公明幹事長「信頼は地に落ちた」自民党内からは“連立解消論”も 24年の連立“亀裂”(2023年5月25日)

公明幹事長「信頼は地に落ちた」自民党内からは“連立解消論”も 24年の連立“亀裂”(2023年5月25日)

公明幹事長「信頼は地に落ちた」自民党内からは“連立解消論”も 24年の連立“亀裂”(2023年5月25日)

20年以上連立政権を続けきた自民党と公明党の対立が深まっています。

きっかけは、次の衆院選での選挙区調整。

25日午後0時半、国会内では、選挙をつかさどる自民党と公明党の幹部が集まっていました。会談は30分で終わり、公明党は退出したものの、自民党の幹部による協議が続きました。協議を終えた茂木幹事長は、記者の質問には応じませんでした。

一方、会談を終えた公明党の石井幹事長は、こう述べました。
公明党・石井啓一幹事長:「東京における自公の信頼は地に落ちたと言える。したがって東京における自公間の協力関係は解消する」

騒動の発端は、1票の格差是正のため、衆議院小選挙区の区割りを変更する『10増10減』です。

小選挙区が増える東京。新たに誕生する『28区』で、公明党が独自候補の擁立を求めたのに対し、自民党が「すでに候補者が決まっているので別の選挙区でどうか」と突っぱねたのです。

そこで公明党が下した結論は、『東京28区』での擁立断念。代わりに、東京のすべての選挙区で自民党候補を推薦しないことにしました。
公明党・西田実仁選対委員長:「協力をし合うということが選挙協力。政策とかそういうことではなくて。『推薦しない』と、それだけ言われたら、ほかの方は推薦しないということを東京においては決めた」

東京では1選挙区あたり、2~3万票ともいわれる公明票。その協力がないとなれば、困るのが東京選出の自民党議員たちです。
前回約2万票差で当選の自民党・大西英男衆院議員:「(Q.自民党議員には推薦を出さないと決まった)決めたと言っても、まだ選挙は先ですから。そのまま選挙に突入するわけじゃない」
前回比例復活の自民党・若宮健嗣衆院議員:「(Q.公明の推薦がないと東京の選挙戦はつらい)そうですね。場所にもよるかと思います。地域性というのもあるかと思います」

一方、公明党の推薦なしに、毎回、大勝している自民党・平沢議員。
自民党・平沢勝栄衆院議員:「それはそれぞれの方々の戦い方じゃないですか。あまり特定のところに依存することなく、日ごろ、地域を泥まみれになって動いていれば、私は応援をもらわなくても勝てると思います」

公明党が連立政権に加わったのは、今から24年前。以来、自公で候補者を調整し、選挙協力を行ってきました。公明党としては、選挙で自民党を支援しつつ、政策に党の考えを反映させ、アピールするのがこれまでのやり方でした。その協力関係にひびが入っています。
自民党ベテラン議員A:「創価学会幹部の独裁状態だ。宗教団体の職員が選挙区調整や候補者の支援をしている。政教一致だ」
自民党中堅議員:「ここまでもめたのは、今まで見たことがない。これは本当に予断を許さないよ」

自民党内からは、“連立解消”の声が上がります。
自民党幹部:「東京だけの話にとどまるはずがない。連立に影響がないかを決めるのは自民党だ」
自民党ベテラン議員B:「公明党とはもういいんじゃないの。『一緒だと憲法改正ができない』と言って選挙を戦えばいい。公明党の大臣、副大臣、政務官は辞表を出せって話だ」
自民党・長島昭久衆院議員「(Q.連立政権に影響を与える声もあるが)東京で起こった出来事が、全国的に波及しないと考えるほうが不自然な気はします」

ただ、公明党としては、連立離脱のつもりはないようです。
公明党・石井啓一幹事長:「この問題については、あくまでも東京の選挙協力の話であり、連立に影響を及ぼすつもりはないということも申し上げました」

岸田総理:「岸田政権としては、強固な自民公明両党の連立の基盤に立って、先送りできない重要な課題に一つ一つ対応していきたい」

◆政治部・与党担当の岡香織に聞きます。

公明党・石井幹事長は25日、「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と話したうえで、5つの方針を示しました。東京28区に、候補者を擁立しない。東京29区は公明党単独で戦う。そのほかの東京の選挙区については、自民候補を推薦しない。今後の都議選や区議選などで選挙協力は行わない。東京都議会における自公の協力関係を解消するとしました。

(Q.なぜ、こうなったのでしょうか)
それぐらい公明党にとっては、1議席1議席が大切だったということです。その背景にあるのは強い危機感です。4月の統一地方選挙で12人が落選するなど、結果がふるわず、次の衆院選では、公明党が強い関西で維新との対決もあり、党勢の維持に向けた必死さの表れではないかと思います。現に、公明党が東京で選挙協力しないことのインパクトは自民党にとって大きく、選挙区で僅差で勝って来た人にとっては、公明党の協力は頼みの綱で、自民党内にも動揺が広がっています。

(Q.公明党の石井幹事長は「連立は解消しない」と言いましたが、相当な禍根を残したのではないでしょうか)
岸田総理も茂木幹事長も、沈静化を図るような発言をしていますが、自民党の一部の幹部からは「東京だけにとどまるものではない。連立離脱も覚悟してもらわないと」という強硬論もあります。ここまでこじれた背景には、裏で落としどころを探れるような太いパイプを持つ人がいないという面もあると思います。ある幹部は「連携が上手くいっていない」と話していますし、実際に取材していても、両党の執行部の関係性は希薄に見えます。そういう影響もあってか、調整がうまくいかなくなっているのではないかと思います。

(Q.自公の関係は、修復できるものでしょうか。どう思いますか)
自民党の中には「そうはいっても最後はおさまるでしょう」と話す人もいます。そこには、なんだかんだ言っても、与党にいることが公明党のメリットだと思っている部分があると思います。一方で、公明党の関係者に話を聞きますと、「実は自民党との連立にアレルギーを持つ人が一定数いて、これまで安保法制の議論や、子育て政策をめぐっても、公明党の提案が飲まれなかったことに、不満やうっぷんがたまっている」と話していました。こういう話を聞くこと自体が珍しく感じますし、今までなら飲み込んできたことも、それが難しくなっているようにも感じます。これまでのように、簡単に関係修復とはいかない状況になっていると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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