電力カルテル 関西電力の一部株主が会社に、当時の取締役らに損害賠償請求を行うよう求める書面を提出
関西電力など大手電力会社4社が、各社の利益を確保するために互いの営業エリアでの顧客獲得を制限する「カルテル」を結んでいた問題で、7日、関西電力の一部の株主が関西電力に対し、当時の取締役らに損害賠償請求を行うよう求める書面を提出しました。
この問題をめぐっては、2018年ごろから、関西電力が中部電力、中国電力、九州電力の3社との間で、電気料金の値下げ競争を防ぐため互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう制限する「カルテル」を結んだとして、今年3月、公正取引委員会から、独占禁止法違反に基づく総額1000億円を超える課徴金の納付などを命じられました。
関西電力は、違反を最初に自主申告したため課徴金を免れていますが、今年3月に行われた会見では、当時の岩根社長や森本副社長ら経営陣が中心となり、他社にカルテルを持ちかけたことを明らかにし、謝罪しています。
これに対し株主で「脱原発へ!関電株主行動の会」で活動するメンバー8人が関西電力に対して、①社内調査にかかった費用、②大阪府などの官公庁による入札資格停止処分によって失った利益、③カルテルによって高値で電気を購入させられた顧客への賠償債務が生じたとして、7日、関西電力に対し、当時の取締役ら24人に約3508億円の損害賠償請求を起こすよう求める書面を提出しました。
7日開かれた会見で代理人の弁護士は、「課徴金を免れた企業への提訴請求は異例なこと。しかし、自らカルテルを持ち掛けたにもかかわらず、最初に違反申告をすることで課徴金を免れるということは許してはならない」などと話しました。
今後、関西電力が、法律で定められた60日を過ぎても取締役らに対して訴えを起こさない場合、株主らは株主代表訴訟を行うとしています。
株主代表訴訟とは…
会社の取締役などの役員が不祥事で会社に損害を与えた場合に、株主が、本来責任を追及すべき立場にある会社に代わって役員の責任を追及する訴訟のことです。
会社に生じた損害を対象とするため、本来は会社が訴えを起こす必要があり、株主は無条件に訴訟を起こすことはできません。しかし、会社と役員の間に仲間意識が存在し、責任追及がなされない場合が想定されます。そのため株主は「提訴請求」と呼ばれる、会社に対して役員の責任を追及するよう求める手続きを行うことで、会社が60日以内に訴えに応じない場合には、会社に代わり訴えを起こすことが可能になります。
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