「伝統」と「変革」 70年ぶり英国王の戴冠式(2023年5月6日)

「伝統」と「変革」 70年ぶり英国王の戴冠式(2023年5月6日)

「伝統」と「変革」 70年ぶり英国王の戴冠式(2023年5月6日)

(報告 金指光宏 記者)
「沿道からは大きな歓声があがっています今チャールズ国王が乗った馬車が目の前を通っていきます、この後戴冠式が行われるウェストミンスター寺院へと向かいます」

日本時間6日午後6時20分、バッキンガム宮殿を出発したチャールズ国王とカミラ王妃。小雨にもかかわらず沿道に集まった人々の歓声の中、6頭の馬が引く馬車に乗りおよそ2kmのコースを30分ほどかけてウェストミンスター寺院に到着しました。

金の刺繍が施された白いドレス姿のカミラ王妃の後に登場したチャールズ国王。伝統的な丈の短いパンツとタイツではなく軍服のパンツと伝統的な衣装のミックスでした。

国王が羽織ったローブの裾を持って行進する「ページ・オブ・オナー」。その中の一人はウィリアム皇太子の長男ジョージ王子です。エリザベス女王の戴冠式当時のチャールズ国王はまだ4歳。重要な役割を務めるにはまだ子供でした。

そしてウィリアム皇太子とキャサリン妃。シャーロット王女はキャサリン妃とお揃いの髪飾りをつけて出席、ルイ王子の姿もありました。

(イギリス王室に詳しい にしぐち瑞穂さん)
「3世代の君主が勢ぞろいしたかなり稀な戴冠式でもあります」
「現国王のスタート共に、次、そして次の国王までいますよ、そして英国王室は安泰だというところのアピールです」

式典には秋篠宮ご夫妻やフランスのマクロン大統領、アメリカのジル・バイデン大統領夫人ら各国要人。ブレア氏らジョンソン氏などイギリスの歴代首相。歌手のライオネル・リッチーさんらが出席しました。また「多様性」を尊重し、女性の聖職者やキリスト教以外の宗教指導者が初めて式の進行に携わりました。出席者の中で注目されたのがヘンリー王子。席は3列目で国王の妹・アン王女のすぐ後ろです。

(イギリス王室に詳しい にしぐち瑞穂さん)
「『高位』ではないが『家族』という席でした」
「主軸のロイヤルのみなさまとはちょっと離れて『身内席』という感じ」

王室を離脱したヘンリー王子は戴冠式に出席こそしましたが正式な役割は与えられませんでした。

中央に置かれているのは1300年に作られたという戴冠式用の「エドワード王の椅子」。その前で国王の宣誓が行われました。

(カンタベリー大司教)
「法律や習慣に従って統治することを、厳粛に約束し、誓いますか?」
(チャールズ国王)
「厳粛にそうすると誓います」
ついたての中で「聖油」を塗る儀式が行われました。この儀式はエリザベス女王の戴冠式でも非公開でした。地元メディアによると今回の聖油には野生動物保護の観点から動物性の成分は使われていないと言います。

エドワード王の椅子に座った国王に「オーブ」や「王笏」など王権の象徴である宝物「レガリア」が授けられます。そして最後に大司教がチャールズ国王に「聖エドワード王冠」を被せます。

(参列者)
「GOD SAVE THE KING!(国王陛下万歳!)」

(報告 金指光宏 記者)
「祝砲が聞こえましたチャールズ国王にいま冠が授けられたようです、寺院から離れたこの沿道にもそれが伝えられました」

この王冠は重さ2kg以上で戴冠式専用のもので、かぶるのは生涯にこの1回のみです。

戴冠式が行われたウェストミンスター寺院に通じる大通りでは新たな国王の戴冠を祝おうと、多くの市民が詰めかけました。

一方で…

(抗議集会参加者)
「私の国王ではない!」

ウェストミンスター寺院から1キロ足らずのトラファルガー広場では反王室の抗議集会が行われました。

世論調査では18歳から24歳で「王室を維持した方が良い」答えた人は36%。また全体の51%が「戴冠式の費用を国が負担すべきではない」と答えています。

戴冠式ではこうした国民感情に配慮したのか異例な光景も見られました。

(イギリス王室に詳しい にしぐち瑞穂さん)
「カミラ王妃の王冠を、リサイクルで、ありものから使ったっていうのはかなり異例なんですよ歴代で」
「チャールズ国王がエコとかサスティナビリティとか、なるべく経費使わずにと」

カミラ王妃の王冠はエリザベス女王の祖母、メアリー王妃のものをリサイクルしました。宝石は新たに取り付けられましたが、エリザベス女王のブローチに使われていたダイヤモンドです。

そしてこちらも異例だったのがキャサリン妃です。頭には、ティアラではなく植物をモチーフとしたヘッドピースをつけています。身に着けるものが話題となることが多いキャサリン妃。今回ティアラではなくヘッドピースを選んだわけは…

(イギリス王室に詳しい にしぐち瑞穂さん)
「チャールズ国王とウィリアム皇太子がすごく訴えてる、環境問題イコール、植物・自然みたいなそこ訴えるためにお花(植物)なら理にかなっていますね」

新国王の信念に沿ったものだとみられます。

サタデーステーション 5月6日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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