ウクライナ国立民族舞踊団 使命は…“文化の火”絶やさないこと 20年ぶりに来日公演(2023年6月19日)
祖国が戦火に見舞われるなか、20年ぶりに来日したウクライナの国立民族舞踊団。全国ツアー初日に密着するなかで、彼らが公演に臨む理由が見えてきた。
■公演への思い…ダンス通して外交的な役割を
客:「感動だわ、めっちゃ感動。すごく感動した」「最後は感動でした。涙、涙で。世界平和を祈ります」
ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか、17日から名古屋で、ウクライナ国立民族舞踊団による20年ぶりの来日公演が始まった。
色鮮やかな民族衣装をまとい、ウクライナの文化を伝える民族舞踊を披露。観客からは、大きな拍手が送られた。
舞台の演出を担当するガリーナ・バントゥフ氏に、今回の公演への思いを聞くことができた。
ウクライナ国立民族舞踊団 ガリーナ・バントゥフ芸術監督:「戦争が始まったころから、それぞれが自分の分野で活動しなければいけないと言われてきました。前線で戦っている兵士は国を守っています。私たちもダンスを通して外交的な役割を果たしています」
■ダンサー「国外避難者に帰る国があると伝えたい」
20年ぶり3度目の日本公演で来日したのは、キーウを拠点に活動するウクライナ国立民族舞踊団だ。
創立以来、世界80カ国以上で公演を実施していて、その芸術性が高く評価されている。
ロシアによるウクライナへの侵攻が続くなか、今回の日本公演には、どんな思いがあるのか。
ウクライナ国立民族舞踊団 ダンサー:「ウクライナがどんな国なのか、世界に知ってもらいたいです。仕方なく国外に避難した人たちに帰る国があると伝えたいんです」
彼らの使命は、踊りを通して“ウクライナ文化”の火を絶やさないことだという。
「スピリット・オブ・ウクライナ」、“ウクライナの精神”と題された全国ツアーは、およそ2カ月間に31の都市で43公演を行う予定だ。
■避難した人を招待「涙が止まりませんでした」
17日に初日を迎えた名古屋公演は、およそ2200席のチケットが完売した。
幕が上がるとともに、舞台中央に出てきた女性たちが持っているのは“パンと塩”だ。
古くからウクライナでは、客を“パンと塩”でもてなす習慣があるそうで、最大限の歓迎の思いが込められているという。
公演では、ウクライナの地方ごとに伝わる様々な民族舞踊が披露される。なかでもウクライナを代表する民族舞踊といえば“コサックダンス”だ。
コサックは、15世紀から16世紀にかけて、今のウクライナの地域に形成された武装集団で、ウクライナでは今も伝説的な英雄としてたたえられている。
そのコサックが、自らの力強さや勇敢さを誇るために踊っていたのが“コサックダンス”なのだが、18世紀にロシア帝国に併合されると、踊ることが禁止された。
今、再びロシアによる侵攻を受け、キーウの劇場での公演は、攻撃などで度々中止を余儀なくされているという。
ウクライナ国立民族舞踊団 ダンサー:「何十年にもわたってロシアは、ウクライナの文化を絶滅させようとしてきました。言葉や文化をはじめ、ウクライナ芸術など存在しないと言ってきたのです。私たちの目標は、ウクライナの伝統文化を見捨てるつもりはないと世界に訴えることです」
総勢52人で臨んだステージは、国のシンボルでもある「ひまわり」を背景に終演を迎えた。
この日は、ウクライナから避難を余儀なくされた人々が招待されていた。
ウクライナから避難(20代):「ずっと楽しみにしていました。自分の国のために全力を尽くす人たちを見て、ずっと涙が止まりませんでした」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年6月19日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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