民:「キックボードがぶつかってきたことがあって…歩行者を尊重するといっても、やっぱり危ないです」

 新たなルールの施行に伴い、レンタルサービスを行う企業の担当者は、次のように話す。

 Luup広報・渉外部長 政策渉外/リスクマネジメント担当 池上翔さん:「今回、一部例外的に歩道を通行できるというふうなルールにはなったものの、やはり基本的には車道を通行していただくべき乗り物だと思っている。そういったことを地道にしっかりと伝えていくことで、歩道上にも起こりうる事故のリスクというものを少しでも減らしていきたい」

■安全性に疑問の声…なぜ規制緩和された?

 電動キックボードの利用に関して、制限緩和が進められる背景についてみていく。

 レンタルサービスを展開する「ループ」によりますと、電動キックボードは2017年ごろから世界各地で普及したそうで、日本では2019年ごろから普及し、その後、新型コロナの拡大で公共交通機関を利用せずに移動できるとして注目された。経済産業省によると、去年時点で、およそ2万台が流通している。

 これまで安全性に疑問の声が上がるなか、なぜ緩和したのだろうか。

 2020年、経産省の「規制改革推進会議」では、電動キックボードの社会的意義について急増が予想されるインバウンドの交通手段となること。そして「高齢者・買い物弱者の増加」というものもあった。

 買い物弱者が年々増加するなか、その方たちによる事故が多発、体力の衰えがある方も乗れる電動モビリティーが必要とし、電動キックボードは買い物弱者や高齢者事故を軽減させることができるとしている。

 しかし、この資料には「これに伴い、高齢者の運転による事故も増加している」とも記載されている。

■専門家が“多くの注意点”を指摘

 ここで注意すべきことは、電動キックボードすべてについて法改正されたわけではないという点だ。

 最高速度、時速30キロが出る電動キックボードについては車道のみの走行で、これまで通り免許が必要です。

 では、何を変えたのかというと、電動キックボードの最高速度を時速20キロ。そして、歩道を走る時のために時速6キロ以下にする機能の付いた電動キックボードについて、法的に新しい区分にした。

 この時速6キロ以下にする機能は手動で切り替えるもので、切り替えるとハンドルの横などに付いているライトが点滅する。この機能が付いた電動キックボードのみ緩和したということだ。

 専門家は、今回の緩和に警鐘を鳴らしている。

 交通問題に詳しい加茂隆康弁護士は、「免許が不要にもかかわらず、二段階右折を行う必要や、自賠責保険の加入が必須となっている。運転をする前の安全講習を義務付ける必要があるのではないか」「また、ヘルメットについても、車道を走行中に転倒することを考えると着用の義務化が必要。電動キックボードの普及を急ぐのは分かるが、今回の改正は事故を誘発する可能性が高いのでは」と指摘している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年7月3日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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