「こども家庭庁」発足 児童相談所の職員不足改善が課題(2023年4月1日)

「こども家庭庁」発足 児童相談所の職員不足改善が課題(2023年4月1日)

「こども家庭庁」発足 児童相談所の職員不足改善が課題(2023年4月1日)

 こども行政の縦割り打破を掲げた「こども家庭庁」が1日から始動します。児童相談所への相談件数は過去最多を更新していて、慢性的な職員不足をどう改善するかが課題です。

 神奈川県で大和市と綾瀬市を管轄する児童相談所です。子どもが泣いているという通告や、子育てに悩みを抱える母親などから、毎日のように相談が寄せられます。こうした虐待の相談は、2021年度だけでも922件。23人の児童福祉で対応しています。

 全国の児童相談所への相談件数は増加傾向です。2021年度は20万7660件となり、これまでで最も多くなりました。ここ10年で見ても3倍以上になっています。

 国は去年12月、児童福祉司などの職員を増やす計画を打ち出しました。しかし、ANNの取材で、首都圏の児童相談所では国が定めた配置基準に達していない所が多くあることが分かり、課題が浮き彫りとなっています。

 大和綾瀬地域児童相談所でも、3人の職員が不足していて、やはり配置基準を満たしていません。限られた職員ですべての事案に的確に対応するため、ある取り組みを始めました。

 大和綾瀬地域児童相談所・臼井泉所長:「(これまでは)一時保護が必要な事案だったり、入院が必要だったり、あるいは施設入所が必要だ、そういったいわゆる長期に対応時間がかかったり、虐待の内容が重いような事案がどうしても優先をせざるを得ないっていうところもあって、近隣からですね、子どもの泣き叫ぶ声が聞こえるというようなそういった案件を専属で対応する部署を設けてやっています」

 重大な事案に対応する部署とは別に、相談の6割を占め比較的短い期間で対応する心理的な虐待などに向き合う部署を設け、7人を充てました。人手が掛かる重大な事案に発展する前に食い止める狙いです。

 人材をどう確保するか。採用試験の現場も試行錯誤は続いています。神奈川県では、昨年度から「福祉職」の試験を年2回から3回に増やしました。今月9日には、他の自治体に先駆けて1回目の試験が行われる予定です。

 神奈川県人事委員会事務局・新川容子総務課長:「年に3回、実施をすることでより多くの人材を確保したいというところですね。福祉職は、色々な所で活躍していただいているが、なかなか人数が取れないという状況がありまして、ちょっと苦慮している」

 自治体や民間企業で人材の奪い合いが起きていて、辞退する合格者もいるということです。試験の合格者をつなぎ止めるため、2年前からはチャットを活用して不安や疑問の解消に取り組んでいます。児童福祉司などの不足について、どう考えるのか。新設されたこども家庭庁に聞きました。

 こども家庭庁:「広報や啓発、採用活動の財政支援など自治体と協力していきたい」

 大和綾瀬地域児童相談所・臼井泉所長:「お子さんを中心とした政策を、本当に力を入れてやっていこうっていう国の姿勢というのは我々としても本当にそこは期待させていただいています。皆で、こうできることを考えていけるような、そういう機運を醸成していくような、そういうことを(こども家庭庁に)ぜひお願いしたいなと」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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