元参与員「肝心要の部分はブラックボックス」難民審査の実態 当事者「あらがえない」(2023年6月9日)

元参与員「肝心要の部分はブラックボックス」難民審査の実態 当事者「あらがえない」(2023年6月9日)

元参与員「肝心要の部分はブラックボックス」難民審査の実態 当事者「あらがえない」(2023年6月9日)

『改正出入国管理法』が9日、可決され、成立しました。

難民申請中は、母国への送還が停止される規定を見直し、3度目以降の申請者は、強制送還が可能となります。また、入管施設への収容の長期化を防ぐ制度や、紛争から逃れてきた人を保護の対象とする規定も設けられました。

ナイジェリア出身のエリザベスさん(56)。現在、2度目の難民申請の最中です。
エリザベスさん:「(Q.2回目の申請中ですけど、法案成立によって、もし認められなかった場合)しょうがない。強制送還、関係ない。私は平和に暮らすために日本に来た。日本で問題を起こすために来たわけじゃない。犯罪者でもない私たちを“強制送還する”と日本政府が言うなら、あらがえない」

エリザベスさんの故郷には、結婚前の女性の性器を切除するという通過儀礼が残っています。命を落とす危険性もはらむこの風習は、WHO=世界保健機関もなくすことを求めていて、日本の入管庁が今年初めて公表した“難民判断の手引き”でも迫害の事例とされています。

しかし、エリザベスさんの1度目の申請結果は、難民『不認定』でした。
法務省からの通知書:「あなたの申し立てには不自然、不合理な点が認められ、当該申立ての信ぴょう性に疑義があります」

エリザベスさん:「(入管庁から)『女性器切除が怖いと言うが、ナイジェリアには帰れないのか』と聞かれたので、『今でもその文化が残っているから帰れない』と答えました。それ以上、詳細は聞かれなかった。(Q.難民認定のプロセスが見えない)その通り。不透明です」

2度目の申請から6年。結果が、いつ、どう出るか、全くわかっていません。

難民審査に関わる参与員を10年にわたって務めた阿部浩己教授。日本の難民認定には、不透明な点が多いと指摘します。
明治学院大学・阿部浩己教授:「一番、肝心要の部分はブラックボックス。そこで最終的な判断が下されている」

参与員とは、入管庁が難民『不認定』とした申請者の再審査に携わる立場です。学者や弁護士、NGOなどから選ばれ、難民申請者へのヒアリングを行います。
明治学院大学・阿部浩己教授:「参与員は法務大臣に対して、難民に当たる、当たらないとか、意見を提出する。法務大臣に直行するわけではなくて、(入管庁の)審判課にまず行く。誰がどう検討しているかは不透明」

約500件の審査に関わり、40件弱、「難民認定すべき」という意見書を出したといいますが、そう判断するには難しさがあったそうです。
明治学院大学・阿部浩己教授:「実際に審査請求の段階で『一次審査のインタビューでこんなこと言ってますね』と確認すると、『そんなこと言っていない』と本人が否定することもある。一次審査の供述調書が、どこまで本当のやり取りを記したものか。すごく難しさとして感じた」

改正法では、難民認定しない場合、その理由を本人に通知することが定められていますが、阿部氏は、それ以上の透明性が必要だといいます。
明治学院大学・阿部浩己教授:「一次審査における供述調書の取り方とか、代理人の立ち合いを認めるとか。そういうようなことを現行制度の中でやっていく」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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