「社会からいなくなったみたい」きっかけは“母の一言”「別姓選べない」揺れる2人(2023年3月8日)

「社会からいなくなったみたい」きっかけは“母の一言”「別姓選べない」揺れる2人(2023年3月8日)

「社会からいなくなったみたい」きっかけは“母の一言”「別姓選べない」揺れる2人(2023年3月8日)

3月8日は『国際女性デー』。東京・渋谷では、ジェンダー平等を訴える人々が声を上げていました。

さらに国会では、『選択的夫婦別姓』の実現を求める集会が開かれました。夫婦が選択すれば、それぞれの名字を使い続けられる選択的夫婦別姓。議論が始まってから、30年近く足踏みを続けています。

西村知咲さん(27)。パートナー(27)とは、5年の付き合いになります。まだ具体的に決まっているわけではありませんが、将来的には、結婚も意識する2人。立ちはだかるのが“名字”の問題です。慣れ親しんだ自分の名字を変えたくないと考えている知咲さん。2人が話し合う機会を撮影させてもらいました。
西村知咲さん:「最初は、自分も変えなくて済むなら、それがいいなって思ったのが理由。個人的な気持ちっていうよりかは、もちろんそれもあったけど、なんで日本の女の人がこんな変えなきゃいけないのみたいな」
知咲さんのパートナー:「俺も今までは、女の人が変えるのが普通っていうか、自分が変える想像もしてなかった。どっちかが変えるってなって、自分がって想像したら、二の足を踏むなって思った。でも結婚して、名字が別っていうのは、俺はやっぱ抵抗あるかも」

結婚する夫婦のうち、女性側が名字を変えるケースが約95%に及ぶ日本。夫婦は同じ名字でなければならないと義務付けている国は、世界で日本だけです。国連の女性差別撤廃委員会は、この義務は“女性差別”であるとして、日本に対して、3度にわたって勧告を出しています。国内でも選択的夫婦別姓を求める声が上がっていますが、いまだ実現に至っていません。

西村知咲さん:「一緒の名前でいた方がいいと思う理由、そうじゃないと不安だと思う理由が何かなと」
知咲さんのパートナー:「やっぱりつながりが強く持ててる感じがするから」
西村知咲さん:「結婚すると変わるものなのかな。今でさえ、このつながりはあると思っているんだけど」
知咲さんのパートナー:「当人だけの問題じゃなくて、やっぱ親とか。やっぱそこなのかな」
西村知咲さん:「私は正直、気持ちの問題だと思っちゃう。(名字を)一緒にしたところで、離婚する人はいるし、不倫する人もいるし、一緒にすることが重要じゃないなって私は思っちゃって。なんかもっと自由でいいんだけどなって思っちゃうけどね。ダメなのかな」

知咲さんの思いに、彼は、こう話します。
知咲さんのパートナー:「女性が名字を変えて、男性側の名字を名乗って、そっちの親戚付き合いみたいなのもしてっていうのが、自分の親も親戚も祖父母もそれが普通だったので。でも、やっぱり相手の話も改めて聞くと、確かにそうだよなって」

知咲さんが別姓について考えるようになったのは、お母さんのふとしたひと言がきっかけでした。
西村知咲さん:「お母さんが、うちが子どものころに、『名前を変えたら自分が社会からいなくなったみたいだった』って。すごい覚えてて。それは今でも変わってないのかな」
母・美智代さん:「変わってないね、その思いは。それまで仕事をしてて、急に結婚して、仕事やめて。世帯主は主人になったから、銀行の口座とか全部そういうの。日陰の身、存在自体がなくなってしまった印象は、すごくあった」
西村知咲さん:「ちなみに、当時、別姓制度があったらどうしてた」
母・美智代さん:「別姓にしてたね」

知咲さんは4人姉妹の長女。仲良しの妹も、将来、名字が変わってしまうことへの不安を感じています。
妹・咲穂さん(23):「うち女きょうだいだからさ、西村家なくなっちゃうじゃんって。何回か話したことあるかも。時代で変化していかないと、日本は追い付いていないところがあるかもしれない」
西村知咲さん:「追い付いてないどころじゃない。周回遅れだから。マラソンで10周くらい遅れてるから」

お父さんはどう思うでしょうか。

まずは、パートナーの存在を報告するところから始めるつもりでしたが、すでに知っていたお父さん。ただ、別姓に関しては複雑な思いです。
父・尚之さん(58):「やはり昭和的には、それは少し考えた方がいいんじゃないのって。それでもどうしても本人がそこは譲れないんだったら、それは仕方ないですよね」

パートナーとどう生きていくのでしょうか。
西村知咲さん:「今から決めようというのは難しい。その前に選択的夫婦別姓制度、できるかもしれないしって希望も持っているので。話し合いを逃げてるってことあります。だから早く、早く制度を早く作ってほしいですね」

◆なかなか実現しない『選択的夫婦別姓』。名字が選べないことで、生きづらさを感じる人もいます。

北海道で暮らす佐藤万奈さん。4年前に結婚し、夫の名字に変えました。そんな彼女を待ち受けていたのが“名義変更ツアー”。銀行口座やクレジットカード、マイナンバーカードなどの名義変更を行うために、2日間も有給を取って手続きをしたそうです。職場には、旧姓使用を申し出たところ「対応していない」と断られてしまったといいます。

旧姓が認められている職場は、わずか42%にとどまっています。

さらに海外では、より高いハードルがあるといいます。国連の職員としてジュネーブで働いている小谷瑠以さん。結婚して、戸籍上は夫の名字に変えていますが、20年間、キャリアを積んできた名前を変えると、自分だと認識してもらえないということから、職場では旧姓、ビザは戸籍の姓、パスポートは旧姓と戸籍の姓の両方を併記しています。

ただ、こうした使い分けは、海外ではなかなか理解してもらえません。その結果、例えば、セキュリティーの厳しい国連のビルに入ろうとすると、2枚のIDを求められることがあるそうです。“小谷”と書かれたIDは1枚しかなく、戸籍の姓のIDも提示すると“別人だ”と言って止められる。日常的にこうしたトラブルが起きるというのです。

渡辺アナウンサー:今回、取材をして、選択的夫婦別姓は、別姓でなければならないということではなくて、選択的夫婦同姓でもあります。同姓か別姓かを選ぶ権利を与えてほしいんだと、佐藤さんのパートナーが言っていたのが印象的でした。同姓でも別姓でも話しあって選べるような社会が実現すると良いなと感じました。

大越キャスター:夫婦が同じ姓であるという伝統的な家族制度を支持する意見も尊重はされるべきだと思いますが、選択肢を増やし、多様性を認めることが、より個人や社会の幸福につながるというのは、これは社会の共通理解になっていると言っていいと思います。

おととしの衆議院選挙の前に行われた日本記者クラブ主催の党首討論の様子。選択的夫婦別姓を認める法案についての賛否を問われて、賛成を表明しなかったのは、自民党の岸田総裁だけでした。岸田総理は、国会答弁で「自分自身は反対ということは一度も申し上げたことはない。価値観や心の問題なのだから議論が必要だ」と述べていますが、論点は尽きてきているように思います。30年間、足踏みを続けてきたこの議論に、そろそろ終止符を打つときが来ているのではないでしょうか。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事