ミャンマー 軍事クーデターからあすで2年…反発して大使館を追い出された男性の戦い(2023年1月31日)

ミャンマー 軍事クーデターからあすで2年…反発して大使館を追い出された男性の戦い(2023年1月31日)

ミャンマー 軍事クーデターからあすで2年…反発して大使館を追い出された男性の戦い(2023年1月31日)

 ミャンマーで軍事クーデターが起きてから、2月1日で2年になる。今も軍による弾圧が続くなか、軍事政権に反発し、大使館を追い出された男性が取材に応じた。

■指示に従わず「間違った情報を世界に発信できない」

 今月4日、独立記念日を迎えたミャンマーでは、軍事政権によるパレードが行われた。

 ミャンマー国軍 ミンアウンフライン総司令官:「あらゆる圧力、批判、攻撃の中、(ミャンマーに)積極的に協力してくれた国や組織、個人に感謝したい」

 国軍による軍事クーデターから2月1日で2年。ミャンマーでは、今も混乱が続いている。

 クーデター以降、軍の弾圧による死者はおよそ2900人だという。そうしたなか、都内では在日ミャンマー人らによる募金活動が行われていた。

 そこにいたのが、国軍による支配に反対するアウンソーモーさん(53)。以前は、日本のミャンマー大使館で働いていた。

 駐日ミャンマー大使館で働いていたアウンソーモーさん:「後悔はしていません」

 クーデター直後、アウンソーモーさんは、国軍側から日本政府に間違った情報を流すよう指示されたという。

 アウンソーモーさん:「『何人死者が出た』という情報がSNSで伝えられているのに、ミャンマー政府から伝えられたのは『何もなかった』『死者も出ていない』という情報」

 しかし、アウンソーモーさんは、この指示に従わなかった。

 アウンソーモーさん:「従ってないことが知られてしまい、『なぜだ』と聞かれたので、『間違った情報を世界に発信できない』と伝えました」

■日本人へ「ミャンマーのことに関心を持って」

 さらに、自身のSNSでは、国軍への抵抗の意思も示した。

 アウンソーモーさん:「私は後悔したくないと思ったので、正義の側に立つことを決めました」

 この国軍への抵抗により、大使館を追い出されたというアウンソーモーさん。日本政府からは「特例」での滞在を許可されていて、現在は在日ミャンマー人たちの支援を受け、生活している。

 一人で暮らす自宅では、家族を思い、ピアノを弾いていた。

 アウンソーモーさん:「曲名は『母を思う歌』です。この曲は、本当に心にしみます」

 そんなアウンソーモーさんの楽しみは、家族とのビデオ通話。家族は現在、安全を確保するため、ミャンマー国外で生活している。

 アウンソーモーさん:「ミャンマーに戻りたいけど、戻れないね」
 妻:「家にとても帰りたい」
 アウンソーモーさん:「僕も帰りたいよ」
 妻:「勝ったら、帰れるね。勝利とともに帰ろうね」
 アウンソーモーさん:「そうだね。勝利を手に入れよう」

 家族の前では、気丈に振舞っていたアウンソーモーさんだが、通話が終わると…。

 2月1日で、クーデターから2年となるが、アウンソーモーさんはミャンマーにもっと目を向けてほしいと話す。

 アウンソーモーさん:「ミャンマーは、運が悪いです。特に今、世界がウクライナ一色になっているので、ウクライナ問題の陰に隠れてしまっています。日本人の意識としても、ミャンマーのことに関心を持って、自分から情報を集めてほしいと思います」

■強い影響力を持つ日本 「最も信頼できる国」61%

 ミャンマーを巡っては、国際社会の間で一枚岩とはなっていないようだ。

 クーデター以降、アメリカとEU(ヨーロッパ連合)は、ミャンマー国軍に対して制裁を科してきた。

 アメリカメディアによると、去年11月にも国軍や関連企業の資産を凍結するなどの追加制裁を発表していたそうだ。

 一方で、国連安保理ではクーデター発生から1年10カ月以上経った先月になって、初めて「アウンサンスーチーさんの解放」や「暴力の停止」などを求める決議を採択。これほどまでに時間がかかった背景には、中国やロシアからの反発があったためだ。

 そのような国際社会において、ミャンマーに強い影響力を持っているのが日本だ。ODA(政府開発援助)の額でみると、クーデター発生前の2019年度にはおよそ1900億円と、最大の支援国となっている。

 また同じく、2019年に日本の外務省がミャンマーで行った世論調査では、「最も信頼できる国」として日本を挙げた人が61%と、同率2位の中国・韓国の9%を大きく引き離し1位となっている。

■印象変化「両国関係にひびが入るようなことは…」

 しかし現在、日本はミャンマーへの対応を巡り、国際社会から批判を受けている。日本はクーデター後に新たなODAは凍結しているが、すでに実施中のものについては一部継続している。

 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、そのうちの最大都市ヤンゴンに架かる橋の建設を巡って、去年、日本から国軍へおよそ1億7000万円の資金が流れたとして批判している。

 また、去年9月に行われた安倍元総理の国葬には、ミャンマーの駐日大使が出席し、人権団体などが「軍事政権にお墨付けを与える行為」などと批判している。

 過去の軍政下でも、国軍側と独自のパイプを築き、民主化を支援してきた経緯のある日本は、そのパイプを使い、対話による働き掛けや欧米諸国との橋渡し役を担おうという考えだ。

 しかし、今回取材に応じたアウンソーモーさんは「ミャンマー国民の日本への印象が変わってきている。今、重要なのは国民同士の交流により、ミャンマーの問題を理解してもらうこと。両国の関係にひびが入るようなことはしてほしくない」と話していた。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年1月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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