【報ステ】ゼレンスキー氏“対面出席”の経緯と狙いは?G7サミット開幕(2023年5月19日)

【報ステ】ゼレンスキー氏“対面出席”の経緯と狙いは?G7サミット開幕(2023年5月19日)

【報ステ】ゼレンスキー氏“対面出席”の経緯と狙いは?G7サミット開幕(2023年5月19日)

78年前、世界で初めて原子爆弾が投下された広島。ロシアが核で威嚇しながら、ウクライナを侵略し、核兵器の脅威が冷戦以来の高まりとなるなか、G7サミットが被爆地で開かれました。

各国の首脳が、続々と平和公園に集まりました。債務上限問題を抱え、19日朝も本国の作業チームとテレビ会議を行っていたバイデン大統領は、約10分遅れての到着。そして、岸田総理夫妻とともに原爆資料館へ。この街に原爆を投下したアメリカ。現職の大統領としては、オバマ氏に続いて2人目の訪問です。原爆資料館での滞在は、40分ほどでした。

その後、サミットのメイン会場、瀬戸内海に面した宇品島に移動。実質的な議論が始まります。
岸田総理:「皆さまを私の地元、広島にお迎えできて、うれしく思います。世界はいま、気候危機、パンデミック、ロシアによるウクライナ侵略といった複合的な危機に直面している。今回のサミット全体を通じての大きなテーマは、分断と対立でははく、協調の国際社会実現に向けたG7の“結束の確認”と“役割の強化”であり、そのための積極的かつ具体的な貢献を打ち出すこと」

広島サミット最大のテーマであるウクライナ情勢。昼ごろ、驚きの情報が入ってきました。

ウクライナに関するセッションにオンライン参加する予定だったゼレンスキー大統領が20日にも来日し、21日、G7に対面で参加となりました。G7首脳と同じように平和公園で献花を行う方向で調整しているそうです。核で脅すロシアに対し、核兵器の使用は決して許されないというメッセージを訴えるとみられます。

もちろん、目的はそれだけではありません。ロシアに占領された地域の奥深くまで届く長距離ミサイルをイギリスから手に入れたウクライナ。しかし、これまで再三求めていながら、まだ提供されていないのがF16戦闘機です。

イギリスは、戦闘機の供与には踏み込まないものの、夏からウクライナ軍パイロットの訓練を始める予定で、戦闘機連合の構築に向け、F16を保有するオランダと取り組むことで合意しました。そして、戦闘機の供与には、消極的な姿勢を見せてきたバイデン政権も、ヨーロッパの同盟国がF16を供与するのは認めるとの報道が出ています。

夕方、G7首脳は、世界遺産・厳島神社へ。夜は、夕食を取りながら議論を行いました。中国を含むインド太平洋情勢、そして、核軍縮・不拡散がテーマです。ただ、ロシアのウクライナ侵攻で核軍縮が遠のいていることは否定できません。

メディアには非公開にされた原爆資料館の視察。首脳たちは何を感じたのでしょうか。
フランス・マクロン大統領(芳名帳に寄せた言葉):「広島の犠牲者を記憶する義務に貢献し、平和に向けて行動することが私たちの責務だ」
イギリス・スナク首相(Twitterから):「平和公園を訪れ、深く心を動かされた。私たちは、最も暗い瞬間も含めて過去から学ぶことが重要だ」

原爆資料館で首脳らと言葉を交わした被爆者の小倉桂子さん(85)です。
8歳のときに被爆・小倉桂子さん:「絶対に核で人を脅したり、威嚇のために使ってほしくない。この地球上に核がないこと、できるだけ早く。そのために頑張ってほしいと私は申しあげた。武器を供与して、どんどん暴力が、どんどん大きくならないように願いたい」

内密に練られたとみられるゼレンスキー大統領の訪日計画について、政治部官邸キャップ・千々岩森生記者に聞きます。

(Q.今回のサミット最大のテーマであるウクライナ情勢。その主役であるゼレンスキー大統領が、広島を訪問する経緯と意義をどう感じていますか)

千々岩森生記者:「今回の極秘プロジェクトに関わった、ある政権幹部は『短期間でできるはずがない』と話しています。政権内部でもごく少数で、1カ月以上練ってきたプロジェクトだと思います。もともと来日の噂が絶えないなか、岸田総理は18日に『オンラインの参加だ』と、噂を火消しするような発言をしました。それだけ情報管理にはピリピリしていたのだと思います。ウクライナはロシアの侵略を受けて、核の威嚇も受けているなかで、今、世界で最も発信力があるゼレンスキー大統領が、被爆地・広島で“核兵器の使用は許されない”というメッセージを出すことで、世界に伝ぱしていくことが期待されます」

(Q.ゼレンスキー大統領も加わり、ウクライナをどう支援し、ロシアにどう対峙していくか。議論を取りまとめる議長として、岸田総理の役割は大きくなりましたか)

千々岩森生記者:「もともと、サミットは、風光明媚なリゾート地で行うことが多いです。今回、あえて広島で行うというメッセージ性。そこにゼレンスキー大統領が加わり、世界の注目度が格段に上がりました。岸田総理の一言一言も重要になります。一方で、大きなリスクもあります。1つは、ロシアが日本を敵とみなすリスク。軍事も含めた、日本に対する圧力が強まる可能性があります。2つ目は、立場が見えない国に白黒迫るリスク。インドをはじめとした『グローバルサウス』と呼ばれる、ウクライナ問題に関して“グレー”でいたい国々に対して、白黒を迫ることになるため、『ゼレンスキー大統領を呼ぶのはやめておこう』という意見も政権内部にはありました。これを岸田総理がどうまとめていくのかは、非常に大きいポイントだと思います。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
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