独自「戦争終結の必須条件はクリミア奪還」ウクライナ大統領“最側近”×大越健介(2023年5月17日)

独自「戦争終結の必須条件はクリミア奪還」ウクライナ大統領“最側近”×大越健介(2023年5月17日)

独自「戦争終結の必須条件はクリミア奪還」ウクライナ大統領“最側近”×大越健介(2023年5月17日)

19日から始まるG7広島サミットで、間違いなく最重要テーマの一つになる『ウクライナ情勢』について、ゼレンスキー大統領の最側近、大統領府顧問のミハイロ・ポドリャク氏が報道ステーションの単独インタビューに応じました。これまであまり語られてこなかった、クリミア半島の奪還に向けて、具体的な戦略の一端を明らかにしました。

前回、首都キーウにある大統領府でインタビューを行ったのは2月。当時は、東部でロシア軍の大規模攻勢が始まっていた時期です。3カ月経ち、陥落間近とも言われていたバフムトでは今、形勢が変わりつつあり、大規模な反転攻勢の開始がささやかれています。

そんなタイミングでヨーロッパ各国を訪れていた、ゼレンスキー大統領は14日、「今こそ、年内に戦争を終わらせる好機だ。今年中に侵略国の敗北を決定づけることができる」と話しました。

大越健介キャスター:「(ゼレンスキー大統領の発言は)今、いわゆる大規模な反転攻勢がすでに始まっているという意味でしょうか。それとも、その準備中であるということですか」

ポドリャク氏:「反転攻勢は近いうちに必ず始まります。ただ、きょう始まって、あす終わるわけではありません。1800キロの戦線では“様々な出来事”が起きるでしょう」

今後起きる“様々な出来事”として、ポドリャク氏が挙げたのが、ロシア軍の防衛線の突破、補給インフラやクリミアなどにある備蓄拠点の破壊です。

ポドリャク氏:「十分に効果的な反転攻勢を行い、ロシア軍に2~3回、本格的な戦術的敗北をさせれば、ロシア軍の戦闘能力を完全に無効化できると考えています」

反転攻勢近しという時期に出てきた新たな動きが、イギリスによる長距離巡航ミサイル『ストームシャドー』の供与です。ステルス性能を持ち、貫通能力が非常に高いとされています。射程は250キロ以上。アメリカから提供されたロケット砲では届かない、ロシア占領地域の奥深くまで標的にすることが可能です。

大越健介キャスター:「射程は、ウクライナの領土であるクリミア半島も含みます。クリミア半島の奪還も具体的に計画されていますか」

ポドリャク氏:「いい質問ですね。現在は“計画しているかどうか”の段階はすでに過ぎていて、戦争終結の必須条件になっています。クリミアの奪還は、ロシアの変化が始まる重要な条件。つまり、戦争の終わりの始まりです。クリミアにある軍事拠点230カ所の位置を把握しています。ストームシャドーは、それらの拠点まで届き、前線の占領軍に対する補給を防ぐことができます」

広島でのG7サミットで“陰の主役”とも言えるのが、軍事・政治・経済、あらゆる面で影響力を強める中国です。先月、ゼレンスキー大統領と電話会談を行った習近平国家主席。中国は、特使をウクライナとロシアに送り、仲介役を担う姿勢を示しています。

大越健介キャスター:「中国は“和平の仲介”に意欲を示していますが、ウクライナにとって、中国は信頼できるパートナーですか」

ポドリャク氏:「私たちが最も信頼できる相手は、G7・アメリカ・イギリス・EU・日本です。ロシアは世界的な大国として、もはや存在しておらず、今はその役割を中国が目指しています。ロシアとウクライナの戦争で、中国は“仲介役”になるよりも、ロシアを支配下に置きたいと願っています。提案を出す中国やブラジルを含む、様々な国の様々なリーダーと、ゼレンスキー大統領との直接的な対話は重要です」

世界のパワーバランスが変わりつつあるなか開かれるG7サミット。『グローバルサウス』と呼ばれる新興国や途上国を招き、連携を図る構えです。ただ、インドやブラジルなどこうした国々は、ロシアへの制裁に参加せず、西側とは距離を置いています。

大越健介キャスター:「ロシアとウクライナの戦闘に対して、態度をはっきりさせない、グローバルサウスの国々に対して、どのようなことを訴えたいですか」

ポドリャク氏:「大変残念なことに、グローバルサウスの国々は“中立の立場”を取っています。この歴史的瞬間に、立場を明確にする必要があります。安定した予測可能な世界で暮らしたいのなら、ウクライナを支援すべきです。ロシアは主権と領土保全を破壊しています。ロシアを抑制しなければ、世界中でこのような紛争がたくさん起きる恐れがあります。グローバルサウスの国々も、非常に危険な状態になり得るのです」

【クリミア奪還“具体的戦略”】

ポドリャク氏は今回、反転攻勢について具体例を挙げました。

(1)ロシア軍防衛線の突破
(2)ロシア軍補給拠点の破壊
(3)ドンバス・クリミアなどの備蓄拠点の破壊

防衛省防衛研究所・兵頭慎治さんは「この3つが、クリミア半島やドンバス地方の奪還につながる足掛かりだ」と分析しています。

この3つがそれぞれ何を意味しているのでしょうか。

兵頭さんによりますと、(1)は、ロシア軍が現在、防衛線を強化する南部のザポリージャなどの“前線の押し返し”を意味しているということです。

(2)は“補給の中継拠点”を奪還すること。例えば、ロシア軍がウクライナ東部や南部への補給拠点である“メリトポリの奪還”を示しているといいます。

(3)は、この時点では、あくまでも占領地そのものの奪還ではなく、弾薬庫など“補給の大元”を破壊する。

この(1)(2)(3)の積み重ねの先に、戦争の終着点が見えてくると分析しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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