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対中ODA終了 最後の任務を担った先生
熱戦が続く北京オリンピック。その中国で43年間続けられてきた日本からのODA=政府開発援助が静かに終わりを迎えました。最後の支援活動を担当した女性が抱く思いとは。
中国東部江蘇省の高校で行われている日本語の授業。指導するのは、JICA=国際協力機構から青年海外協力隊として派遣された矢部紬さん(25)です。学校があるジュツ陽県は人口およそ200万人。生徒の大半は周辺の農村から通っています。矢部さんは2年前、日本人が一人もいないこの街に派遣されました。
青年海外協力隊 矢部紬さん
「一人でチャレンジしたかったのと、日本人がいない地域で日本語を学ぶ生徒と一緒に勉強したかった」
日本政府は1979年、中国の経済発展の支援などを目的にODAを開始。これまでに総額3兆6000億円を超える支援が行われてきました。その後、建設などの支援から教師らを派遣する”ヒトでの支援”へ変化しましたが、2018年に援助の終了が決まりました。
最後の任務を託された矢部さん。派遣された高校では全生徒の4割以上、およそ2000人もの生徒が日本語を学んでいます。その理由が・・・
青年海外協力隊 矢部紬さん
「やっぱり高考に向けての授業になるので、現地の先生は先に先に進める」
中国の大学入学試験「高考」にむけて、幼少期から英語を学ぶ富裕層には敵わないため、困窮した家庭の生徒らは、日本語を選択することが多いといいます。矢部さんは勉強だけでなく、浴衣の着用を体験してもらうなど、授業を楽しんでもらえるように生徒に向き合いました。
青年海外協力隊 矢部紬さん
「『先生次の授業はいつ?』と職員室に来てくれたり、そういう子たちがいるとやっててよかったなと思いました」
そしてもうひとつ、生徒に宛てた手書きの新聞です。「こどもの日」や「クリスマス」など、身近なイベントが日本と中国でどのように違うか紹介し、学校に掲示しました。
先週土曜日、矢部さんは全ての授業を終え、中国での任務が終了しました。
青年海外協力隊 矢部紬さん
「私の後にもっと協力隊がいたりすると、もっと深く交流ができたり、よりいい関係が続いていくのかなと思うので、少し残念な気持ちはある」
最後の新聞に記したメッセージは「これからもたくさん連絡を取りましょう」。ODAの終了とともに援助ではない交流が始まろうとしています。
(16日16:41)
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