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警察官の頭上を“紙一重”で通過か 爆発の軌道可視化 総理襲撃事件(2023年4月22日)
岸田総理に向け爆発物が投げ込まれた事件から1週間。サタデーステーションは、爆発の瞬間を捉えていた5つの映像を徹底分析。さらに専門家と現場を検証すると、重大な被害と紙一重の状態だったことがみえてきました。
■「離れて!」間一髪で回避か
現在、捜査のポイントの1つとなっているのが、「爆発の威力」です。もし、爆発物の殺傷能力が認められれば、殺人未遂容疑で立件される可能性もあります。サタデーステーションはさまざまな銃器の検証実験を行なってきた専門家と共に、現場を訪れ、「爆発の威力」を検証しました。
爆発地点から約60メートル離れたコンテナの高さ2メートルほどの位置に、爆発物のふたのような金属片が突き刺さっていたことが新たに分かり、警察が詳しく調べています。コンテナは木製とみられ、穴の深さは2.5センチでした。
(銃器研究家 高倉総一郎氏)
『成人男性が全力で投げつけても、このような状態にはなりづらい。十分に殺傷能力があったと思う』
金属片がどの方向に飛んだのかを把握するため、爆発地点から60メートル先の穴まで赤いテープを張ってみると、意外なことがわかりました。
(仁科健吾アナウンサー)
『実際にここに爆発物が投げ込まれました。そして、この辺りです。警察官が木村容疑者に覆いかぶさっていました』
爆発物のふたのような金属片は、木村容疑者のすぐ近くを通過していたとみられます。実際に、金属片はどのように群衆の中をすり抜けていった可能性があるのでしょうか?
サタデーステーションは、爆発の瞬間を捉えた5つの映像に注目しました。それぞれの撮影位置やカメラの向きを元に、爆発の瞬間、誰がどの場所で、どんな姿勢を取っていたのかが、詳しくわかるようなCGを作成しました。そして、爆発地点から60メートル先の金属片が突き刺さっていた地点までを放物線で結び、その軌道を可視化します。
爆発地点からの目線で見てみると、金属片は木村容疑者が取り押さえられていた場所のやや右方向へ進み、警察官の頭上を通過していた可能性があることがわかりました。さらに、爆発地点から約40メートル離れた倉庫の壁にも、長さ15センチほど金属の筒が当たった可能性があることがわかっています。
(銃器研究家 高倉総一郎氏)
『筒はふたの倍くらいの重さがあるので、仮にこれが同じ速度なら、筒のほうがより危険な可能性もある』
爆発地点から、40メートル先の痕跡があった地点まで、こちらも軌道を可視化してみます。すると、金属の筒は木村容疑者の左方向へと進み、群衆の上を通過した可能性があることがわかりました。この時、近くにいた人は、何かが時速100キロを超えるような速さで飛んでくるのを見たと言います。
(現場にいた人)
『僕の左を四角いたばこサイズの“薬莢”か何かが飛んでいきましたね。なかなかのスピードでしたよ』
現場にいた人たちが、金属片の直撃を回避できたのは、奇跡的な状況だったことが改めてわかりました。
この2つの金属片の軌道を踏まえて、当時の映像を見返してみます。爆発物が投げ込まれた後も、200人いたとされる聴衆の多くが残っていて、この時に爆発していたら、大きな被害が出ていた可能性が高いことがわかります。
そして、この状況を一変させた“きっかけ”がありました。
『離れて!離れて!』
この指示を受け、爆発物の近くにいた人たちも避難しました。一方で、この時、破片が当たったとみられる負傷者も出ていました。
(負傷した人)
『音がしてドンっときたよ。背中押されたような感じで。家に帰って服脱いだら赤いスジみたいなのがあった』
この男性が、爆発の直前、爆発地点に背を向けて立っている様子が映像に残っていました。幸い、この男性に当たったのは、先ほど軌道を示した2つの大きな金属片ではなく、別の小さな破片だったと見られます。
この爆発物の外側には、複数のナットが付けられていたとみられることも新たに分かりました。警察は、破壊力を高める狙いがあったとみています。専門家は、木村容疑者がリュックの中に、30センチ四方、厚さ2ミリの金属の板を入れていたことにも注目しています。
(銃器研究家 高倉総一郎氏)
『自分の体を爆発物の飛散物から守るための、「防弾用の板」だと考えられる』
■動機は?専門学校の同級生は…
今後、動機の解明もポイントになります。木村容疑者は雑談にも応じず、黙秘を続けているといいます。一方、取材を進めると、ここ数年の様子が徐々にわかってきました。
(専門学校での木村容疑者の同級生)
『物静かであまり喋らない感じで、元々男子が少ない学科でしたが1人で過ごしているのが多いイメージ』
3年前に調理系の専門学校で木村容疑者と同級生だった人によると、木村容疑者は栄養士の資格などがとれるクラスにいたといいます。
(専門学校時に木村容疑者と同級生)
『トラブルなども特にありませんでした。実習や実験で話すタイミングがあれば、普通に話しました。でも、やはり物静かというか、普段から人と話さない感じで、授業が終わればすぐに帰っていた気がします』
木村容疑者は一時休学したものの、トラブルも特に聞かず、2020年に卒業したといいます。そんな中、家族は容疑者の違った一面も目にしていました。
(容疑者の家族による警察への説明)
『政治に関心があり、裁判も起こしていた』
去年6月、選挙の規定をめぐり国を提訴。また、ツイッターにも、選挙制度を批判する内容を投稿していたとみられています。警察はこうした主張と事件との関連性を慎重に調べています。
サタデーステーション 4月22日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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