温暖化で“和食の命”昆布が消滅? “宇宙目線”でお米を守る取組も(2022年9月24日)

温暖化で“和食の命”昆布が消滅? “宇宙目線”でお米を守る取組も(2022年9月24日)

温暖化で“和食の命”昆布が消滅? “宇宙目線”でお米を守る取組も(2022年9月24日)

北海道函館市の沿岸。
引き上げられたのは、長さ3メートルはある、真昆布です。
次々と漁船に乗せられていきます。

(漁師 浜田英樹さん)
『本数にしたら900本』

その後、家族総出で小屋に吊るし、乾燥させる作業が、夏場の2か月間、ほぼ毎日続くと言います。
しかし、昆布にも地球温暖化の影響が忍び寄っていました。
北海道大学の研究グループによると、温暖化に伴う海水温上昇で、日本近海の天然昆布が2090年代までに消滅する可能性があるというのです。

世界に誇る無形文化遺産「和食」。
その命ともいえる「出汁」に昆布は欠かせません。
都内で日本料理店を営む林亮平さんは…

(日本料理「てのしま」店主 林亮平さん)
『昆布が将来的に無くなっていくんじゃないかという危機感は非常にあります。日本料理が食べられなくなる、和食が作れなくなるということ』

今、昆布に何が起きているのでしょうか?
函館市の沿岸に生えている天然真昆布。
しかし、さらに進むと岩だらけの場所が…。
こうした場所にいるのはウニ。
実は、昆布がウニに食べられる「磯焼け」と呼ばれる現象が起きていたのです。

(北海道大学 仲岡雅裕教授)
『ウニなどの仲間は変温動物なので、海水温が上がるとたくさん食べるようになる。ウニの食べる量が多くなって昆布が減る。これが極端になると「磯焼け」』

天然真昆布の水揚げ量はこの10年間で、約150分の1にまで激減しました。
さらに…

(漁師 浜田英樹さん)
『天然真昆布がないと養殖真昆布の種も作れない』

天然真昆布の胞子から作られる養殖の真昆布にも影響が及ぶと、心配の声が上がっているのです。
函館市は生産量“日本一”の「昆布の里」として、長年、和食文化を支えてきた地域です。
日本料理人の林亮平さんも仲間とこの現状を視察、情報発信を続けています

(日本料理「てのしま」店主 林亮平さん)
『日本料理を支える根幹が昆布だと思います。何とかして次の世代に残すことが日本料理人の使命だと思いますし、議論ができるきっかけを作ることができれば』

温暖化の影響は昆布だけではなく、お米にも及ぶとされています。
そこで立ち上がったのが、JAXAの職員です。

(JAXA職員 百束泰俊さん 宇宙ベンチャー「天地人」創業者)
『衛星を作るだけではなくて、使い方の部分でイノベーションを起こしていく』

宇宙に浮かぶ人工衛星が農業を変えようとしています。
米どころ、山形県・鶴岡市。
ここで今あるお米が育てられています。
その名も「宇宙ビッグデータ米」。
この米作りに関わっているのが、JAXA=宇宙航空研究開発機構の職員、百束泰俊さんです。

(JAXA職員 百束泰俊さん 宇宙ベンチャー「天地人」創業者)
『私が開発にかかわっていた、「いぶき2号」なんですけども、こちら二酸化炭素とメタンを観測する人工衛星になります』

宇宙に浮かぶ人工衛星からは、地表温度や降水量など、大量のデータが得られます。
百束さんは、それを温暖化の影響で今後、生産量が減ると予測される米作りに活かす取り組みを行っています。

(JAXA職員 百束泰俊さん 宇宙ベンチャー「天地人」創業者)
『稲がどんな温度になるかっていうのを分析しているマップになります。どこだったら1番病気になりにくくて、収穫がいっぱいできそうかを分析した結果、この地域が1番いいだろうと』

百束さんが開発にこぎつけたのは、人工衛星から得られるデータから、米作りに最適な田んぼを探し出すシステムです。
先週、その田んぼには黄金色に輝く稲穂が実っていました。

(米卸業者「神明」 古満考雄さん)
『実もしっかりついていて、ひとつひとつの粒もしっかり中に入っているので、非常にいいお米ができていると思います』

無事収穫を迎えた「宇宙ビッグデータ米」。
年内にも販売される予定です。

(JAXA職員 百束泰俊さん 宇宙ベンチャー「天地人」創業者)
『これから人工衛星は、ものすごい早さで数が増えていくと思う。そういった大量のデータを分析することによって、気候変動に対してどういうアクションを僕らがとったらいいのかを明らかにして、世の中を良くしていければ』

サタデーステーション 9月24日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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