“戦闘激化”スーダン 日本人63人退避へ 先遣隊5人出発…空路か陸路か「2つプラン」(2023年4月21日)
激しい戦闘が続くスーダン。日本人63人を退避させるため、20日に自衛隊の先遣隊5人が、周辺国・ジプチへ向け出発しました。
■“生活必需品”“物資”不足…影響は病院にも
国軍と民兵組織「RSF」が国の支配権を巡って、市街地で激しい戦闘を続けるスーダン。路上に止まった戦車は炎に包まれ、破壊されたヘリコプターからは黒い煙が上がります。
ベルギー人渡航者:「けさ、200メートル先で空爆があり、地面が揺れました」
これまでに330人以上が死亡し、およそ3200人のけが人が出ているといいます。
インド人渡航者:「水はこのボトル一本しか残っていません。他はすべて空です」
市民の生活に追い打ちを掛けているのが、深刻な“生活必需品不足”です。
インド人渡航者:「冷蔵庫にも何も入っていません。食べ物もありません」
ハルツーム市民:「肉や消耗品の値段が異常に上がっています。軍同士の争いで、スーダン国民が代償を払っています」
物資不足の影響は、病院にも及んでいます。小児がんと闘う子どもたちの治療が危機的な状況です。
病院の管理責任者:「状況は最悪です。子どもたちは先週の土曜日から薬を飲むことができていません」
ハルツームにある59軒の病院のうち、39軒が閉鎖を余儀なくされたということです。
■日本人退避 空路か陸路か…「2つのプラン」
緊迫した状況が続くなか、スーダンに住む63人の日本人を退避させる計画が進んでいます。
吉田圭秀統合幕僚長:「自衛隊の部隊をジブチ共和国へ出発させる予定です」
自衛隊はおよそ370人の「統合任務部隊」を編成。20日、先遣隊5人がアフリカ東部のジブチに向けて出発しました。
自衛隊はどのような救出プランを考えているのでしょうか?
政治部・防衛省担当 湯屋あかね記者:「1つ目が、ジブチから輸送機をスーダンに移動させて、そこで現地の日本人と合流して『空路』で退避させるパターン」
しかし、この計画をすぐに実行に移すのは難しそうです。
NPO法人ロシナンテス スーダン事業部・川原尚行代表:「空港に隣接する形で国軍組織があるので、そこが主戦場となっています」
19日に撮影された衛星写真では、国際空港に止められた飛行機が破壊されているのが分かります。
こうした厳しい状況も踏まえ、自衛隊にとって初めてとなる救出プランが選択肢に入っているといいます。
湯屋記者:「現地で車両をチャーターして日本人を乗せ、周辺の第三国に『陸路』で移動させる。その第三国で自衛隊機と合流し、退避させるパターンです」
■状況打開に…“外交ルート”での働き掛け
しかし、こちらの選択肢も、容易ではありません。
OCHA(国連人道問題調整事務所)が18日に公開した地図では、首都・ハルツーム以外のスーダン国内でも衝突が起きていることが分かります。
インド人渡航者:「軍が多くの道路を掌握して、検問があるので、道路上で立ち往生しています。車で渡ろうとしたら、銃口を向けられ逃げました」
こうした状況を打開すべく進められているのが、外交ルートでの働き掛けです。
湯屋記者:「政府関係者によると、日本政府はスーダン両軍に対して直接働き掛けることはできていない状況です。エジプトなどスーダンに対して影響力のある周辺国や、アメリカなどを通じて働き掛けをしている状況だといいます」
(「グッド!モーニング」2023年4月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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