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袴田事件「再審」開始へ・・・検察が「証拠」ねつ造の可能性「極めて高い」と裁判所が判断した理由とは【サンデーモーニング】|TBS NEWS DIG
長年、えん罪の可能性が指摘されてきた袴田事件で、東京高裁は、死刑が確定していた裁判のやり直し=再審の判断を下しました。開かずの扉とも言われる「再審」。その極めてハードルの高い裁判所の判断を引き出した弁護側の実証実験とは?さらに今回、袴田さんを有罪としていた「証拠」は捜査機関がねつ造した可能性が「極めて高い」とされた理由とは?手作り解説でお伝えします。
■「袴田事件」とは・・・
1966年6月に起きた袴田事件。当時の静岡県清水市で、みそ製造会社の専務の自宅がほぼ全焼する火事があり、焼け跡から専務と家族、4人のめった刺しにされた遺体が見つかったのです。
約2か月後に強盗殺人などの容疑で逮捕されたのが、従業員で元プロボクサーの袴田巌さん(当時30)でした。裁判では一貫して無罪を主張していましたが、1980年に死刑が確定していました。
■”証拠”は捜査機関のねつ造か
ところが13日、東京高裁は、捜査機関による証拠ねつ造の可能性が「極めて高い」との見解を発表し、死刑が確定した裁判のやり直し=「再審」への道が開かれたのです。いったい何がねつ造とされたのでしょうか…
■疑惑の証拠「5点の衣類」
袴田さんを犯人だとするうえで、ほぼ唯一の証拠となっていたのは、血の付いた「衣類」。事件から1年2か月後に、近くの工場にある、みそタンクの中から見つかったもので、これまで犯行時に袴田さんが着ていたものだとされてきました。
■みそ漬け実験の結果は・・・
今回、弁護側が注目したのは、衣類に残った血痕の色です。1年2か月もみそ漬けにされていたにしては血の色が鮮明に赤く残っているのが不自然ではないか?
そこで、弁護側が血液を付着させた衣類をみそに漬ける実験をしてみると…血液は、黒く変色することが分かったのです。さらに、科学的にこうした変色が起こることも今回の審理で認められたのです。
■検察も実験 「赤く」撮影?
これに対し、検察側も同じような実験を行い、赤みが残っているとも見える写真を裁判所に提出しました。検察側の実験資料では、撮影のときには白熱電球が用いられていたことから、弁護側は、光源によって、色合いが変わると主張。
こうした中、裁判官は静岡地検まで出向いて現物を実際に確認し、「赤みは残っていない」と判断し、「無罪とすべき明らかな証拠」として、再審開始を決定しました。みそタンクから見つかった衣類は、捜査機関による証拠ねつ造の可能性が高いとされたのです。
■再審の扉 開くのはいつ?
事件から57年、現在87歳となった袴田さんですが、検察は、今回の高裁の決定を不服としてさらに争うことを検討していて、そうなれば無罪かどうかの結論が出るのはさらに先のことになりそうです。
(「サンデーモーニング」2023年3月19日放送より)
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