【報ステ解説】「彼の強さはマーケティング力」起訴後も高い支持 どうなる大統領選(2023年4月5日)

【報ステ解説】「彼の強さはマーケティング力」起訴後も高い支持 どうなる大統領選(2023年4月5日)

【報ステ解説】「彼の強さはマーケティング力」起訴後も高い支持 どうなる大統領選(2023年4月5日)

アメリカの大統領経験者として、史上初めて起訴されたトランプ前大統領。なぜ、支持率が上がるのでしょうか。

◆アメリカ政治が専門の上智大学・前嶋和弘教授に聞きます。

(Q.演説を行ったトランプ氏ですが、いつもより時間は短く、元気もなかったという声もありますが、どう見ますか)
フロリダのマー・ア・ラゴという場所だと思います。この場所は、自分の家ですので、後ろに熱狂的なトランプ支持者を置けません。みんなでワイワイできないというのが大きいと思います。去年11月15日の出馬宣言とまったく同じです。ただ、そのときは長かったのですが、今回は短くした。これは、調整したということだと思います。内容は、まさに選挙演説です。「民主党はここがダメ」「バイデン親子の不正を暴け」、中国の話もしていました。ずっと仕組んできたPRの演説だったという感じです。

5日に明らかになった起訴内容です。トランプ氏は、2016年の大統領選挙を前に、不倫関係にあった女性など3人に口止め料を支払ったといいます。この費用を“弁護士費用”と財務記録に記載。支払いを隠すために業務記録を改ざんした疑いが持たれいます。検察側は“選挙権を持つ国民から、不利な情報を隠すという犯罪行為を隠ぺいするため”記録改ざんを繰り返したとしています。

(Q.この起訴内容をどう見ますか)
帳簿の改ざんですが、前大統領の犯罪疑惑というのは倫理的に重いものですが、ほかに出ているのが選挙妨害や議会襲撃を扇動した罪と比べると、非常に弱いものです。この弱いもので起訴したということは、トランプ側にとってみれば、ラッキーなことです。これを使って、自分の支持者を固めることができます。民主党側は「何で早く逮捕しないのか」とする一方、共和党は「魔女狩りだ」と。今後、対立が大きくなってくると思います。

(Q.トランプ氏には、連邦議会襲撃などの疑惑があります。大きな疑惑が残されていて、これらが明らかになっていくとトランプ氏にとってマイナスになるのではないでしょうか)
今回は、法制度の話もあります。連邦と州で。ニューヨークの話は、ずっとこれをやっていきます。また、連邦議会や機密文書の持ち出しなどと並行で出てきますので、一つの話ではなりません。最初のほうは「民主党とニューヨークの検事が結託して、我々をはめることをした。民主党はこんな党だ」と“濡れ衣”を着せられたと、民主党側にレッテルを貼ることができます。

CNNが行った最新の世論調査です。『トランプ氏の起訴を支持するか』という質問に対して、民主党支持者は94%が起訴を支持。共和党支持者では、不支持が79%。民主、共和どちらも支持しない無党派層は、起訴を支持する人が62%、不支持が38%となっています。

(Q.この結果をどう見るべきでしょうか)
3月末にアメリカいましたが、そのとき、トランプ氏が「来週、逮捕される」とソーシャルメディアに投稿しましたが、そのときいろいろな人に聞いたら、まさにこのような感じでした。トランプ大統領もこれをわかっていて動いている思います。

(Q.分断がはっきり出たということですね)
まさにその通りです。

(Q.トランプ氏の強さの秘訣、どう見ていますか)
『自己マーケティング力』自分をいかに演出して、支持者は何を求めているか知っているということだと思います。共和党支持者は、福音派が多かったりします。そうすると、妊娠中絶の話、政策でこれを持ってきます。「民主党は、多様性とか平等とか、意識高い系だ」「これまでの文化をキャンセルするものだ」と言うと、そうだと思っている層がまとまりやすい。人々がわかりやすい話をして団結させようとする。相手が何を考えていて、どう動けばわかっている。今回の一挙手一投足が全部、そうだと思います。

トランプ氏は、大統領再選を目指しています。今後、2つの山があります。一つは、共和党の指名候補を決める予備選。今年から、共和党内候補の討論会が始まり、来年夏ごろに、共和党の指名候補が決まります。もう一つの山は、民主党の指名候補との一騎打ちです。来年9月から討論会が始まります。共和党内のレース、民主党とのレースの、
2つに勝たないと大統領にはなれません。

(Q.トランプ氏が指名候補になるということは現実的に起こりえるのでしょうか)
2023年4月の段階では、最有力候補だといえます。世論調査を見ると、3月末、「俺は逮捕されるぞ」と言ってから、支持率は爆上げしています。世論調査の数字というのは、選挙献金の数字です。これがワッと上がれば、どんどんお金が入ってくる。お金が入ってくれば、より選挙はしやすくなるので、大きいわけです。

一方、メディアの取り上げが少なくなっているデサンティス氏ですが、いま、まだ出馬していません。出馬表明は5~6月になる可能性があります。これを見ると、トランプ氏は最高潮。トランプ氏としては、これをキープするために燃料を投下する、マーケティングをしていくということだと思います。

(Q.その次は、本選挙ですが、分断の構図は残るのでしょうか)
いま、アメリカは歴史的には南北戦争以来、2回目の分断です。共和党は誰になっても5分5分だと思います。トランプ氏対バイデン氏になるかもしれませんし、ほかの人同士でも、快勝することはない。このときにポイントなるのが、ほんのちょっとの無党派。これを取り合う。トランプ氏は、いかに無党派の共和党を取り入れようかと考えていると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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