憲法記念日を前に… 殺傷能力のある兵器の輸出解禁?防衛装備の移転を巡る課題とは【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

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憲法記念日を前に… 殺傷能力のある兵器の輸出解禁?防衛装備の移転を巡る課題とは【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

いまだ激しい戦闘が続くウクライナ。その支援を巡って、これまでの日本のありようが大きく変わるかもしれません。

■ロシアのドローンに日本製エンジンが―?

ウクライナ侵攻で使われた、ロシア製の偵察ドローン。攻撃用にも使われるというこのドローンをウクライナ兵が解体すると…。

ウクライナ兵士「このエンジンは日本製だ」

日本企業が模型飛行機用に作ったエンジンが軍事転用されていたことが明らかになりました。ウクライナで、意図しない目的で使われていた日本の技術。

しかしこれからは、日本の武器そのものが、戦場で使われるかもしれないのです…。

■“殺傷能力のある兵器”を輸出?

岸田総理「防衛装備品の海外への移転は、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段です」

現在、ウクライナにヘルメットや防弾チョッキなどを支援する日本。そうした中、「防衛装備移転三原則」の運用を見直し、武器の提供に踏み切るべきとの声が政府や自民党内から上がったのです。

佐藤正久・元外務副大臣「装備や弾薬を、ウクライナは喉から手が出るほど欲しがっています。日本はG7の中で唯一、兵器や弾薬は提供していません」

4月25日、自民・公明両党による会合が開かれ、銃や弾薬といった「殺傷能力のある装備品」などの輸出に道を開くかどうかが焦点となりました。

■武器輸出を禁止してきた日本

現在、欧米各国はウクライナに強力な武器支援を行っています。しかし、戦後、日本は平和憲法の理念のもと武器輸出三原則を掲げ、海外への武器輸出を実質的に禁じてきました。

その一方で、経済界などからは、武器の国際共同開発や輸出を望む声が絶えず上がっていました。そして2014年…

菅義偉官房長官(当時)「防衛装備品の共同開発、生産に参画をしてまいります」

当時の安倍政権は、従来の「武器輸出三原則」を『防衛装備移転三原則』へと名称変更し、「日本の安全保障に資する場合は輸出を認める」としたのです。専門家は―。

佐藤丙午教授(拓殖大学・安全保障論)「安全保障上重要だから、資するから、移転が可能というロジックに変わりました。これまで国を二分するような議論になっていたものが、それほど大きな論点にならずに、装備移転がスムーズに進む側面がある」

■防衛装備移転がスムーズに?

こうした制限緩和を受けて、日本は救難飛行艇をインドに、また潜水艦をオーストラリアに輸出する計画を進めましたが、現在までに完成品として輸出した事例はフィリピンに防空レーダーを供与した1件のみ。

現在は、インドネシアと小型護衛艦の輸出に向けた交渉中です。

さらに、日本がイギリスなどと共同開発を進める「次期戦闘機」についても、将来の“輸出”を見込んで各国にアピールしています。

■「制限緩和」の背景には―

そして今回、殺傷能力のある武器を輸出しようとする背景にはウクライナ支援に留まらない思惑があるといいます。

佐藤丙午教授(拓殖大学・安全保障論)「やはり中国の軍事力の増強というのがある。弱体化している日本の防衛生産基盤、もしくは防衛技術基盤というのを強化して対抗していく必要がある。それが運用指針改定の背景にある要因です」

その一方で、殺傷能力のある武器の輸出には、その是非に加えリスクも伴います。

■シリア内戦で“ある国”のロケット弾が―

3月で内戦開始から12年たったシリア。これまで、降り注ぐロケット弾などで60万人以上が犠牲に・・・。ところが、そこで使用されたロケット弾の中にシリアにあるはずのない、ある国のものが―

それは、ドイツ製ロケット弾です。

ドイツ・アーケン議員「第3国への武器の横流しを禁ずるという保証書はただの紙切れ。多くの国はこのルールを守らない」

ドイツは武器輸出に際して、日本で検討されているように第三国への転売を禁止しています。それでも、武器の流出を防げなかったのです。

■5月3日憲法記念日

こうした危険性に加え、佐藤教授は武器輸出の課題を指摘しますーー

佐藤丙午教授(拓殖大学・安全保障論)「たとえ非殺傷兵器であるとして移転した場合でも、現地に移転された後、どういう兵器システムに搭載されるかは、こちらで管理できるものではない。そういう面で政府の責任は重い。本格的に海外に防衛装備を移転するという経験を日本は持っていないので、真剣な議論を積み重ねて欲しい」
 
平和憲法の理念の元、長らく武器輸出を行ってこなかった日本。5月3日に迎える憲法記念日では、どんな議論が行われるのでしょうか―。

(サンデーモーニング2023年4月30日放送より)

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