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5人全員死亡か 消息絶った潜水艇「壊滅的な損傷」 映画「タイタニック」監督怒り(2023年6月23日)
壊滅的なダメージを受け、乗員5人の生存は絶望的と発表された潜水艇。アメリカメディアは5人のうち1人の妻が1912年のタイタニック号の沈没で犠牲となった夫妻の子孫だったと伝えています。
■消息絶った潜水艦 最悪の結末
数カ国が加わる国際チームで行われた大規模な捜索活動は最悪の結末を迎えました。
米沿岸警備隊・マウガー少将:「けさ、カナダの船舶の無人潜水機が潜水艇『タイタン』の後方部分を発見しました。場所はタイタニック号の船首から約490メートル離れた海底です。その後、無人潜水機は他にも潜水艇の破片を発見しました。統一指令部の専門家との協議によると、破片は耐圧室の壊滅的な損壊によるものです」
海底に沈む豪華客船「タイタニック号」を見に行くツアーの潜水艇「タイタン」が水中で消息を断って4日。アメリカの沿岸警備隊が発表したのは潜水艇の壊滅的な損壊です。
海中専門家、ポール・ハンケン氏:「5つの破片を見つけ、潜水艇『タイタン』のものであると確認できました。最初に発見されたのは耐圧室の外にある前方部分です。その後、破片が散らばっている場所を見つけ、その中に耐圧室の前方にある部品が見つかりました。それが壊滅的な出来事が起きたことを物語る最初のものでした」
アメリカ沿岸警備隊は、この情報を直ちに乗っていた人々の家族にも伝えたとしています。
潜水艇のツアーを運営していたアメリカのオーシャン・ゲート社は22日、「残念ながら、私たちは弊社のストックトン・ラッシュCEO(最高経営責任者)、シャザダ・ダウッド氏と彼の息子のスレマン・ダウッド氏、ヘイミッシュ・ハーディング氏とポール・アンリ・ナージョレ氏が亡くなったと考えています。彼らを知るすべての人にもたらされた命と喜びの喪失を悲しんでいます」と声明を出しました。
オーシャン・ゲート社が乗っていた5人の名前を公表したのは初めてです。
ニューヨークタイムズは今回、乗っていた5人のうちの1人、オーシャン・ゲート社のストックトン・ラッシュCEOの妻はタイタニック号の犠牲者夫妻の子孫だと報じました。
夫妻は1等船室の乗客、イジドー・ストラウス氏と妻のアイダ氏、女性や子どもが船内に残されているのを見て救命ボートに乗ることを拒否したことで知られています。生存者の証言によりますと、2人は沈みゆく甲板で腕を組んで立っていたということです。
オーシャン・ゲート社の共同創設者は、BBCのインタビュー中に一報を知らされました。
オーシャンゲート社の潜水艇「タイタン」が母船で運ばれ、カナダのニューファンドランド島を出発したのが16日です。18日にタイタニック号の沈没現場付近に到着。予定より4時間遅れの午前8時に潜水を開始しました。ただ、潜水を始めてから約1時間45分後、潜水艇「タイタン」と母船との通信は途絶えました。
■過去にトラブル 安全性に懸念も
タイタンに乗った経験のある男性も潜水中にトラブルに見舞われていました。やはり、母船との通信が途切れたのです。
男性によりますと、潜水を中止するために重しを落としたところ通信が回復したため、ツアーを続けたといいます。
タイタンの安全性はかねてから疑問視されていました。アメリカの裁判資料によりますと、2016年から在籍していた元従業員は潜水艇が水深4000メートルの水圧に耐えられる設計になっていないと懸念を表明。もっとテストをするよう助言した後、2018年に不当に解雇されたと訴えています。
海洋技術協会有人潜水艇委員会、ウィル・コーネン委員長:「タイタンのように水深4000メートル以上、潜れる潜水艇は世界で10台しかなく、どれも認証されていますが、タイタンは例外で、いわば“異分子”です」
海洋技術協会の専門家も2018年3月時点で安全性を懸念する書簡をオーシャン・ゲート社に送っていたといいます。
一方、オーシャン・ゲート社は2019年のブログで「革新的なことは、しばしば業界の規範から外れています。既存の基準がないため、承認には何年も手順を踏む必要があります。迅速な革新には好ましいことではありません」。
オーシャン・ゲート社は「経験豊富な専門家に依頼している」と主張していますが…。
海洋技術協会有人潜水艇委員会、ウィル・コーネン委員長:「あくまで自己認定にすぎません。ですからタイタンを『実験的』と位置付けるのは構いませんが、『実験的』ならば人を乗せていいわけがありません」
■なぜツアー可能?調査目的か
オーシャン・ゲート社は、タイタンが世界で唯一のカーボン・ファイバー製の潜水艇だとしています。
安全性の認証を受けずにツアーを行うことができるのでしょうか。
東海大学海洋学部・山田吉彦教授:「(タイタンは)調査船、研究船という目的で造られていて、どこの国の検査も受けない。言うなれば無認可の調査船。観光客として乗ることは許されない。“研究員”“にわか研究員”という形で乗っていたと思う」
オーシャン・ゲート社は、潜水ツアーを調査旅行と銘打っています。ただ、参加するには約3500万円という高額な参加費が必要です。
■交信途絶えた直後に“爆発音”
ウォール・ストリート・ジャーナルはアメリカ国防総省関係者の話として、潜水艇からの交信が途絶えた直後、海軍の音響探知システムが爆発音のようなものを検知していたと伝えています。分析の結果、圧力による損壊や爆発と一致する異常と判明したため、沿岸警備隊に伝えられていたといいます。
音が確認されたのは潜水艇の破片が見つかった近くです。20日には水中で物をたたくような音が聞こえたという報道がありましたが、それが自然音なのか人工音なのかは分かっていません。潜水艇に起きた壊滅的な出来事とは、どのようなことが考えられるのでしょうか。
東海大学海洋学部・山田吉彦教授:「耐圧室と言われる、人が出入りできる部屋。ここはチタンでできている。恐らく3年使っている間にかなり金属疲労があった。水圧に負けてチタンが押し潰されてしまう。大量の海水が中に入り、船体がボロボロに」
映画「タイタニック」を手掛けたジェームズ・キャメロン監督は「タイタニック号沈没の悲劇から何も学んでいない」と憤りをあらわにしました。
ジェームズ・キャメロン監督:「何十万ドルも払ってあそこに潜るなんて…信じられない。本当に悲劇的で、恐ろしく不必要。タイタニック号の船長は警告されていたのに月明かりのない夜に氷山に向かって進み続けた。そして、また同じです。全く同じ場所、同じ理由で、残骸の隣に新たな残骸が増えた」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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