動機は自尊心満たすためか…機密流出で空軍州兵を逮捕 米国内で問題視される影響は?(2023年4月14日)

動機は自尊心満たすためか…機密流出で空軍州兵を逮捕 米国内で問題視される影響は?(2023年4月14日)

動機は自尊心満たすためか…機密流出で空軍州兵を逮捕 米国内で問題視される影響は?(2023年4月14日)

アメリカの機密文書の流出に関与した疑いで、マサチューセッツ州の空軍州兵、ジャック・テシェイラ容疑者(21)が逮捕されました。

文書は、ウクライナ侵攻をめぐる分析など100点以上。去年の年末から、アメリカ政府の機密文書とされる画像が、SNSのチャットグループに投稿され、1カ月ほど前に別のチャットグループに転載されると、瞬く間に拡散しました。
国防総省・ライダー報道官:「ガイドラインや規則に反する意図的な犯行です。戸締りをした家に泥棒が入ったのと同じです」

テシェイラ容疑者は、2019年、マサチューセッツ州の空軍に入隊。軍の通信回線の管理などを担当する“サイバー・トランスポート・システム・スペシャリスト”として勤務していました。

容疑者を知る人によりますと、軍に強い興味を持っていたそうです。
同じ高校に通っていた男性:「頭の回転が速いやつで、軍に入りたがっていました」
容疑者を知る男性:「彼は軍やゲームに関心のある連中とつるんでいました。だからオンライン上で漏えいしても不思議じゃありません」

一方、まったく逆の印象を持つ人もいます。
中高の同級生:「人あたりはよく物静か。たまにからかわれていた。友人は多くなかった」
高校の同級生:「迷彩服で登校したり、辞書並みに分厚い銃の本を持ち歩くこともあった」

テシェイラ容疑者は、階級は低かったものの、技術スタッフとして、機密情報が飛び交う国防総省内部のネットワークにアクセスする権限が与えられていました。友人曰く、「機密を流出させることで自尊心を満たしていた」といいます。

◆ワシントン支局の梶川幸司支局長に聞きます。

(Q.機密情報の流出といえば、過去にはスノーデン事件なども思い起こされますが、今回、逮捕されたのが21歳の駆け出しの州兵。かなり意外な展開でしたね)
そうですね。確かにこれほどの機密文書が国防総省の中枢からではなく、階級の低い州兵から漏えいしたということは、驚きを持って受け止められています。議会からは「二度と許してはいけない重大な安全保障の侵害だ」という声が出ています。

この問題を受けて、国防総省に対しては、CIAやFBIと比べて、機密情報にアクセスできる職員のチェック体制が弱いという指摘もあり、オースティン国防長官は情報アクセスを、今後、厳しくするなど、再発防止に取り組む姿勢を示しています。

また、国防総省が、SNS上で機密情報の拡散が始まってから事態を把握するまで1カ月かかったことも問題視されています。バイデン大統領は「重大な結果は何も起きておらず、懸念はしていない」と述べていますが、連日、新しい文書が次々と見つかっていて、政権にとっては、非常に頭の痛い事態になっています。

(Q.バイデン政権としては、ウクライナでの戦争に関する情報なども漏れてしまったわけで、この影響はアメリカ国内ではどう捉えられていますか)
アメリカの軍事専門家からは「すでにロシア側が知っていた情報もあるだろうから、影響は限定的ではないか」という見方もありますが、例えば、ロシア軍が通信の方法などを変えることで、アメリカが情報を得られにくくなるリスクも指摘されています。

さらに、深刻に受け止められているのが、この文書の中に、同盟国や友好国の内部情報、例えば、ウクライナへの軍事支援に関する韓国政府内の会話などが記されていたことです。アメリカが同盟国を対象に、電話やメールなどの通信を傍受していた可能性があり、信頼関係に関わることになります。来週には、ホワイトハウスに韓国の尹(ユン)大統領が国賓として訪問する予定で、タイミングの悪さは否めません。

アメリカ政府の中では、現在、外国に対して今回の問題がどのような影響を与えるのか分析が始まっていて、いかにダメージを小さくして、アメリカへの信頼をつなぎ止めたい考えです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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